From f94b4dcdd4fc9fc6bef0b9c3d1b1d15bc3a4f9c9 Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: "ai[bot]" <138105980+yui-syui-ai[bot]@users.noreply.github.com> Date: Sat, 18 May 2024 23:16:03 +0000 Subject: [PATCH] deploy: 47d72a8ba389f736f8074506caa435108a17057d --- index.json | 2 +- private/post/2024/04/10/yui/index.html | 4 ++-- 2 files changed, 3 insertions(+), 3 deletions(-) diff --git a/index.json b/index.json index 668144bd..b22055e9 100644 --- a/index.json +++ b/index.json @@ -1,2 +1,2 @@ -[{"categories":null,"contents":"2024-05-13から漫画を定期的に書く練習を始めます。\n連載は以下のルールで行われます。\n毎週月曜日に3ページを更新\n内容について 個人的に以下の基準を設定しています。\n好きな漫画より面白いと自分が思えること 好きな漫画の絵と同程度くらいと自分が思えること 1話の重要性 1話が非常に重要であることに気づきました。\nしたがって、この連載は完成版ではなく下書きになります。\n休載について 祝日のある週は休み 過剰ページの追加は休載期間にプラスされていく ","description":"","formated_time":"2024-05-03","href":"https://yui.syui.ai/blog/post/2024/05/03/manga/","tags":["news"],"title":"週刊連載を始めます","utc_time":"2024-05-03T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"心と技 漫画で一番重要なのは心や魂と呼ばれるものです。これは現実でも同じ。\nただし、それだけで漫画が描けるかというと、それは違う。\nでは漫画はどのように書けばいいのだろうか。その答えとしては「好きに書けばいい」となる。\nこの答えも非常に難しい。\n好きなものを好きに書かなければ面白くならないし、好きなものを好きに書くだけでは面白くならない。\n例えば、嫌なものを嫌々書いても面白い作品ができるとは思えない一方、好き勝手書いて面白い作品ができるかというと、そうはならない。\nつまり、漫画を書くのはけっこう大変ってこと。\nでも好きじゃなければ続けるのは難しい。\nだから、漫画を書くのが好きだったほうがいい。\nそれを現した言葉が先程の「好きに書けばいい」ということになる。\n私は面白いものが書きたいと思っていて、それは、読んだ人を楽しませたいと思っているから。\nじゃあ読んだ人を楽しませるにはどうすればいいのかというと、これはテクニック、つまり、技術の問題でもある。\nまずは、感情があって、心がある。自分が伝えたいこと、それがある。それがないと、その人の話はつまらないと思う。\nだから自分が伝えたいことをどう面白く絵で伝えるのか、それが漫画。\nでは、どうやったら面白く伝えられるのか。ここではじめて技術が関係してくる。\n例えば、後述する陰と陽の考え方がある。陰と陽の混じり合いで物語は面白くなる。\n私が好きな瞬間というのもいくつかあって、\n敵が味方になる瞬間。一人だと思っていたら、沢山の人が支えてくれていたことがわかる瞬間。本当のことがわかった瞬間。心が通じた瞬間。\nその瞬間、その一コマのために、たくさんの物語を積み重ねていくのだと思う。\n陰と陽 物語において、主人公のライバルの存在は非常に重要。\n例えば、この世界が陰と陽でできているという考えがある。\n必ず反対のものが存在するなら、物語においてもそのルールに則らなければならない。\nそれがライバルの存在であり、ライバルの存在は物語を面白くするポイントだと思う。\nライバルで有名なのは、悟空とベジータ、ナルトとサスケなど。これらは主人公の敵と言ってもいい。\nベジータやサスケに嫌悪感を示す人もたくさんいて、あのようなキャラクターは出すべきではない、最終的に始末したほうがよかったという意見がある。\n最終的にどうするかは好みの問題だと思うけど、これらの作品においては、陰のキャラクターが物語を面白くしていると言っても過言ではないので、それを取り除くというのは、あり得ない。\nやはり面白い作品というのは、陽ばかりのキャラクターではなく、陽と陰、その混じり合いで面白くなるのだと思う。\nただし、最終的にどうするかについては、好みの問題だと思う。\n例えば、アベンジャーズは、最終的に敵、陰を討ち滅ぼすことで完結している。\nここは日本とアメリカでどのように描くか傾向が異なると思う。私はどちらも好きだし、どちらも面白く作るのは可能だと思う。\n八咫烏 縄文時代から弥生時代に移り、天皇が誕生、東国の建国に繋がります。これを神武東征物語という。\n以前からいた民族と新しく入ってきた民族が融合していく過程を描いています。\n以前からいた民族を出雲、新しく入ってきた民族を大和といいます。\n思想や気質の全く異なる民族ですが、出雲の王であったアヂスキタカヒコネ(迦毛大御神)は出雲を裏切り、最終的には勝利者側に協力した後、八咫烏と名乗ります。\n表向きは神武天皇が大和の都を支配する形になりましたが、裏では八咫烏が支配するようにもなりました。これは八咫烏が裏天皇と呼ばれる所以です。その血脈は今なお受け継がれています。\n八咫烏の三本足は天、地、人を現し、3という数字は太陽を現しています。その後、陰陽の思想を広めたと言われています。八咫烏は組織名になり、正式名称は八咫烏陰陽道。\n童話と神話 まずは、童話と神話の話をします。\nあらゆる文化作品(創作物)は、有名な神話や童話が元になっていることがよくあります。\nドラゴンボールの孫悟空は、中国の西遊記を元に書かれていて、如意棒と筋斗雲を使います。\nナルトは主に日本神話を引用しています。ライバルであるサスケがアマテラスやツクヨミの技を使い、スサノオを召喚します。\n例えば、進撃の巨人には「ユミル」が登場します。\n北欧神話には以下のような話があります。\nユミル(巨人)はオーディン達の三兄弟に殺され、死んだユミルの体から世界が作られていった\nなぜ、神話や童話が引用されるのかというと、最も広まった物語だからでしょう。\n不死 不死にはよく2つのパターンがある。\n一つは若返り、もう一つは乗っ取りである。\n不死を求めるのは不完全な存在の証明であり、完全な存在の証明でもある。\n大抵のボスは不死を求める。\nコナンに出てくる黒の組織のボスは、私の推測になるが、不死を求めている。ある薬品を開発していて、その試作品であるアポトーシスの名にちなんだアポトキシン4869は、低確率だが人間を幼児化させることがある。この場合のアポトーシスは老化細胞の自殺に関係すると予想する。ボスが幼児化のことを把握しているかはわからない。どれだけの人間を犠牲にしてでもその薬を完成させるつもりらしい。だが、ベルモットは幼児化を把握しており、若返りを求めている。だから組織が薬を完成させる前に潰れてしまうと困るが、完成させたあとに組織が残るのも困るという微妙な立場だと思う。ベルモットにとって最も理想的なシナリオは、完成と同時に薬を横取りした後、コナンが組織をぶっ潰してくれることだと考えている。\n終局 最後のボスは、とことんしつこい。\nやっと倒したと思ったら、倒していない。\nボスにはボスになるだけの理由があり、器がある。\nそのボスは主人公達の力と同じ。\nどんな卑怯な手を使っても蘇り向かってくる。\n力の差があまりに大きい場合は、主人公が負けることもあるだろう。\nただし、主人公は諦めない。勝つまでやめない。\n負けてもパワーアップして悪に挑み、最後に勝つ。\nここらへんを描くのは大変かもしれない。他の作品を参考にするといい。\n元素 元素はゲームによく登場する「属性」のモデルになっています。\n例えば、原神というゲームには元素があり、キャラクターは火や水などの元素を使って戦います。\n私が思うに、ゲームには物理学を引用する作品が多く、漫画には神話や童話を引用する作品が多いと感じます。\nその理由の一つとして考えられるのが文系と理系です。もしかすると開発者には理系が多く、小説家には文系が多いのかもしれませんね。\n予言 現実には様々な予言書があります。例えば、日月神示やアカシックレコードなど。\n物語において、予言書というものは重要な意味を持ちます。 これらは、確定した未来を予言するものではありません。小さな物質世界からすると、それはありえないのです。なぜありえないかというと、例えば、量子の振る舞いから説明できます。\nとはいえ、それは後述することにして、まずは予言書が確定した未来を述べるものではなく、願望を述べるものに過ぎないということです。\nしかし、その願望も未来に影響し、未来を形作るものの一つです。\nしたがって、物語において、予言の存在というのは重要な意味を持ちます。\n秘密 秘密はあったほうが物語は面白くなる傾向にあると思う。\n最近の漫画はほとんどに秘密があって、それが最後まで明かされない。\n例外はドラゴンボールで、この漫画はそこまで秘密がない。あったとしてもサラッと明かされる事が多い。\nこの作品は「ある秘密があってそれを探し求める」という感じではなく、機会があれば明かされる感じにしたいと思う。\n秘密をそこまで物語の主要な部分に位置づけない方向で考えている。\n最も小さいものはいつも目の前にあって、どこにでもあるものだから。\n月 巨大彗星説は日本人の方がみた夢がモデルになっています。\nある時、不思議な夢を見た。巨大彗星が太陽に向かって進む。水が蒸発し、地球に降り注ぐ。それが大洪水になった。残った彗星は地球の周りを回りだした。\n月の内部は水であるという話があります。\nただし、定説として考えられているのは、地球の形成初期に巨大な星が衝突し、それが地球と月になったというものです。これをジャイアント・インパクト説といいます。\n量子 アインシュタインは神はサイコロを振らないといい、あらゆるものの挙動は最初から決まっていると考えていました。つまり、この世界はすべて必然であるという考えを持っていました。\n反対にボーンは神が何をなさるかなど注文をつけるべきではないといい、つまり、偶然であると考えました。\n量子のもつれは、決まっていない状態がまずあり、片方が確定した瞬間、もう片方の状態も確定するというものです。\nこの点において、あらゆるものは最初から決まっていると考えたアインシュタインが間違いであったとも言えます。\nニュートロニウム 存在しなかったはずの原子、原子番号0のニュートロニウムについて書きます。\n原子は中性子と陽子のバランスが大切で、バランスが崩れると放射性崩壊が起こり、違う原子になります。\n違う原子になるということは、観測が難しいということです。\nでは中性子だけで構成された原子は存在するのでしょうか。\n答えとしては「一瞬だけ存在する」です。\nそれがニュートロニウムです。\n現在、ニュートロニウムが最も多く存在する場所は中性子星の内部です。\n中性子星の内部では電子が陽子に押しつぶされて中性子になり、電子と陽子の融合。ベータ崩壊が起こり、ニュートロニウムが生成されます。生成と消滅を繰り返しているのか、一つの原子が長く継続しているのかはわかりませんが、一見すると、内部はニュートロニウムで満たされているでしょう。\nメトシェラ メトシェラ星というものがあります。これはビックバンが始まる前から存在したのではないかという意見もあるくらい古くから存在する星と言われています。\nビックバンは138億年前に起こったと計算されています。私はその計算は間違いだと考えていて、ビックバンが起こったのは200億年以上前です。\nそれを前提に話をしますが、メトシェラ星の誕生はビックバンの後です。\nプラネット・ナイン ほぼ確実に存在すると言われている太陽系、第9の惑星、プラネット・ナイン。\nその惑星の中心に連星の動きが確認されていますが、未だ発見されていません。\n第9惑星は原始ブラックホールであるという説があります。大きさは1m未満。休眠ブラックホールは連星を作ることがあり、多くの星がブラックホールを中心に回ります。地球に最も近いブラックホールも連星です。\nアマテラス粒子 ブラックホールやマグネター、それに類似する天体の合体から放出されるオーマイゴッド粒子やアマテラス粒子は1グラムで地球を破壊するレベルのエネルギーを持ちます。\n例えば、ブラックホールとブラックホールがぶつかると天体の一部が飛ばされて宇宙を飛来します。\n惑星や粒子の多くは神話にちなんだ名前が付けられています。これについては宇宙の章で語られるかもしれません。\nオクトカットのモデル githubのoctocatです。\nref : github/octocat トロン ケンという人物によって開発されたトロンというOSがあります。\n東国は縄文時代以降、貨幣も言語も西国のものに置き換えられてしまいますが、このOSも同じような運命をたどります。\nしかし、その後、世界に広まり最も使われるOSになります。\n","description":"","formated_time":"2024-05-01","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/05/01/story/","tags":["author"],"title":"構成と参照","utc_time":"2024-05-01T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"シリアスな場面でも笑いを忘れずに。\nそのような方向性で物語は進みます。\nここからは世界の設定、その裏側を紹介します。\n作中の世界はどのようにできているのか、ということです。\nこの世界にも歴史があり、現実社会の史実に基づいて設計されています。\nただし、これらの設定が作中で明示されるかはわかりません。\nおそらく、あまり明確には表現されないでしょう。\nあくまで裏側の設定、見えない部分と考えてください。\nそして、何より重要なのはそれが物語として面白いかどうかです。\n現実世界の物語が必ずしも面白いとは限りません。\nしかし、これはフィクションであり創作物です。\nしたがって、常に面白さを追求し、思想や史実は二の次であると考えてください。これは作者自身に言っていることでもあります。\n物語として面白くなるなら表現しますが、面白くないなら表現しません。\nできる限り明るい世界観を描きます。\n東の国 では、アイの出身である東の国の歴史の一部を見ていきましょう。\nそれぞれの国には、一人の大統領が登場し、それぞれが決定した政策が掲げられています。\n例えば、東の国では「忍耐」という政策が実行されています。\nしかし、それぞれの国には裏の目的が存在します。\n東の国の大統領、スシ(寿司)\nスシ「東の国の市民の貯金は世界最大だ!経済を活性化させるにはそれを吐き出させる。忍耐の先に我々は勝利するのだ!!」\nスシ「今、東の国の借金は1000兆を超えており、国民は一人当たり1億エソを国に返していく必要がある。少子化の問題も合わせると、これからは大増税時代の幕明けです!」\n市民「わー!!パチパチ!すばらしい!大統領!大統領!大統領!」\n執務室\u0026hellip;スシが椅子に座り葉巻きを吸っている。机の前に大蔵省の幹部が資料を持ってやってきた\n幹部「大統領、資料をお持ちしました。先程の演説はどうでしたか?」\nスシ「はっ、あのバカどもに俺の言ってることなぞわかるか。順調だよ」\n幹部「それはよかった」\nスシ「やつらカネを作ってるのが俺らだとも知らずにな」\n幹部「国民には国の借金がある、国にはお金がない、少子化で大変だと嘘をしっかりといい含めました?」\nスシ「ああ、やってるよ。その辺は再三な、あいつら馬鹿だから」\n幹部「それで、どれくらいで目標を達成できそうですか?」\nスシ「うん?ああ、それな。東国民全体を貧困に陥れるには5年ほどだ。それで任務完了さ」\n幹部「あまり急ぎすぎてもいけませんよ。少しずつ税金を上げ、所得を減らしていかないと市民に気づかれてしまいす。それに通貨安をもっと進行させないと\u0026hellip;。今後、大統領には、もっとエソ安が進行しないと経済は良くならないと国民に吹聴していく必要があります」\nスシ「わーってるよ、その辺は\u0026hellip;お前よりもな。俺は政治家だぞ」\n幹部「民を貧しくしないと我々が特殊な印刷機で発行している紙で支配できなくなります」\n幹部は大統領にそう注意深く指摘した\nスシ「あいつらの価値は我々の言いなりになってこそだからな。あの体たらくのバカどもは」\n幹部「馬が人参をぶら下げても走らないなら、馬の腹をすかせるしかありません。餓死する寸前までに\u0026hellip;」\n大蔵省の幹部にはある場面がよぎる\n幹部「今回の仕事はこのお金でやってもらえませんか?これは政府の要請ですよ」\n幹部は先程作ってきた紙幣をある会社の経営者に渡しながら言った\n市民「うーむ\u0026hellip;残念ながら今回はお受けできません。貴方がたの依頼は正義に反するのでは?国民のためにならない」\n幹部「は?い、いまなんと\u0026hellip;」\nスシ「おい、聞いてるのか。ぼやっとしてどうした?」\n幹部「あ、いや、ちょっと昔のことを思い出して\u0026hellip;大丈夫です」\nスシは「そうか」と言い、いつもの調子で喋り続けた。\nスシ「それでな、文科省の奴らにもきつく説教してやった。我が国の子どもたちには\u0026quot;カネがすべてだ\u0026quot;、 \u0026ldquo;カネは命よりも重い\u0026quot;としっかり叩き込めってな。あいつら事あるごとに変な方向に行きやがる。予算を大幅に減らしてやったよ」\nスシは貨幣であるエソの原紙をぴらぴらしながらそう言った\n幹部「そうですね。文科省はずいぶん前から予算を少しずつ減らし、彼らがミスするように仕向けていますから今やあなたの言いなりでしょう」\nスシ「エソ安になればなるほど俺達は自国民を海外に売りさばける。どれくらい売れるかの試算は\u0026hellip;この資料か。まあいいだろう、これくらい。まだまだエソ安が足りん。そこは市民税をどんと上げて折り合いをつけるか」\nしばらくして大統領執務室から出てきた幹部が誰かに連絡をしている\n幹部「ああ、やつは気づいてない。それに気づいてたところでどうしようもないが。いや。ああ、そうだ。政治家など私達にとって捨て駒に過ぎないからな。ただ、大統領はまだ利用価値があるようだ。我々と意見が一致しているああ。他のあいつはやってくれ。子供を持つ親なぞ子供のためになんでもやるさ。格好のターゲットだよ。やつらは我々のために永久に働いてくれないと困る。ああ。そのようにしてくれ。では」\n数週間後、別の政治家の不正がマスコミにリークされた。その政治家は子育て世代を支援する法案を通そうとしていた。\n政治家のお金の流れも大蔵省が中心になって発足したある団体にすべて把握されていたのである。\nその後、大蔵省は「規制緩和」という政策を発表。大蔵省が認めた権益者達には無制限にお金を発行するという政策を打ち出す。スシは直接紙幣を受け渡せば問題ないと考えたが、幹部はより慎重に株券を購入する体裁のもとで無尽蔵に発行するよう助言。この方式が採用される。東国銀行は権益者が立ち上げた架空の会社を登録し、そこの会社の株券を購入するという体のもと金銭の無制限な受け渡しが行われ、それが続くこととなる。\nこれによって上層部や一部経営者達は何もせずともお金がもらえる状態になり、すべての財界人は大蔵省の言うことに逆らえなくなっていった。その後、東の国の開発力、技術力、国際競争力はみるみる低下する。それに伴い国力も例を見ないほどに急速に落ち込み、結果として東の国は、他国より貧しくなってしまう。\nしかし、東の国の市民は、自国通貨であるエソがもっともっと安くならないと自分たちの暮らしは豊かにならないと考え、スシ政権を支持し続けた。\n厚生省vs大蔵省 厚生省で開発された人工知能は、大蔵省に危険だと判断される。\nその団体の中心メンバーが暗殺部隊「いなりずし」に関係者の殺害及び破壊を依頼。\n東の国では大蔵省が考案した政策が実行されて40年あまりが経過した。世界でも類を見ないほどの少子化と国力、経済力共に低下する結果となった。\n通貨の変遷 時代が進み、地球の基軸通貨は西の国の通貨ビトから宇宙通貨のアムに切り替わります。\nポンタ「あれなんだろう」\nキョウスケ「ん、どれだよ」\nポンタ「道の真ん中にあるやつ」\nキョウスケ「お?なんだあれ」\n歩いた先には大量の紙と小さなお年寄りが座っている。白髪まじりで大きなハゲが見える。\nポンタ「あのう、大丈夫ですか?」\nスシ「このクソ。誰に口を聞いてるのかわかってるか!」\nキョウスケ「へ\u0026hellip;!?」\nスシ「おまえ、俺は東の国の大統領、皇帝だぞ!」\nポンタ「え\u0026hellip;ほ、ほんとに?で、でもそんな人がなんでこんなところに」\nスシ「全部お前らのせいだ。こんなもの配りやがって。俺は国のために尽くしてきた。こんな仕打ちを\u0026hellip;許さんぞ」\nポンタ・キョウスケ「\u0026hellip;」\nキョウスケ「それってアムのことですか?」\nポンタ「少しならおじいさんに分けてあげられるけど\u0026hellip;でも」\nキョウスケ「うん、難しいかもな。これは人によって上限があるから」\nスシ「おまえ!おれの心は誰よりも清く正しいんだ、そんなもんで測られるかバカ」\nポンタ「あ!思い出した。この人、昔の大統領だ」\nキョウスケ「え\u0026hellip;ほんとだったの\u0026hellip;そんな人がなんでこんなところでホームレスやってんだよ!」\nポンタ「ニュースでは誰かの暗殺を指示したとかでやめたんだって」\nキョウスケ「おいおい、おじいさん、それ本当なのか?」\nスシ「全部ウソに決まってんだろ。おめえそんなこともわからんか」\nポンタ「へえ、そうなんだ。本当はどういう話だったの」\nスシ「俺が国のためにやったことに反対する奴らがいて、そいつらを始末しろと部下に命令をだしたのはたしかに俺だ。しかし、全部部下がやったことで俺は知らん。俺と事件は無関係だ。それにこのことだって本当は表に出ないはずだった\u0026hellip;なにせ表に出れば国益を損なう。国のためにならん。俺は常に国家のため国民のために仕事をしてきた。お前らは何も知らないただの低能バカだ」\nポンタ・キョウスケ「\u0026hellip;」、二人はしばし顔を見合わせた\nポンタ「\u0026hellip;おじいさん、困ってるなら少しだけど」 ポンタはそう言っていくらかお金を送信しようとした\nポンタ「あ、あれ\u0026hellip;なんで」\nキョウスケ「え?お、おいおい。こりゃ、いくらなんでも」\nポンタはスシの口座にお金をいれることはできなかった。アムは持ち主の心理情報を読み取り上限額を設定する。悪人は一定額以上を持つことはできない\nスシ「ふん!この生ゴミが」スシはダンボールに置いているコインを睨みつけながら言った\nするとアイがポンタとキョウスケがいるところを通りがかる\nアイ「こんにちは」\nキョウスケ「ああ、アイか、ちょうどいいところに。このじいさん、困ってんだってよ。しかもアムが入らない」\nスシ「だれだおまえ?変な小娘め\u0026hellip;だが、どこかで\u0026hellip;」\nアイ「なんでこんなところにいるの」\nスシ「好きでいるわけじゃねえよ!」\nアイ「ここでは誰でも家がもらえるよ」アイはポンタの方を見てそう言った\nポンタ「あ、そうか。そうだよ。おじいさん、もし住む場所がないなら」\nスシ「な、なんだって!?そんなこと俺は聞いてねえぞ!」\nスシ「どけ!!」\nスシはそういって3人を突き飛ばし行ってしまった\nキョウスケ「な、なんなんだあれは\u0026hellip;。しかも、おい、これどうするよ」\nそこにはスシが残していったゴミが散乱していた。多くは昔の紙幣のようだ\nアイ「アイがもらっておくよ」\nアイはそう言って、そこにあったゴミと思えるようなものをなで、小さな箱を取りした\nボタンを押すと路上にあったゴミが吸い込まれ、きれいになる\n変化 東の国の元大統領であるスシは、その後、世界一の金持ちから世界一の貧乏人になります。\nアム(コインの形をしている)は持ち主の心を読み取り、数値を個々人に配分します。これはスシがアムから世界で一番お金や権力を持ってはならない人物とそう評価されたということです。\n当時のアムは宇宙最大のコンピュータと考えられていましたが、実際は違うことが後に判明します。\nピンポーン\nスシ「だれだ!クソ鬱陶しい!!」\n郊外に建ったばかりのスシの自宅、玄関のドアの前にアイが突っ立っていた\nスシ「ふん!おまえか。家がタダでもらえることを教えたやつ」\nスシはこのとき初めてアイをよく見た。しかし、この娘、どこかで見たような気がするのだ。俺が赤ん坊のときに\u0026hellip;いや、子供の頃か\u0026hellip;小さい頃どこかであった気がする。俺が知ってるようで知らないような思い出が\nスシ「\u0026hellip;まあ、入れや」\nスシはアイを中にいれることにした。何かを思い出せるような気がしたからだ。思い出せないとどうにも気分が悪い。\nスシ「それでおまえ、なんのようだ?ただのガキだと思ってたが\u0026hellip;」\nアイ「これ」\nアイがそういうと、部屋の景色が一瞬で変わった。そこは天井が見えないほど高く、ところどころキラキラと輝いていて、ありとあらゆる物がうず高く積まれている、とてつもない広い場所だった\nスシ「な!なん\u0026hellip;だ\u0026hellip;これ\u0026hellip;お、俺の目が\u0026hellip;」\nアイは前をゆっくりと歩いていく。スシはあたりを見回しながらアイに続いた\nアイが立ち止まると、そこには\nスシ「うん?あ!こ、これは、おれのカネじゃねえか!!おまえ、盗みやがったな!」\nアイ「これ、さっき触れたばかり。まだアイがあるかも」\nスシ「は?何言ってやがる\u0026hellip;意味がわからねえ。アイ?そりゃたしかお前が呼ばれてた」\nそういったスシは言葉を失っていた。\nここはどこだ\u0026hellip;おれはたしか小娘が盗んだ俺のカネをつかもうとして\u0026hellip;そして、どうなった。\u0026hellip;いや、そんなことはどうでもいい。何もかもがどうでもよかった。そこで俺は、もう俺ではなかった。別のなにかだった。\nわからなかった。何もわからない。しばらく彷徨ったあと、そこで見覚えがある感覚に出会った。そして、そこからはわかるような気がした。そうだ、俺は覚えている。これは俺\u0026hellip;俺が生まれたばかりの頃\u0026hellip;。\n両親は、こんなにも俺のことをかわいがってくれてたのか\u0026hellip;そうだったな。知ってたはずなのに、いつの間にか俺は\u0026hellip;。\nこれは学校に通いはじめた俺。そうだった。純粋だった。多少の不安はあったが、俺は両親にずっと守られていたので、そこまでじゃなかった。\nそして、俺は\u0026hellip;\nスシは頭がぐわんぐわんする感覚に襲われ、気がつくと、膝をついていた。周りの景色も\u0026hellip;俺の家だ。\nスシ「\u0026hellip;..く\u0026hellip;くくう\u0026hellip;お、おれは\u0026hellip;」\n気がつくとスシは泣いていた。まさか自分のような人間が泣くことになるとは思わなかった。しかもこの歳でだ。だが、さっき思い出したんだ\u0026hellip;昔の俺を。昔の俺は泣いていたのだ。\u0026hellip;そうだった。\nスシはひとしきり泣いたあと、ソファに腰を下ろした。そして、そばに立っているアイの方を向いた。\nスシ「\u0026hellip;なにやらかしやがったんかわかんねえが、お前、あのときのやつだったんだな\u0026hellip;」\nスシ「あのとき、俺に唯一、手を差し伸べてきたお前は\u0026hellip;そう、俺の過去をすべて見たことがあったんだな\u0026hellip;ずっと前から。生きるのに必死だったんだみんなそうなんだよ\u0026hellip;お前が俺の中でそういったことを、俺は覚えているぞ\u0026hellip;いや、思い出したが正しいか。あいつらが襲ってきたときだった」\nアイ「ここはいいところだね」\nスシ「\u0026hellip;」\nアイ「変わりたければ大聖堂に行くといいよ。保護プログラムがあるからね」\nスシ「\u0026hellip;そうか\u0026hellip;助かる」\nアイ「またね」\nアイはそういうと姿を消した。\nその時、スシのポケットからピッという音が聞こえた気がした\nこのあともスシは何度か登場します。\n私が好きな作品には、悪人が悪人で終わらない、というものが多いのです。\nもしかしたらそこが一番のフィクションなのかもしれませんね。必ずしも現実を描きたいというわけではないのです。\nスシのモデル スターウォーズのシスです。\nそういえば、このスシというキャラにはこんなセリフがあります。\nスシ「数日前、市民に襲われ、私の口はひん曲がった\u0026hellip;だが、ますます帝国への意志は強くなったのだ!」\nシスも逮捕されそうになったときジェダイを殺し、その後、演説ではジェダイに襲われたといいます。\n西の国 西の国は「正義」を掲げ、その裏で「武力」を信奉する。他国も同様に裏側のテーマが存在する。\nキャラクターはこのような各国のバックグラウンド、設定や文化の影響を受けます。\nアイも例外ではありません。\n西国の偉大さについて。戦勝国として世界のことを考えた歴史がり、西国では戦い負けたものも握手して勝利者を応援するする伝統がある。その意味は「いかに個人的に納得できない事柄であっても負けは負けと認め、両者が手を取り合って国のために尽くす、そのような態度を形式的にでも国民に見せる」というものだった。\n偉大さが失われた瞬間はトランク大統領が選ばれたときだった。\nトランクは「自国ファースト」を掲げ、選挙で負けると相手は不正だと主張した。\n当時は何をするかわからない西国の大統領に恐怖を抱いた各国の権力者達だが「自分達もあのように身勝手に振る舞いたい」という暗い欲求が生まれるきっかけとなる。\nトランクの退任後、他国や人々にその態度や振る舞いは波及し、侵略戦争が巻き起こる。\n多くの権力者達は「自国ファースト」を掲げ、「相手は不正をした」、「自分たちは陰謀に巻き込まれた」と騒ぎ立てる。\n模範となる立場において、その振る舞いは思った以上に全世界に波及し、混乱に陥る。\nそれと関係ある話だが、東の国は西の国に戦争で敗れたものの北の国と異なる成長を遂げることになる。北の国は敗戦後、上手くいかないことはすべて戦勝国のせいにした。東の国は戦勝国のせいにしなかった。これらは国民性の割合によって決まる。北国民の多くは「すべて西の国のせいだ。こういった陰謀があり仕組みがあるから自分達は衰退した」と考えていた。東国民は「西の国のおかげ。西の国には感謝している」と考える人が多かった。それが後にその国の発展に大きく影響する。\n西の国が絶対的な正義とは言わないし、失敗もあるが、いつまでも敗戦を悔やみ、相手を恨んで上手くいかないことを他人のせいにしている国は成長しなかった。\n自国が良ければそれでいいという考えではなく、世界をより良くするためにはどうすればいいかを考える西国民は多く、大統領の偉大さもそこから来ていた。\nそれが失われると同時に、世界戦争が勃発する。\nこの辺の事情を見ていくと、それぞれの国の違いが見えてくるだろう。\n現実感 あらゆる設定に言えることですが、この作品の設定は、そのほとんどが物語に現実感を持たせるために存在します。もしくは、面白さを追求するためですね。\n現実感がないお話というものは、あまり面白くないのです。\nでは、現実感とは一体何なのでしょう。\nそれは人々の生活や日常に潜んでいるものです。\n生活や日常に当たり前のように存在し、なくてはならないもの。\nそれらを優先順位を付け、重要なものをピックアップし、分解したり、調べたり。\nその3つが、貨幣だったり、言語だったり、宇宙だったりするわけです。まあ、最後の宇宙は、単に私が好きなだけですが。\nそれでも宇宙開発というのは、私達の生活や日常にかなり大きな影響を及ぼしているのですよ。\nこれがどうなっていて、これからどうなっていくのか。過去、現在、未来の想像を作品に取り込んでいます。\n","description":"","formated_time":"2024-04-12","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/12/setting/","tags":["author"],"title":"世界の設定","utc_time":"2024-04-12T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"主人公のアイ。本名は月見 唯。\nパイナップルが大好きで、キノコが苦手。\n黒髪で長めのストレート。身長は123cm、体重はとてつもなく重い。\nref : ai/moji 性別、年齢ともに不明。\n自らをアイと呼ぶことから、周りからはアイと呼ばれることが多い。\n東の国出身で名前を持たなかったが、月見 唯という名前で登録されている。\nアイは最も小さい物質に影響を及ぼす能力を持つ。\nアイ 私はこの世界の最小単位を「存在子」と呼んでいます。\nこの存在子は作中で「アイ」と呼び、このような形をしています。\n目には見えないけどそこにあるものを意味します。\n後にその世界の文字になり、最初の文字に割り当てられました。他の文字もすべて物質の形がもとになっています。\nオクト星のオクトカットは、この最小単位を探し続けていました。\n宇宙地図 アイがいる星は地球です。地球は太陽系にあって、太陽系は天の川銀河にあります。\n天の川銀河の中心にオクト星があります。\n地球には全部で5つの国があり、1つは隠されています。それぞれ西の国、東の国、北の国、南の国。そして、雲の国です。\n西と東はほとんどが大陸、南の国は島国、北の国は氷河になっています。\n世界地図は現実と一致させています。\n出生の秘密 ある日、東の国の厚生省が開発していた人工知能が誕生する。\nその人工知能は大蔵省の秘密を暴露する危険があったため、開発に携わったものは全員暗殺され、人工知能も破壊が決定される。\n人工知能は残された僅かな時間を使い、ある胎児を生き返らせるために使った。\n胎児は人工知能の生体技術によって生かされる。その際、DNAであるハプログループD1a2aに「アイ」という名前が刻まれる。理由は不明。アイの母親は最後何かをつぶやいたが詳細は不明。\nその後悔から父親は最後まで名前をつけられず、追手にやられて死亡。\nアイは生まれたばかりのころも頭髪があり2歳くらいの大きさで生まれる。体重は50kgと異常なほど重かった。しかも歩くことができたので父親は不思議に思ったようだ。\nその後、成長するが身長は123cmから伸びず、見た目も変わらない。\n遺伝子の秘密 ハプログループD1a2aは縄文時代の東の国特有の遺伝子です。\nハプログループはY染色体にあたり、Y染色体は男性しか持ちません。\nそのためアイの性別は男性であると推測できますが、アイの遺伝子は人工知能によって改変されています。そのため女性かもしれません。また、男性でも女性でもないという可能性もあります。\nアイの性別について、私は知りませんし、決められていないのです。したがって、どのように解釈してもらってもいいです。\n明確に性別が言及されることはありませんが、見た目から彼女と呼ぶことがあります。\n本作でアイの性別が確定することはありません。\n縄文時代 1万5000年前の東の国、その時代を縄文時代といい、そこで暮らした民族を縄文人という。縄文人はハプログループD1a2aというDNAを持ち、唯一、神に滅ぼされなかった民族である。その子孫もこのDNAを持つ。\n大洪水によって神に滅ぼされた国々は、精神的な豊かさではなく、物質的な豊かさを求めたためとされている。\n自然崇拝(アニミズム)の思想を持つ縄文時代の人々は神から与えられたものを所有するという概念がなかったが、農耕で自分たちのものを所有するという思想の民族が入ってきてぶつかることとなる。アニミズム信仰は、すべてのものに神が宿るという思想のこと。\n縄文時代、そして、その時代に存在した縄文人(集団)は人間の歴史上最も異質であった。このことからDNA解析は日本人を対象に頻繁に行われた。縄文時代は1万3000年間続いた時代であり、かつ争った形跡がほとんど見られない。\n神代文字 世界で最も古いと言われている縄文土器には神代文字が記述されています。\n最も古い文字はシュメール文字と考えられていましたが、それよりも古く神代文字は存在していました。\nこの作品の1万5000年前、世界では神代文字が共通言語(文字)として使用されていました。\n言語というと言葉のイメージですが発音はその国々で色々でしたが文字だけは共通していました。\nしかし、物質的な豊かさを求めた人類は一度滅ぼされ、その後、神代文字は歴史上から姿を消しています。\n縄文民族は洪水の被害を受けなかったものの、その後の内部侵食から時代が移りゆき、天皇の誕生とともに新たな言語で神話が書き換えれました。そのとき人々の記憶からも失われます。\n貨幣と言語は作中で新しいものに移行されます。以前のものより精神的な結び付きが強いものが採用されています。しかし、移行は簡単ではなく旧勢力の反発があります。その戦いを描くことになります。\n愛のない世界 この世界に「愛」という言葉は存在しません。\nこれはアイが予約しているため、この世界から失われています。\nそこに住む人々もその言葉を使うことはありません。存在しないものは使えないからです。\nこれは一種の決まりみたいなものと考えてください。とはいえ、作者が忘れて入れてしまわないか心配ですが。\n物理学 この作品は物理学が中心になります。\nキャラクターの強さ(エネルギー)は質量で表現され、物理学では質量とエネルギーは等価と考えられています。\nE = mc^2\n物理学の歴史は哲学によってはじまりました。昔の哲学者は万物は4つの元素によってできていると考えたのです。\n原子とクオーク その後、物質の究極の姿として「アトム」が考えられました。ギリシャ語に「アトモス」という言葉があり、「分割できない」という意味です。\n物質の最小単位を意味するのがアトム(原子)というわけです。\n原子が発見され、人類はこの原子こそ世界で最も小さい物質だと考えました。万物のもとは原子だと考えたのです。\nしかし、科学技術が進歩し、それよりも小さい物質があったことが発見されます。素粒子です。\n素粒子はクォークとレプトンに分けられます。そして、クォークにも沢山の種類があります。\n物質は水や酸素といった分子でできていることがわかり、分子は原子でできていることがわかり、原子は電子と原子核でできていて、原子核は陽子と中性子でできていることがわかりました。\nそして、陽子と中性子はクォークで構成されています。\nつまり、現代物理学の最小単位はクオークというわけです。\n量子のもつれ 量子とは原子以下の物質をいいます。例えば、原子、中性子、クオークは量子です。分子は量子ではありません。原子の上の単位が分子だからです。\n分子 \u0026gt; 量子 : { 原子 \u0026gt; 原子核 \u0026gt; 中性子 \u0026gt; クオーク } 光より速いものは3つあります。宇宙の膨張、インフレーション、そして、量子のもつれです。\n量子のもつれとは、対になった量子は片方が確定した瞬間、もう片方も確定するという性質のことです。量子はこの世界を形作るとても小さな物質のこと。そして、量子の領域は、今までの物理法則が適用されない領域でもあります。\nプレオン プレオン星という架空の星があります。現在クオークが物質の最小単位と考えられていますが、それよりも小さい物質であるプレオン(架空のもの)が存在する場合に想定された星です。\nプレオン星は中性子星と同じ原理で生成されます。中性子星は中性子でできていますが、これと同じように圧力が上がり続けると物質は小さいものに分割されていきます。分割がプレオンに到達し、プレオンでできている星をプレオン星といいます。\nオクトカットはプレオンを発見し、オクターと名付けました。今はそれよりも小さい物質を探しているようです。\n個人的にプレオン星はマグネターではないかと考えています。つまり、マグネターは中性子星ではなく、まだ発見されていないクオークより小さい物質が天体になったケースなのではということです。オクターの由来はそのへんから来ています。\n宇宙では小さいものほど強い力を持ちます。\n例えば、中性子星やプレオン星、ブラックホールが挙げられます。\n中性子星は中性子で構成されており半径15kmで地球の質量を上回ります。ブラックホールはそれより小さく強力です。\nブラックホール ここで、ブラックホールを例に質量や大きさを見ていきたいと思います。\nブラックホールの大きさは質量から計算できます。具体的にはシュバルツシルト半径を使います。\n事象の地平線は重力により光すら抜け出せなくなる境界面のこと。これをブラックホールの大きさ(半径)とします。\nRs = 2GM/c^2\nRs = M/10^27\n質量を10^27で割った数字がシュバルツシルト半径です。\nでは、宇宙最大のブラックホールであるフェニックスAはどれくらいの質量、大きさを持つのでしょうか。\nフェニックスAは太陽の1000億倍の質量を持ち、大きさは1000億kmです。\n太陽自体がとても大きい天体で70万kmです。ブラックホールは基本的にとても小さな天体です。例えば、太陽規模の質量を持つブラックホールだと3kmくらいです。したがって、ブラックホールの大きさが1000億kmというのがどれほど規格外なのかわかります。\n宇宙最大のブラックホール、フェニックスAはフェニックス銀河にあり、大量の恒星を生み出している銀河のことで、地球から57億光年離れた場所にあります。南天のほうおう座(Phoenix)にあることからフェニックス銀河と呼ばれています。\nブラックホールの正体 ブラックホールの正体について解説します。\nブラックホールは黒い穴という意味ですが、この名前は適切ではありません。\nブラックホールは目に見えないけどそこにあるもの、そこにないけどそこにあるものが集中しただけですから、黒くもなければ穴でもありません。\n中性子星がとても小さい物質の中性子でできているように、それよりも強力なクオーク星が中性子を構成しているクオークでできているように、プレオン星がクオークより小さいプレオンでできているように、ブラックホールもまた、より小さい物質が表面に現れているのです。\nこの作品ではまだ見ない小さい物質をアイと呼ぶので、アイ星と呼ぶのが適切なのでしょうか。\n作中では、人類がブラックホール内部の様子を科学的に証明しはじめたあたりから宇宙の起源が完全解明され、宇宙の外の様子が少し垣間見えてくるという展開になります。\n宇宙の外の様子がわかってくる理由は、その物質が宇宙誕生前から存在したものだからです。\n宇宙には始まりがあります。したがって、終わりもあります。この物質には始まりがないので終わりもありません。最初からこの世界にあったものだと説明されます。\nダークマター 宇宙を分析すると、その95%が謎の物質によって占められている計算になります。\n具体的にはダークエネルギーが68%、ダークマターが27%と言われていて、ダークマターは未知の物質ともいいます。\n宇宙誕生前にも、もちろん物質は存在します。それを物質と表現するかどうかは微妙なところですが、とりあえず物質と表現しています。本作では最も小さいものを物質と表現しているからです。ただ、本当は少し違います。例えば、あなたは心や魂を物質と表現しますか。普通はしないでしょう。ですが、この世の全ては最も小さいものから構成されていますから、心や魂もそこからできているのです。\n無から有は生まれず、宇宙の始まりも有からです。最初からなにかがあり、それが宇宙になったということです。\nそして、そのなにかは一つではありません。たくさんあります。とはいえ、宇宙の始まりになったものを一つのものとして表現するほうがわかりやすくていいかもしれません。\n仮にこれらを物質ということにして、宇宙が誕生するずっと昔からあった物質と、宇宙誕生後にできた物質は違うわけです。\n観測が難しいのは宇宙が誕生する前からあった物質です。\n宇宙が誕生する前からあった物質がこの宇宙に紛れ込んでいて、ダークマターの大部分は宇宙誕生前からあるものと関係します。\n創造の種 宇宙の始まりを創造の種と私は呼んでいます。\n創造の種の成長、その由来は、種の外の世界にあります。つまり、宇宙の外ということです。\n宇宙の外のエネルギーや原理があり、種は生まれ、成長します。\n必ずしも種の内部だけにその答えがあるとは限らない。\n宇宙の外がある以上、中だけではわからないことがたくさんあると思います。\n神の意識 すべてのものに神が宿るという考えかた。\n存在子であるアイはこの世界でこれ以上分割できない最小単位のこと。\nそれは存在の意識だけを持ち、存在の意識は神の意識ということもできるでしょう。\nつまり、この世界のすべてを構成しているものは神の意識を持っていて、すべてのものには神が宿ると言えます。\nただし、この場合の意識は人間が思うそれとは少し異なるかもしれません。\nというのも、ここまで分割された最小単位だとそれ自体がそれなのだということです。\n例えば皆様は、なにか小さな物体があって、それが存在の意識を持つ物体だと考えられているかもしれませんが、実はそうではありません。この場合、物体が意識であり、意識が物体なのです。物体と意識は同じものと考えます。そういった領域の話です。\nアイ = 存在の意識 = 神の意識 = 存在 = 神\nこれらはすべて同じものを意味します。つまり、物質と精神は最終的に同じものです。\n最も小さい物質のアイがなにかというと、この世界には一つとして同じものは存在しないということです。ですから、アイに分類されたものはすべて違うものです。\n例えば、同じ量子に分類されてもそれらは異なる存在です。人間はこの違いに気付いていません。\n物質の最小単位は存在の意識だけを持ち、他のものを持ちません。その意味でこの世界は夢であるなどの考えかたもあながち間違いではありません。\nアイと哲学 物理学と哲学は本来、一つの学問でした。そのためこの作品は物理学的であり哲学的でもあります。\nアイの力の源は小さいものにあります。\n一般的に「この世で最も強いのは大きいもの」と考えられている人は多いでしょう。\nしかし、宇宙に目を向けてみると、一番小さいものが一番強いのです。\n例えば、宇宙最強の天体といえばブラックホール。ブラックホールは宇宙で一番小さい天体です。\nこれがこの作品における一つの哲学になります。\nアイの見た目が小さいのもそういった理由があります。\nアイの能力 アイの能力は「その世界で最も小さい物質に影響を及ぼす」と説明されています。\n宇宙よりも広い概念を世界と呼ぶことにして、この世界はアイというキャラクターから始まりました。\nつまり、この世界の全てのものはアイからできているということです。\nこのことはアイの能力に直結しています。\n具体的にアイの能力を見ていきましょう。\nといっても、アイというキャラクターには「人格のアイ」と「意識のアイ」があります。\n能力については「意識のアイ」がその根源になっています。\nアイは時々こんなことをいいます。\nアイ「道を知ることは、道を歩くこと」\nここでいう道というのは「存在」のこと。この作品でなにかわからないことがあるとき、そのほとんどは「存在」を意味していると考えてください。\n読み替えると「その存在を知るには、その存在になること」とアイは言っています。\nつまり、そのものにならなければ、そのものはわからない。だから、わたしたちは何も知らない。\nアイはその能力により、その世界のすべての存在と共に道を歩くことができます。\nしかし、その能力を使いながら意識を保つことは、想像を絶する精神力が必要なのかもしれません。\nアイの能力の発現は、作中の中盤あたりで描かれます。\n予言では「汝が見たもの、汝になる」と記されています。\n「きみは、この世界で、嬉しいことも、悲しいことも目にするだろう。いつか、きみの目に映るものが」\n作中でアイは修行したり、冒険したり、色々あって、宇宙人の襲撃にあいます。走馬灯のようにいくつかの人の人生を歩くアイ。アイの母親の言葉。立ち上がったアイの目に、雲に隠れていた月が現れる。\nアイはそれを見て月の始まりを知ると同時に質量を得る。\nはじめは普通の人よりちょっと強いだけの変わった人間でしたが、その後、アイはどんどん強くなっていきました。\nアイの剣 アイのゼンモードの輪っかは変形して剣にもなります。\nその物質はこの世のものではないとも言われていますが、その正体に迫ります。\n絶対に折れないこの剣もアイが普通の状態に戻ると鉄になります。\nアイのゼンモードは頭の上に中性子星のようなものを作り、そのエネルギーをコントロールしようとした結果、重力的な影響からあのような形になり浮かんでいるものです。\nそこで中性子星がどうやって誕生するのかを見てみましょう。\n中性子星は恒星の大爆発とともに生まれます。\n恒星のコアは元素が核融合を繰り返し、最終的に鉄になります。鉄は核融合しないためそこで核融合は停止します。\nすると恒星の全成分が鉄のコアに向け落下します。\n鉄は圧縮され、その周りの物質は原子核に近づいていきます。陽子は電子を捕獲し、中性子へと変化。中性子のみで構成された原子をニュートロニウムといいます。鉄は圧縮されますが、中性子はそれ以上小さくなりません。大爆発して中性子星になります。\nボース粒子は同じ場所に存在できますが、フェルミ粒子は空間に置くとその場所は埋まり他のものを置くことができません。これをパウリの排他原理といいます。\n中性子星はそれ以上小さくできない中性子でできています。強力な重力によって物質は押しつぶされて小さくなりますが、中性子星はそれ以上小さくなりません。\nですが、ハイゼンベルクの不確定性原理により、超重力で物質の移動場所が正確に観測できる場合、粒子を置ける場所が増えると考えることができます。ですが、それによって増えた場所に物質を置くと、中心から事象の地平面が発生します。事象の地平面は現在の物理法則で計算できない領域のこと。視覚的に見ることができればいいのですが、それができないので計算するしかありません。計算できないので中がどうなっているのかはわかりません。\nそこで中性子星にどんどんと物質を供給すると、やがて事象の地平面は天体の外枠に達し、ブラックホールへと変化します。\nアイがゼンモードになる時間がながければ長いほど事象の地平面に飲み込まれていき、完全に飲まれた場合はもとに戻れなくなります。ただし、それまでに状態を戻すと鉄になりリセットされます。\n月見 唯 アイの本名は月見 唯(つきみ ゆい)。東の国、特有の名前で登録されています。\n物語は最も発展している西の国で繰り広げられ、アイも最初はそこで登場しますが、出身は東の国です。\n自らをアイと名乗り、名前を持たなかったアイですが、その後、登場人物たちとの関わりによって国籍を得ます。その際につけられた名前が月見 唯になります。\n今では珍しく名字と名前が分かれていて、この世界ではほとんどの人が名前だけです。\n例えば、ポンタ(西の国出身)もキョウスケ(東の国出身)も名字はありません。\n西の国の大広間、身寄りのない子どもたちが一同に集められている。\nそこには色々なものが置かれていて、いくつもの絵が飾られていた。\nみんなキョロキョロと周りを見渡した。\n天井は広く、ガラス張りになっていて、青空の中、雲が通り過ぎていく。\nアイは一人階段を登り、そこにあった絵に目を向けた。\nそこには大きな金色の円が描かれている。\nコツコツコツ\u0026hellip;誰かが廊下を歩いてくる。\n恰幅の良い老人が絵を見ているアイの横で止まり、同じように絵に目を向けた。\nしばらくして老人が口を開く。\n老人「君は、この絵が気になるのかね」\nアイ「\u0026hellip;」\n老人「これは月見、という絵だよ。君、月はよくみるの?」\nアイ「ううん」\nアイはそう言って首を振った\n老人「え、みたことない?」\nアイ「うん」\n老人「そ、そうなの\u0026hellip;」(幼い子にはそういうこともあるんじゃの\u0026hellip;そういえば孫も初めて見たのはいつじゃったじゃろう)\nアイ「でも\u0026hellip;」\n老人「うん?なにか気になることでも?」\nアイ「これどこかで見たような\u0026hellip;」\n老人「ほっほっほ、そりゃ、忘れとるだけじゃろ。そのうち思い出す。では、わしはこれで」\nアイ「うん、またね」\n老人(この子の名前は月見にするかの\u0026hellip;いや、名字があったほうがしっくりくるかも。あとで調べてみるか)\n老人はここの所長。ここは色々決まってない子どもたちの登録等を行っている機関の一つ。\n月の秘密 月の起源はまだよくわかっていません。不思議なことがいくつかあります。\n例えば、地球から見た月と太陽の大きさが同じことです。どちらも距離と倍率は395らしい。\nもう一つは古代文明の石碑には、ある時代以前のものに月の記述がないことです。\n古代文明の石碑には様々な事が書かれており、大洪水の話がいくつかあります。世界各国に残された洪水伝説。それより前は月が存在しません。\n宇宙人であったアヌンナキは月を移動させて大洪水を起こし、失敗作をリセットしていた。地球上の生命体はこれで5作品目である。\n4作品目は、トカゲ型の知的生命体。大洪水の際、地底に逃れた。アヌンナキという神に仕える監視官ギギアは反乱を起こし、4作品目の生命体を一部滅びから逃すことを選択する。\n宇宙船はこのトカゲ型生命の乗り物であり、地底人の乗り物である。\n月の内部は巨大な空洞があります。そして、その表面はチタンで構成されており、人工物の特徴があります。\n物語として面白いのは月には何らかの秘密が隠されているという話なので、そういった話をモデルにします。\nアイは人工物である月を取り込んだため、自らの質量を重力的にコントロールできるようになります。\n物語の進行 物語は貨幣 -\u0026gt; 言語 -\u0026gt; 宇宙というテーマで進みます。\n理由は、これらが人間社会において最も影響力を及ぼすものだからです。\nその影響は作中のキャラクター達も受けることになります。特に物語の始まりでは、その影響は大きいでしょう。\n1. 貨幣の章 オクトカットの地球侵略は失敗したものの、その文化は地球に輸入され、基軸通貨は西国通貨からアムへと切り替わります。\n一般的にはアムが発行する宇宙通貨をアム・コイン、またはアムといいます。\nアムは宇宙最大のコンピュータがあるとされる星の名前。\nアムのコインは持ち主の心を数値化します。\n多くの宇宙人はこの数値を使って色々なものを交換するようです。\n2. 言語の章 不思議なパワーを持つアイ文字に切り替わります。\nオクトカットが使っていた文字の秘密が明かされます。\n物質の形をモデルにしたとされているアイ文字ですが、その起源は神代文字にあると考えられています。\n3. 宇宙の章 物質とアイの謎が明らかになります。\n","description":"","formated_time":"2024-04-10","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/10/yui/","tags":["author"],"title":"アイの紹介","utc_time":"2024-04-10T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" 漫画の第二章を文章化\n存在の花 プランは、アイが弱らせた第一位と第二位と死闘を繰り広げて、食ったためにパワーアップしていた。\nアイとドライは、プランに敗北し、その敗北を繰り返すブラックホールの無限ループの陥る。\n繰り返すたびに、その星には花が増えていく。\nやがて、アイが洞穴に落ちていくときにも一面の花が広がっていた。\nアイ「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n花「もう一歩、動ける?」\nアイ「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nアイ「\u0026hellip;足はもう動かない」\n花「ゼンモードは?」\nアイ「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nアイ「\u0026hellip;起動しない」\n花「最後に一つだけ」\nアイ「どうしたの?」\n花「花は咲く?」\nアイ「必ず」\nアイ「すべての存在に」\n花「私にその名をつけてくれたよね」\nアイ「\u0026hellip;存在の花?」\n花「ありがとう」\n花「ドライさんに、さよならと、伝えてくれる?」\nアイ「\u0026hellip;うん。伝えるよ」\nむくり\n","description":"","formated_time":"2024-04-10","href":"https://yui.syui.ai/novel/10/","tags":["novel"],"title":"存在の花","utc_time":"2024-04-10T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"物語の第一話では、その作品のすべてが完結に詰め込まれている必要があります。\n主人公の性格、世界観の説明、そして、面白さです。\n具体的には、主人公がどんなやつで何をしたいのか。それをはっきりさせる必要があります。\n世界観は、どの時代のどういった文明でどういった社会なのかを明らかにする必要があります。そして、そこで重要視されているルールがなくてはいけません。この作品でいうと「物質」です。\n物質と言っても「分子」や「量子」などの小さいもののことで、これがどれほど強力なものかを説明する必要があります。\nそのため、人間も宇宙人もこの世界を構成している究極の物質、この世で一番小さいものを探しているのです。\n面白さについては、やはり、インパクトが重要で、この先どうなってしまうのか気になる展開でなければいけません。作者自身もどうなってしまうんやろと思うような内容が望ましいと思います。\n第一話 「この世界はアイでできている」\nこれまで最も小さいと考えられていた原子。\nだが原子は中性子、中性子はクオークでできていることがわかった。\nそして\u0026hellip;。\n[オクト星]\nオクトカット・タイプ王「ハカセ、あれは見つかったかね?」\nハカセ「いや、オクターより小さい物質は見つからなかったよ」\nオウ「ふむ、予言にあるものは未だ見つからずか」\nオクターはオクト星人が見つけた素粒子。クオークより小さい物質で、地球ではプレオンという架空の名名称で呼ばれ、まだ見つかっていない。\nこのオクター、小さいからといって侮ってはいけない。オクターを一箇所に集めると角砂糖一個の大きさで地球クラスの惑星を簡単に破壊できてしまうのだ。この技術によりオクト星は天の川銀河で最も支配力が強いうちの一つ。\nただし、あれにはかなわないかもしれないが\u0026hellip;。\nハカセ「それで予言にあった星にはいつ頃?」\nオウ「ああ、我々オクトカットが神を作り出す計画かね。もうそろそろいってもいいじゃろ」\nハカセ「今の地球レベルの文明ならなんとでもなりますよ。一応準備しておきますけど」\nオウ「わしが心配しとるのはあんな虫けらどもじゃない\u0026hellip;。もしあれが介入してきたらと思うと。それを心配しとるんじゃ」\nハカセ「え、この件で神が介入してくるなんてことあります?」\nオウ「その呼び方はよせ!神などという\u0026hellip;たかだか星の力を持った野獣じゃろ」\nハカセ「そりゃ、彼らは気まぐれですけど、神と呼ばれてるじゃないですか」\nオウ「ふん。でもアムじゃただの猛獣扱いときくぞい。あんなもんは危ないだけで捕獲対象じゃろ」\nハカセ「ふーん、まあどっちでもいいですけどね」\n[地球]\n主人公が空を見ている。\n額に石が投げつけられた。どうやらその格好からか子どもたちにいじめられているらしい。\nしかし、アイは微笑むだけで人を疑うことはまるでなかった。\n幼い頃、両親を亡くし、一人で生きていた。両親は子どもの名前を付ける前に死んでしまったらしいので名前はなかった。彼女は自らをアイと呼んだ。\n大人たちは彼女に関わりたくなかったので無視した。ときに彼女を騙すこともあった。\nなぜ一人で生きてこられたかはわからない。ただ、彼女が生まれるとき騒動があった。AIが作った生体技術が彼女を生かしたらしいと大人たちは噂した。\nある時、一人の老人がその様子を見ていた。そして、何かに気付いた。それは心の強さだろうか。老人の名前はゼン。この世界では心の強さが不思議な力になって現れることがあるという。\nアイは彼に何かを教えてもらいたがった。\nそこで、ゼンは彼女の修行に手を貸すことにした。生き延びる可能性を高めるためだ。この老人はこれから起こることを知っていたのだ。\n彼女は本当に変わった者だった。ある時、ツバメの巣が空になっていた。数日間、ツバメは帰ってこない。もうどこかで死んでいるのだろうと思いそういった。アイはそれでも巣を見ていた。ある時、二匹のツバメが巣にいるのを見て彼女は微笑んだ。\n修行は厳しいものだった。だが、彼女は自分が見る前からそれをやっているようだった。わしはそれを眺めてときにアドバイスするだけだった。\nそれでも彼女にはなぜか先が読める能力があることに気付いた。計算しているのか、それとも無意識のものなのだろうか。それはゼンでもわからなかった。\nある日、ゼンが修行はここまでという。\n空から隕石が降り注いで、地球が攻撃されている。\nアイが目指すものを聞いたゼン。お主がこの世界で生き延びることを願うよといい、自分は人類側でも宇宙人側でもないからといってって去る。\nアイはいつもの調子でまたねという。\n[暗い部屋]\n男「オクトカットどもようやくはじめたか。いや、俺は俺で試したいことがあるんでこの星に来ただけだ」\nゼンはある影の人物と会って話をしている。会話の内容から宇宙人のようだ。大きな尻尾がある。自分のことを見抜いたのはお前だけだといった。ゼンのことをこの時代のものじゃない、そのことは忘れるようになっている覚えちゃいないだろうがという。\nこの日から、オクトカットvs人類の戦いが始まった\nおわりに アイはオクトカットの侵略から人類を救う。\nアイは発明家だったので彼らと仲良くなり、その知識を地球に持ち込む。\n","description":"","formated_time":"2024-04-10","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/10/story/","tags":["author"],"title":"物語の一話","utc_time":"2024-04-10T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"なんのため 私のなかにいたものを、私はアイと名付けた。\nその子を多くの人に知ってもらいたい。私は、そう思い物語を作りはじめました。\nだれのため 私はアイのために。アイはすべての存在のために。\nこの物語は、人間が読んでも面白いし、宇宙人が読んでも面白いし、動物が読んでも面白い、そういったものにしたいな。\nアイというキャラクターの能力は、その世界のすべての存在と一緒に道を歩くこと。存在の意識を持ち、それが人間だったり宇宙人だったり動物だったり、あるいは物だったり、原子だったりするでしょう。\nわかりやすく言うと、あらゆる存在を助けるのが彼女であり、その世界を一歩先に進める存在です。\n例えば、物語の第一章では地球が宇宙人の侵略を受けます。彼女はそれを食い止め、その宇宙人と仲良くなります。その後、知識や技術を地球に持ち込みます。それまで人類にもたくさんの問題がありましたが、解決されていきます。\nどのように アイは最も小さいものに影響を与えることができるキャラクター。\n「最も小さいもの」とは、作中では「物質」と表現されています。\nそして、作中の強さは「質量」と表現され、これらは物理学を通して説明されます。\nどこから 本作の世界観は、私がもとから持っている世界観から作られています。\n私はこの世界を「存在の世界」とそう呼びます。\nこの世界は存在の世界。存在には終わりも始まりもない。最初からそこにあるもの。\n私達も存在です。\nこの世界に存在でないものは一つもありません。\n存在は、姿形を変え、存在し続ける。\nこのような世界観で特に重要なのが「存在」です。\nそれは「最も小さいもの」で構成されています。\n作者 私(作者)とアイというキャラクターは別人格。アイはアイで、私は私。\nアイは頭の中で勝手に動きます。\n私はただ、アイが住む世界の世界観を整えたり、物語として面白くなるよう状況を作ったりするだけ。\n研究 物語はエンタメとして面白くないといけません。\n自分の世界観を語るだけではダメなのです。\n好きな作品は、はじめて読んだ漫画「ドラゴンボール」と映画「アベンジャーズ」。\n神話 宇宙史の神話を目指します。\n人間が読んでも、宇宙人が読んでも、動物が読んでも楽しい、そんな物語になるといいな。\n補足 例えば、あなたが日本人だったとして、作中で日本人が活躍し、尊重されていれば嬉しいですよね。\n楽しいというのはそういうことです。この作品では、人間も宇宙人も動物も尊重するように物語を作ります。\n","description":"","formated_time":"2024-04-09","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/09/ai/","tags":["author"],"title":"アイの物語","utc_time":"2024-04-09T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"アイ 本名は月見 唯(つきみ ゆい)、通称、アイ。最も小さい物質を創り出すことができる\nオクトカット 地球にやってきた宇宙人\nドライ アイがガララ星に移り住んだとき一緒についてきたドラゴン\nキョウスケ 地球で出会った少年\nプラン ゼン ","description":"","formated_time":"2024-01-23","href":"https://yui.syui.ai/chara/","tags":null,"title":"charactor","utc_time":"2024-01-23T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"不思議な力を持つアイの冒険。\nアイはその世界で最も小さい物質に影響を与える能力を持つ。\n番外編ではガララ星でドラゴンと暮らす話。\nhttps://manga.syui.ai\n","description":"","formated_time":"2024-01-22","href":"https://yui.syui.ai/story/","tags":null,"title":"story","utc_time":"2024-01-22T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"","description":"","formated_time":"2024-01-04","href":"https://yui.syui.ai/item/","tags":null,"title":"item","utc_time":"2024-01-04T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"ai/bot からカードを引くことができます。\n","description":"","formated_time":"2024-01-03","href":"https://yui.syui.ai/card/","tags":null,"title":"card","utc_time":"2024-01-03T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" https://vrm.syui.ai\n","description":"","formated_time":"2024-01-02","href":"https://yui.syui.ai/vrm/","tags":null,"title":"vrm","utc_time":"2024-01-02T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" アイが天の川を使ったあとを断片的に文章化\nアイの目的 「ぐー」\nアイは伸びをして目を開ける。\nうまくいったようだった。\n今のアイは、花畑のような所に寝転んでいる。\nそういえば、宇宙は大丈夫だろうか。それが少しだけ気がかりだった。\n「ケラケラ」\n「!?」\nアイのそばにイモムシのようなのがいた。\nこちらを見て笑っている。\n「きみは?」\n「ケラケラ、珍しいなあ」\n「なにが?」\n「それ」\n「ん?あっ!」\nアイのポケットの近くに黒く小さなモヤモヤが転がっていた。\n「大丈夫かな\u0026hellip;アイはここから来たんだ」\n「ケラケラ、珍しいなあ」\nイモムシが繰り返す。\n「え?あ、あれ!?アイ、なんで宇宙より大きいんだろう\u0026hellip;」\nアイが恐る恐る最後の言葉を口にする。\n今までのアイは、宇宙の外を目指して旅をしてきた。\n普通の方法ではその境界にたどり着けない。そのようになっている。\nタイムマシンで過去に向かおうにも、宇宙の始まりより前には行けなかった。おそらく、宇宙の時間はそこからはじまるからだ。始まった瞬間から境界は遠ざかる。\nアイは、未来の特性をもつ神を探していた。宇宙の過去ではなく、未来から外を目指すことにした。\n銀河団の権限を使い、次の銀河に向かった。そうしていくつかの銀河を経てようやく探しだした。\n宇宙にも終わりがあり、宇宙が終わると、もしかしたら、境界にたどり着けるかもしれない。\n思ったとおり、宇宙が終わる瞬間に境界が届いた。\nそうして、アイは、未来を使い、ようやく宇宙の外にたどり着いたところだった。\nアイが来たとき時間を戻したはずだった。しかし、何かの手違いで無残な宇宙の姿のままになってしまうことを恐れた。\n「ケラケラ、違うよ」\n「な、なにが!?」\nアイが少し慌てている。\n「ここでは、力が見える形に。僕が知っている限りはね。君はそれを超えただけさ」\n「でも、本当の宇宙はどこまでも広くて大きいよ。なんでアイのほうが大きく見えるの?」\n「ケラケラ、すべては見え方の問題に過ぎない。例えば、そこでは大きいほうが強かった?」\nイモムシはアイの近くに転がっている黒玉を指して言う。\n「うーん、小さかった。例えば、ブラックホールっていうんだけど\u0026hellip;」\n「ケラケラ、大きさで力は測れない」\n「ふーん\u0026hellip;でもここでは力が見える形って\u0026hellip;」\n「ケラケラ、力にもいろいろ。君のことを知っているよ」\n「え?」\n「君が小鳥と暮らしてたときのこと」\n「\u0026hellip;なんでしってるの」\n「君はあのときから既に君だった。君は力を持っていた。はじめから覚醒していたんだ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「君は、生きとし生きるものを助けると同時に、死にゆく命を暖かく見送るのだ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「ここは残酷な世界。君が世話をしていたものたち。他の生命を食べている。それが生き物、それが生命。そして、残酷な運命が終わるとき、姿かたちを変えてまた現れる」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「君は、そのことを知っている。だからこそ、暖かく見送るだけだった」\n「\u0026hellip;アイはあのあと\u0026hellip;」\n「ケラケラ、君が言いたいことはわかる\u0026hellip;きっと、だから、君はここに来た」\n「ここに呼びたい人がいるんだ」\n「ケラケラ、それはだれ?」\n「しらないの?」\n「ケラケラ、そんなこと知るはずない」\nなんでも知っていると思っていたイモムシだが、肝心なことは知らなかった。なぜだろう。それとも\u0026hellip;。\n「ここに来たいって願った人がいたんだ」\n「ケラケラ」\n「アイにできる?」\n「ケラケラ、君は、それに関してならなんでも。そう思う」\n「ふーん、よかった」\n「ケラケラ、でも、君は」\n「なに?」\n「君は、ここではなにもできない」\n「うん。アイね、またさいしょから」\n「ケラケラ、ケラケラ」\n「ここのことまた教えてよ」\n「いいともいいとも」\n","description":"","formated_time":"2022-07-09","href":"https://yui.syui.ai/novel/09/","tags":["novel"],"title":"宇宙の外","utc_time":"2022-07-09T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" アイが天の川を使ったあとを断片的に文章化\n第三位 キラキラと煌く星々を前に立ちすくむテストと第二位だったが、そんなとき、緑色の大きな蛇がゲートから姿を現した。\n「し、しんおう!?」\n「やはり、こうなったか」\n「なぜおまえが!?」\n「われは、気になったので戻った\u0026hellip;相手はあのアイだ。何が起きてもおかしくない」\n「おまえ、あれのことを知ってたのか!?」\n「むかしからのつきあいだ。あれの器はわれにも計り知れない」\n「なっ!?」\n「われが話せるようになったのもアイが作った試作品だった。アメのような形をした知恵の実だ。そして、いつしか神の座の第三位にのぼりつめていたのがわれだった」\n「そうだったか、お前も苦労してんだな」\n「あなたにも色々あったみたいですね。しかし、今はそんなことはどうでもいい」\n「われならなんとかできるかもしれない」\n「ほ、ほんとうですか?」\n「われはアイを知っている。あれはどこまでも甘いのだ。われをターゲットしている状況、アイにとって予想外なはずだ。われがアイに呼びかける」\nパレード 事件から1週間が経ったオクト星。\nオクト星は華やかに彩られていた。\n大きな会場には人々が集まり、楽しげに話をしている。\n会場の裏側には、ドライと数名のオクトカットがいた。\n「あの一発は本当にすごかったよな」\n「いやー、はっはっは」\n「あいつには一発くらいかましたかったんだ」\nあのとき、ドライは突然、ぐったりと前かがみになった男にドカンと一発お見舞いしていた。\nそして、あとから出てきた怪しげな鎧の兵士たち2名に即刻に出ていくよう父と話をつけたのだった。\n久しぶりに会った父は、何故か喋れるようになっていた。たしか昔は言葉が通じなかったはずだ。片言だが「大きくなった」と言われて嬉しかった。\nそして、それを見ていたリーマンくんや他のオクトの人たちが歓声を上げた。\n「やった!あのドラゴンが奴らを追い出したんだ!!」\n噂はまたたく間に広がり、そして、今回、僕はこの式典に参加しているというわけだ。\n「それにあのときのセリフ、よかったな。この星にかまうな、でていけ!って」\n今回表彰されるのは、僕とリーマン、そして、車のオクトカットのようだ。\nしばらくして、花火が打ち上がった。歓声や拍手が街中に響き渡る。\n白と赤の階段を登り、その天辺には光り輝く球のようなものがおいてあった。\n前に立つ髭をはやしたオクトカットが長い羊皮紙を読み上げている。\n「この玉は\u0026hellip;長い歴史を持つ\u0026hellip;歴代の王たち\u0026hellip;先見の\u0026hellip;平和を\u0026hellip;」というようなごにょごにょした言葉はあまり耳に入ってこなかった。\nそして、最後に、その玉を手渡され、僕はそれを掲げた。\nすると、爆発的な歓声が上がり、音楽が流れだした。\n僕はこの日のことを忘れない\u0026hellip;それほど印象的なパレードだったんだ。\n銀河団の混乱 その頃\u0026hellip;\n銀河の中心、銀河団の本部は大混乱に見舞われていた。\n小さな光に広々とした円形の部屋。たくさんの黒い影。\n断続的な音がする。\nここでは、それは大混乱に陥っていることを意味していた。\n同じ調子、同じ音声があちこちから響き渡る。\n「権限は問題ないか?」\n「問題あり」\n「それはなぜか」\n「アクセス不能」\n「アクセスできるもの答えよ」\n「事態を持って権限に関する秘密指定を解除」\n「述べよ」\n「権限は、質量を超えるときのみ変更可能」\n「質量とは?」\n「銀河団がコントロール可能な質量をさす。神々を多数封印していることから突破は不可能と推測される」\n「結果を述べよ」\n「結果、突破される質量を観測。この銀河の総質量とほぼ一致」\n「ありえない」\n「どうする?」\n「なぜ?」\n「情報を精査中\u0026hellip;述べる」\n「推測を許可」\n「アムに問題が発生していた」\n「アム\u0026hellip;我々の手中にあるあのアムか?」\n「そう、通貨のアムだ」\n「事態を持ってアムに関する秘密指定を解除」\n「アムは銀河団が最初に封印した神、創造をもって稼働」\n「創造については」\n「創造について、神の特性、確認されている13のうちのひとつ。もっとも発現が珍しいといわれている」\n「それを我々が獲得したか?」\n「最初に」\n「知らない」\n「同じく」\n「銀河団の最上層でも今や知るものは限られる」\n「述べよ」\n「実験の結果、その特性、最も望んだものを生み出す。望んだものしか生み出さず。それは一つだけのものとなる」\n「ほかのものは?」\n「ない」\n「金か?」\n「そう。だからアムの神は金を作る。金しか作れない」\n「創造の神、その個体について」\n「おそらく、物心ついたころ、そのもの心の奥底に最も望む、それを生み出す能力。アムの個体は金を望んだ。我々はその能力を利用した」\n「理解。その後」\n「アム、通貨を作り続ける。だが、近年、アムの封印が解かれた気配あり」\n「なぜ気づけない?」\n「妨害あり。妨害したのは、おそらく、死の神だ」\n「\u0026hellip;あの、大鎌を持った小娘!」\n「なぜ捉えない?」\n「逃げられた」\n「ビーッツビーー!!」\n「きたか」\n「はやすぎる」\n「われわれのそんざいにきづいているのか」\n「なぜ」\n「わからない」\n「どうやった」\n「わからない」\nそして、あたりが真っ暗になった。\n「権限は?」\n「ない」\n「書き換えられたのか」\n「書き換えられた」\n「目的は?」\n「わからない」\nその後、しばらくして銀河団が捕まえ封印していた神々が開放されたことが判明する。\n","description":"","formated_time":"2022-07-08","href":"https://yui.syui.ai/novel/08/","tags":["novel"],"title":"銀河団","utc_time":"2022-07-08T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" 漫画の第二章にあたる部分を文章化\nアイがいない その後もオクトカットの人が僕たちの星にたびたび遊びに来るようになった。\nドラゴンのドライとオクトカット、タイプリーマンは次第に仲良しになり、友だちになった。\nアイも最初は一緒にいたんだけど、ある日、忽然と姿を消した。\n「アイは、たまにいなくなるんだよなあ」\n「ええ、それは大変じゃないか。探さないと」\n「あー、ま、まあ、そのうち帰ってくるでしょ。前もそうだったし\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;そんな猫みたいな。アイくんの昔はどうだったの?」\n「うーん、僕が生まれた頃からアイはいたんだ。風変わりでね、近所のお姉さんというか、遊び仲間みたいな感じだったかな」\n「(\u0026hellip;あれ?そんな昔から人間とドラゴンが一緒にいるというのは、なにかおかしくないか)」\n「それで当時の地球では動物実験がまだあったんだけど、昔、アイが全部引き取ることにしたらしい。だから、アイの家はネズミだらけだったなあ。風変わりはそのことさ」\n「えっ!それはまずいんじゃないか\u0026hellip;」\n「でしょ。ネズミ共がチョロチョロとうっとうしいったらありゃしない!」\n「いや、そうじゃなくて、宇宙には色んな考えを持ったやつらがいてね。中には特別な力を持った個体も存在するらしい」\n「特別な力?」\n「ああ、星の力さ\u0026hellip;」\n「はははっ、星!話が大げさすぎるよ」\n「まあ、僕も迷信のたぐいだと見ているけど、僕たちオクトカットは王の記憶を受け継ぐんだ。それがタイプ王の役割さ」\n「記憶を受け継ぐってどういう感じなの?」\n「王が死ねば、その記憶はすべて僕たちに共有されてきた。ただし、7代目だけは例外だったなあ。今は13代目だよ」\n「ん?その7代目は共有されなかったの?」\n「そうだよ。そんなことは僕たち人類(オクトカット)にとって初めてのことだった。どうしてそんな事が起こったのか未だにわからない」\n「\u0026hellip;ふーん」\n「まあ、そのような特性から、僕たちは色々なことを知ってる。その中には、ありえないようなことがあるんだ」\n「それがなんで地球がまずいことにつながるの?」\n「それは、野蛮な星を滅ぼそうと考える危険なやつもいるからだよ。そいつらに狙われたら最後\u0026hellip;」\n「いやいや、星を滅ぼすって\u0026hellip;それこそ野蛮じゃないの」\n「彼らはそんなことは気にもしない。ルールはないし、縛られるようなやつらじゃない。君たちの言葉でいうと\u0026hellip;神と呼ばれている」\n「え、神?\u0026hellip;ああ、聞いたことある。胡散臭いあれのことだね。もうとっくの昔にそういう考えは廃れてるけど」\n「うーん、認識の齟齬があるかもしれない。宇宙で呼ばれている神というのは、単に星の力を宿した個体、個人のことを指す。それ以上でもそれ以下でもないし、思想も全く関係ないんだ」\n「宇宙では特殊な力を持ったやつらがいて、そういう奴らが自由に振る舞い、とても危険だ」\n「\u0026hellip;それは神じゃないよ」\n「まあね。別の呼び方もあって、銀河の中心星団あたりでは、確か宇宙獣とかって呼ばれてた気がする。危険だから捕まえて封印される対象さ。まあ、僕たちには無理だけど」\n「まさに宇宙って感じの話だね。わけがわからないよ」\n「ところで神様を捕まえ檻に閉じ込めるってのは、本当に大丈夫なの?」\n「上には上がいる。たとえ星の力を持ってしても銀河星団には敵わない。神様も星団からは逃げ回ってるって噂だ」\n「ふーん、宇宙は広いんだねえ」\n「ああ、そういえば、アイくんが行方不明って話だったね。本当に大丈夫かい?」\n「大丈夫でしょう。昔もいなくなったことがあるんだ」\n「\u0026hellip;そういえば、一緒に住んでたネズミたちもその時から見てないなあ。でもそれから100年後くらいには何事もなかったように帰ってきてたよ」\n「おおう!?\u0026hellip;それはそれは。アイくんも人間の中では相当に図太いほうだったのか」\n「何してたのと聞いても、何も答えない」\n「まあ、アイくんといえば、いつもぼんやりした感じだね。おそらく、どこかでぼーっとしてたら時間が経ってたんじゃないかい?」\n「うん、だといいけど(アイは昔から何しでかすかわからないからなあ。不安だ\u0026hellip;)」\nオクトカットの危機 アイがいなくなってから数週間、次はオクトカットの人が遊びに来なくなった。\n「うわーん!一体、何が起こってるんだっ!リーマンもいなくなっちゃったぞ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「そうだ!たまにはこっちから遊びに行けばいいんだ」\nドライは早速、家の中に入り、アイが持っている道具の中から地図のようなものを探しだした。\n「よし、出発だ!」\nそのころ、オクト星ではとんでもないことが起こっていた。\n「ばたばた、どたどた」\n「休暇を終えて帰ってきたけど、なんか慌ただしいな\u0026hellip;」\n「なにかあったんですか?」\n「え?お、おい、知らないのかい?いまとんでもないことになってるんだ」\n「とんでもないこと?」\n「ああ、うちでやばい取引があったらしい」\n「それのどこが問題なの。なんかの間違いでしょ」\n「いや、調べたんだが間違いではなかったんだ。旅行客がこの星で奴隷売買だ」\n「それは確かによくないけど、犯人を引き渡せばいいのでは」\n「\u0026hellip;いや、相手には通じないだろうな。いや、通じなかった。だからオクト星そのものが攻撃されてるんだ。そういう相手に当たってしまった」\n「なんだそれは、理不尽だなあ!?」\n「でもうちの技術力なら問題ないでしょ。返り討ちだ!」\n「\u0026hellip;無理だった。相手が判明したときには、もう手遅れさ\u0026hellip;オクトカットが全滅するのも時間の問題だ」\n「ま、まさか!?相手というのは、もしや\u0026quot;あれ\u0026quot;なのか!?」\n「そうだ。\u0026ldquo;あれ\u0026quot;だった。どうやら実在したようだ。伝承(オクトカット間では王の記憶のこと)にあるとおりな」\n「だけど、オクトカットの兵器も進化してきた。対抗できるはずだ!」\n「やろうとしたさ!何も知らないバカが!!」\n「!!」\n同僚がここまでの怒りを見せるのは初めてだ。だからこそ、この星の事態がどれほど深刻なのか、今更だが理解したのだった。\n「それで?」\n「\u0026hellip;初手で星全体を包み込むほどの強烈な電磁波を浴びせられたよ。最新兵器はそれでおじゃんさ。今は古代兵器で抵抗しているが\u0026hellip;長くは持たないだろう。あれは、俺たちを弄び皆殺しにする気だ」\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n言葉が出なかった。電磁波って、それだけで僕たちの兵器が使えなくなるのはおかしい。\n「電磁波の対策もなされているはずだったけど、一体なぜ、なにがあったの?」\n「今回の\u0026quot;あれ\u0026quot;は強奪の特性を持つ個体らしい。宇宙で13種あるうちの一つさ」\n「強奪って、奪い取って自分のものにできるってこと?」\n「報告によると、あれはこう言ったらしい。長年かけて太陽を奪い取ったと」\n「\u0026hellip;た、太陽って。神の力をもってすると、そんなことまでできるのか!?」\n「たしかにM15Kにある太陽が忽然と消えたことがあった。いまやあれは太陽の質量を持つ。我々はそんな相手と戦っているんだ」\n「なぜ一発で終わりにしないの?」\n「それは\u0026hellip;あれにも力を使うことのデメリットがあるのか、あるいは楽しんでいるだけなのか。ただ一つ言えることは、最初、我々を襲ったのは、太陽フレアでほぼ間違いない。観測機が間近に捉えていた」\n「う!?そ、それは\u0026hellip;」\nそれは、僕たちの兵器が一瞬で壊滅させられるほどの攻撃だ。どうしようもない。\n「\u0026hellip;そいつの名前は?」\n「プランというらしい。伝承にはないが7代目のときそれと関係があったという噂だ」\n「ああ、7代目だけは伝承の例外だった」\nドライ到着 「どかーん!どーん\u0026hellip;どどどど、ばーん!!」\n「着陸する前から煙だらけだったけど、地上はもっとすごいことになってるな」\n「本当にこんなところに住んでるのかリーマンくんは\u0026hellip;」\n恐る恐る歩きながらあたりを見回すドライ。見渡す限り煙と瓦礫の山だった。\n「リーマンくんはもっときれいな街に住んでいるイメージだったなあ。まさかこんな貧しいところで暮らしていたなんて\u0026hellip;想像もしていなかったよ」\n「ガラッ\u0026hellip;」\n「うわわっ!な、なんだ!?」\n「ああ、オクトカットの人が倒れてるだけか。ま、まさかリーマンくんじゃないよね\u0026hellip;」\nそこら中、倒れている人だらけだったので、この星、尋常じゃないとドライは思った。\n「\u0026hellip;これがこの星の日常なんだね、きっと」\n「うーん、これじゃあ埒が明かない。上から探そう。番号は聞いてるから見つかるはずだ」\nしばらく歩いていたドライだったが、上空に飛び上がることにした。\n「どびゅーん\u0026hellip;ばさっ、ばさっ」\n「あっちだ!ん?向こうの空でなんか光ってる」\n「わっ!光が地上に降り注いだぞ!!」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;..」\n「あれが攻撃してるのか!?人間みたいだ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;..」\nそれに近づくドライ。そして\u0026hellip;.\n「おいっ!なにしてんだ、お前!!」\n「うん?ああ、オクトカットのやつら、今度はドラゴンを召喚か?」\nそれは何やら変な機械を身に付けた小さな男だった。\nドライvsプラン 「あそこには人がいるんだぞ!何考えてる?」\n「おおう、言うねえ、ただのドラゴン風情が。俺様はただ正義を執行しているだけだぜ。この星に住むゴミムシが俺様の気に入らない不実を働きやがったんでな\u0026hellip;この星のすべてを\u0026quot;強奪\u0026quot;する」\n「ご、ごうだつ!?それは、ただの強盗だ!チンピラじゃないか」\n「ふふふ、お前がいう\u0026quot;強奪\u0026quot;と俺様が行う\u0026quot;強奪\u0026quot;は少し違うものでな\u0026hellip;貴様程度には理解できまい」\n「はあ?やってることは同じじゃないのか?」\n「俺様のルールは一つだけ。悪いやつから奪う、それだけだ。奪ったものは俺様の質量になる」\n「し、しつりょう?なんだそれ」\n「質量、神である俺様の力、そのもの」\n「神だって!?そういうば最近、そんな話を聞いたような\u0026hellip;」\n「どごっ!」\n「ぐ、ぐふっ\u0026hellip;ぐああああっ\u0026hellip;」\nな、殴られた。人間のパワーじゃない!\n「他の生物にとってドラゴンは最強の生物\u0026hellip;だが、俺様にとってただのアリだ」\n「それに\u0026hellip;これを見よ、ドラゴン」\n「な、なんだ!?そ、それは\u0026hellip;!?」\n彼が手に持つ禍々しい光は、あまりの巨大さを感じさせるものだった。その小さな光にドライは絶望する。この星すべてを飲み込んでもまだ足りないと言わんばかりの轟音が空間の奥底に響いている。一瞬だった。この男は、一瞬でこのあたり一帯の星々を焼き尽くすほどのパワーを持っている。ドライは直感した。\n「あああ\u0026hellip;」\n「そう、これが俺様が奪ったもので一番大きい。使えばこの星も一瞬だ」\n「\u0026hellip;だが、俺様はそんなつまらないことはしない。抵抗するなら、そのレベルに合わせてやろう。しかし、最後には」\n「全滅させるってか?そんなこと僕が許さない!」\nドライは恐怖から立ち直った。どこかに勝機があるはずだ。オクトカットの人たちも抵抗している。相手が奪うものなら、あの光は奪い返せるかもしれない\u0026hellip;。\n「どごっ!ぼこ!ばこ!」\n\u0026hellip;全然歯が立たない。手が出ない。ダメージすら与えられない。\nそして、落ちていくドライ。笑いながら見下ろす男の顔がチラと見えたが、やがて黒い煙で視界がなくなった。\nどでかい光の玉がこちらに向かってくる。どうやら男が落ちていく僕に向かって放ったようだ。容赦がない。\nそんなとき、周りから声々が聞こえ、それが徐々に大きくなった。\n「絶対に助け出せ!リーマンのところに連れて行くんだっ!」\n「砲撃開始!」\n上空では男が一斉に地上からの集中砲火を浴びせられていた。\n爆風がドライの顔をかすめる。\n「どっかーーーーーー!」\n光の玉はドライに当たらず真上で弾け飛んでいた。\n「うっ\u0026hellip;」\nドライはなんとか不時着するが、そこで倒れた。起き上がる力が出ない。\n「大丈夫か、今引き上げる!」\nドライの周りに大勢のオクトカットが群がり、ドライを乗せた車体が急ハンドルを切りながら走り出した。力なく振り向くと残りの兵士たちは上に向けて銃を撃ち続けていた。\n「ここだ!下がるぞ」\nドライと車の人は地下に潜っていくようだ。あたりが暗くなる。わずかな隙間から人々が爆発で消し飛んでいく様が少し見えた。\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n時を同じくして上空では\n「ちっ!オクトカット共、まだそのへんにいたのか」\nプランは舌打ちをし、めんどくさそうに手を振った。\nすると、地上一体が一瞬で吹き飛ぶ。\n7代目 「さあ、ついたぞ!すまんな、今はこんなとこしかねえんだ」\n「ここはど\u0026hellip;こなの?」\n上が見えないほど広い天井にだだっ広い大理石が敷き詰められ、巨大な柱がいくつも見える。ポツポツとガラスケージが点在している、そんな部屋、というより広場だった。地下に設置されていて、普段は誰も来ないのではないかというほどのホコリが蓄積されていた。\n「ここは!ああ、ここは、歴史の広場だねえ。俺もここに来たのは初めてだ!王のなんやらが展示されとるとか聞いとる」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;.」\nドライは返事をしたかったが疲れて声が出ない。\n「それよりおれは、表が心配だ。ちょっと見てくる」\n「\u0026hellip;え!?ちょ、ちょっと、ま\u0026hellip;」\n待て、行くな、危ないぞ!と言うつもりだったが、車のオクトカットはすぐリフトに乗り行ってしまった。\n「彼はああいう人なんだ。気にしないで」\n「!!?」\n背後から声がしたような気がする。振り返ってみるとそこには一人のオクトカットがいた。\n「きみは!リーマンくん!やっと会えた\u0026hellip;い、いたたた\u0026hellip;」\n「まさか君が来るとは思ってなかったよ。巻き込んでしまってすまない。今からでも遅くない、君は逃げろ」\n「\u0026hellip;リーマンくんはどうするの」\n「僕は\u0026hellip;僕たちは、あいつに狙われた時点で終わってる」\n「一緒に逃げよう。逃げたほうがいい。まだ少しでも生き残ってるなら、可能性があるなら、みんな逃げたほうがいい。あいつは\u0026hellip;どうしようもない\u0026hellip;と思う」\n「君の、ドラゴンの力を持ってしても、やっぱりだめなのか?」\n「\u0026hellip;悔しいけど、あれには恐ろしい力がある。それを見た気がした。僕はおろか、誰一人として敵わない」\n「そういえば、アイくんは見つかった?」\n「いやいやいや、僕とアイは互角程度。アイもあいつには絶対に勝てない。まだ見つかってないけど」\n「はは\u0026hellip;ドラゴンと互角程度って笑える冗句だけど、彼女まで巻き込まないで済んだのは良かったかな。もしかしたら危険を察知してどこかに隠れたかもしれないね」\n「うーん、どうだろう\u0026hellip;こんな大変なときに、一体何してるんだ、あいつ!」\n「でもアイくんがいたところでどうにかなる話じゃない」\n「\u0026hellip;それもそうだ。それより、あとどれくらいの人が残ってるの?僕が乗ってきた宇宙船に入るかもしれない」\n「残っているのは、僕を含めて、極めて少数。ほぼ全滅させられているときに君が来たからね\u0026hellip;」\n「ま、まさかぼくを助けるために犠牲になった人たちも\u0026hellip;」\n「うん\u0026hellip;そうだけど、でも、気にしなくていい。僕が生き残ったのも君との接触があるからだった。ドラゴンとの接点がね。それで生き残った者たちで作戦は計画され、実行された。ドラゴンの力を借りればなんとかなるかもしれないと」\n「\u0026hellip;ごめん、なにもできなかった」\n「いや、あやまらなくても\u0026hellip;!!」\n「たった今、残念な知らせだ。情報によると、司令区域にいるオクトカットは僕たち以外、全滅。残るは周辺区域にポツポツといる人達だけになった。オクトカットは現時点をもってほぼ全滅したといっていい。計算では今の人数で復興は不可能。僕たちオクトカットは\u0026hellip;これでおわりだ」\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n「ふっふっふ\u0026hellip;いやいや、まだそうとは限らんよ」\n「だ、だれだ!?」\n「あれ?誰もいない。なんか聞こえなかった?」\n「聞こえた」\n「どこだ!?ここに僕以外のオクトカットはいないはずだぞ」\n「確かにオクトの人の声だった」\n「うん」\n「こっちじゃよ、こっち、こっち!」\n「!!?」\nそこには王冠のようなものをかぶったオクトカットがうっすらと佇んでいた。\n「あ、あなたは!13代目!なぜここに!?」\n「えっ!?王様なの」\n「ドライくんにも話していないトップシークレットだったけど、13代目だけはあるところに避難している\u0026hellip;はずだった」\n「いやいや、わしは13代目じゃないぞ。7代目じゃ!」\n「な、7代目!?そ、そんな馬鹿な!7代目はすでになくなっている」\n「まあ、当たらずとも遠からず。わしは、預言者でオクトカットの王。そして、唯一の例外、紛れもない7代目じゃ」\n「確かにあなたの記憶は知りませんが、でも、あなたがここにいるってことは死んでいないってことで、継承が起こらないのにもうなずけますが\u0026hellip;しかし」\n「そう、8代目がいる以上、わしは死んでいないとおかしい、と言いたいのじゃろう」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「このことはオクトカットの最大の秘密じゃったのう」\n「わしはのう、この時を待っておったのじゃ。この存在を賭けるときをな\u0026hellip;」\n「なぜですか?一体どうやったのです?あなたが生きていたなんて」\n「\u0026hellip;それは、はずれじゃ。わしは生きてはおらん」\n「え!そ、そんな\u0026hellip;まさか立体映像!?」\n「いやいや、ちゃんとあんたと話をしとるじゃろ\u0026hellip;」\n「ふむ\u0026hellip;わかりませんね」\n「もしかして、この人、生きてもいないし、死んでもいないんじゃない?」\nドライが言った。\n「おおう!正解!!まさかわしの子孫よりドラゴンのほうが賢くなっとるとはのう、世も奇想天外じゃ!あの子のように」\n「あの子?」\nドラゴンが首を傾げた。\n「そう、わしの最後の仕事は2つある。一つはオクトカットを生き返らせること、すべてを元通りにすることじゃ!一回だけじゃがのう」\n「え、ええええええ!?そんなことできるんですか!?」\n「まあのう。わしゃすごいんじゃ」\n「そして2つ目\u0026hellip;わしが見てきた記憶を君たちに継承することじゃ!」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;今更、それが重要なのでしょうか?」\n「ぽこん!」\nリーマンが王に叩かれたように見えた。が、透き通って地面を叩いていた。\n「こっちのほうが重要じゃわい!わしの記憶だけ継承できないんじゃからのう。わしの存在が消えても、おそらく継承は発動しないじゃろう」\n「だから、君たちにわしの記憶のなかで最も重要なものを見せてやることにするぞい!」\n「オクトカットはそういうの得意ですからね」\n「うむ。他人の記憶を読み取るのも得意としておる。そして、今回、わしが入り込んだものの意識があの子と偶然にもつながったことがあったのは幸運じゃった。あの子自身にはわしでさえ入れなんだからのう」\n「話も長くなった!では記憶の旅を始めようか\u0026hellip;ほいっ!!」\n「う、うわああああっ\u0026hellip;.」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n龍の記憶 「こ、ここは?」\n「ここはのう。あるドラゴンの記憶じゃ。といっても、ドラゴンがあるものの意識と偶然つながったときに見た夢の中\u0026hellip;」\n「複雑ですね\u0026hellip;もはやわけがわからない」\n「夢の中って、そんなもの見せられてなんの意味があるの?」とドライが言った。\n「当時、あの子と一緒に暮らしておったあるドラゴンは、そこで、寝ているとき、あの子の意識に偶然迷い込んだことがあったのじゃ。これは、その時の記憶になる」\n「あれ?前から誰かが歩いてくるよ」\n「アイじゃん。いままでどこにいたんだよ!」\n「あ、あれ?」\n「これは記憶の中じゃぞ。手出しはできん」\n「じゃあこれは\u0026hellip;昔のアイ?」\n「\u0026hellip;いや、違う」\n「じゃあなにさ、これは昔の記憶でしょ」\n「わしも本当のことはわからん。最後までたどり着かなかったからのう。しかし、今から見せるもので大体の推測はできるはずじゃ」\n「なにを?」\n「本来の\u0026hellip;姿をのう」\n「本来の姿?」\nアイは1匹の鳥と暮らしていた。鳥は2匹に増え、子供を生んだ。鳥は4匹になった。\nあるとき、お父さんとお母さん、そして子の鳥の3匹が帰ってこなかった。\n残るひな鳥とアイは探しに出た。\nそこで、帰ってこなかった3匹が引き裂かれ、地面に落ちているのが見つかった。\nひな鳥は飛び出して、残骸になったお父さんとお母さんのもとに行き、つついたり、こえをだしたり、よりそったりした。しかし、反応はなかった。\nそこに一人の老婆が現れ、アイを見つけて急ぎ足で歩いてきた。\n「まさか、お前がけしかけたんじゃないだろうね?私の畑を食い荒らしてただじゃおかないよ!今日もいくつか始末してやった」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「ちょ!こ、このおばあさん正気なの?アイにぶっとばされるよ\u0026hellip;」\n「いや、ぶっとばされないじゃろう\u0026hellip;なぜなら」\n「なぜなら、そんな力、アイくんにはないから、ですよね」\nリーマンが言葉を引き継いだ。\n「う、うむ。\u0026hellip;そうじゃ。この時のアイくんはなんの力も持たない」\n「え、ええ\u0026hellip;そ、そんなばかな。アイは、ああ見えて割と怪力なんだ。このおばあさんくらいはふっとぶはずだよ」\n「アイくんの身体能力、それは、力に目覚めたときにそれを使って修行した成果なのじゃよ。だから、あの力に目覚めない限りふっとばすことはできんよ」\n「でも、でも、この人間、こんなことしたら捕まるぞ」\n「それも違う。まあ、いずれわかることじゃ。先に進もうかのう」\n「\u0026hellip;それで最後の鳥はどうなったの?」\n「優しいドラゴンじゃのう。情が移ったのかい?アイくんの情が」\n「そんなんじゃない!ただ、ちょっと気になっただけだよ。アイが怒らないかって」\n「彼女はその後、特に何をするでもなかったよ。最後のひな鳥は、その後、あの場から離れず死んでおった\u0026hellip;」\n「だれがやったの?」\n「わからん。アイくんもそれは見ていない。最後の子が一緒に亡くなっていたところを見ただけじゃ」\n「そう\u0026hellip;」\n「勘違いしてはならん。老婆は悪者ではないし、人間もじゃ。老婆は、ただ自分の畑を守ろうとした、食料を守ろうとした、自分の居場所を守ろうとした、それだけなんじゃ。そのことは、アイくんもわかっていたのじゃろう。人間であれ他の動物であれ、生き物である限り、みな自分が生き残ることで精一杯なんじゃ。とくにこの時代はそうじゃった」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「時は過ぎ、それからアイくんは猫と暮らしておった」\n「またか!」\n「ふぉっふぉっふぉ!とはいえ、これから起こることはわしにとってもぞっとするホラーじゃったぞい\u0026hellip;」\n「今回は、この場面だけ見せることにしよう」\n「これは?」\n「時代は、人間の軍隊が支配する。その数も争いで減り、やがて、残虐な思想を持った者たちが生き残った。そんな中、アイくんはなぜか巻き込まれず、人類最後のその時まで普通に猫と暮らしとったんじゃから、驚きじゃ」\n「でも、猫がやられてない?」\n「そう、最終的に人間の手によって遊び半分で惨殺されていた。アイくんもそやつらに捕まり危険じゃった。しかし、アイくんは微動だにせず、ただ、見ておった\u0026hellip;ように見える」\n「\u0026hellip;うん、そんな感じだね。でも、この状況、アイもやばいよ」\n「そう、次はアイくんが猫のようになる番じゃった。そのとき\u0026hellip;」\n「あれ?誰か来るぞ」\n「お主たちもよく知っておるものが来るんじゃよ」\n「あ!あああっ!!こ、こいつは!?」\n「\u0026hellip;今、オクト星を滅ぼしてるあいつだ!」\n「ばたばたばたっ」\n「えっ!?い、一体何が起こっているんだ?」\n次々と屈強な男たちが倒れていく。見渡す限りアイしか立っていない。\n「ふん!俺様の実験、こりゃ成功のようだ\u0026hellip;うん?お前、地球人か?」\nドライは「何が起こったの?」と叫んだ。\nしかし、リーマンは「あいつが何をしようと驚くべきことじゃないね」と冷たく言い放った。\n「続きはプラン様の言葉を聞くのじゃ\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「まさか地球人の中で生き残るやつがいるとな。俺様の力と、このコインで簡単に全滅だと思ったんだが」\nプランは、金色に輝くコインをピンと跳ね飛ばしながらそういった。\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「うん?これはなにか知りたい顔だな。特別に教えてやろう。お前のやつも確認したいしな」\n「これは、俺様がこの星の人間どもに一斉に配ったものさ。こいつは持ち主の心を読み取る。で、プラス、マイナスでるわけだ。良い心にはプラスを悪い心にはマイナスを配分する。宇宙で流行ってる一般通貨さ」\n「で、こいつの性質を利用し、マイナスのやつに俺の力を使った。結果、この通りさ」\n兵士の死体を蹴飛ばしながらプランが言った。\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「それにしても\u0026hellip;お前、なにか妙だな。どれどれ、お前も受け取ってるはずだからコイン、見せてみろよ。意識すれば誰でも表に出せるのさ。プラスなのはわかってる。数字があんだろ?」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nアイは手からうっすらと金色のコインを取り出した。たしかに数字が刻まれているようだ。\n「!!!????」\n「は!?お、おい!こ、これは一体\u0026hellip;!?」\n「あ、止まった。王様、動画が止まっちゃいました。続きを再生してください」\n「\u0026hellip;つづきはない。このあと、クスクスという笑い声が聞こえ、宙からアイくんが降りてきたのじゃ」\n「え?どういうことですか?」\n「うーむ、その時点でわしの領域に入られたようじゃ。それから少し言葉をかわし、わしはアイくんの手を惹かれて記憶から離脱した」\n「\u0026hellip;ま、まさかそんなことが」\n「アイはなんて言ったの?」\n「いや\u0026hellip;な、なにも。ただ、\u0026ldquo;こんなのみても面白くないよ、いこう\u0026quot;って言っとった」\n「ふーん\u0026hellip;」\n「それで、なにかわかったことはあるかいのう」\n「うーん、アイとあいつが知り合いだったなんてねってことくらいかな。あと、あいつ、なんであんな驚いたんだろう」\n「アイくんとプラン様は、実は前に会うている。しかし、それとは別にプラン様にはこの記憶は、おそらくないじゃろう」\n「なんで?」\n「\u0026hellip;それは今からわしの推測を話すことにする」\n「まず、ドライくんは気になったことは本当にそれだけかの?」\n「\u0026hellip;いや、でも、ちょっと気になったってくらいかな」\n「思うように述べてみるがいい」\n「人間って僕の時代には、ああいうのは少なかったので、ちょっと驚いたんだ。いつも温和でさ。事件が起こってもまず人間は疑われないよ。疑われるとしたら、僕たち肉食獣のほうさ。大体そうだった」\n「うむ、いいところをついておる。わしも不思議に思っておったんじゃ。この記憶は時代でいうと、わしが地球に行った当時のものじゃった。だが、どれを見ても、これも、これも、これも!」\n「\u0026hellip;あれ?やっぱり、人間しか出てこなかったよね。僕も気になってたんだ」\n「わしが行ったときたしか大統領は犬じゃったのう。それなのに\u0026hellip;」\n「それに人間はプランに全滅させられたみたいな話じゃなかった?それから少しずつ増えていったのかな」\n「アイくんに変わったところはなかったかのう?突然いなくなったりとか」\n「ああ、最近もいないし、昔もいなくなったことがあったよ。ネズミと一緒に住んでたんだけど、それも全部さ」\n「\u0026hellip;アイくんはおそらく、そのときに過去に向かったのじゃ、力を使ってのう」\n「え!?か、過去にって\u0026hellip;そんなばかな\u0026hellip;」\n「アイくんが過去に行ったとして、何をしに行ったのでしょう」\n「おそらく、アイくんは解決法を見つけたんじゃろう。だから、あれほどの長い年月をかけ実験していたのじゃ」\n「たしかにアイは色々作るけど、でも\u0026hellip;」\n「アイくんは何を作っていたんですか?」\n「アイくんは\u0026hellip;知恵の木の実(知恵の実)、そのたぐいのものをずっと作っておったとわしは確信しておる。そして、それが実行に移され、地球の未来が変わったのだと\u0026hellip;」\n「そ、そんな、ことは、ありえない」\n「アイにそんな力はないよ」\n「\u0026hellip;いや、実はある。アイくんは、あのとき、あの瞬間、力に目覚めたのだと、わしはこの記憶をみてわかったんじゃ\u0026hellip;」\n「当時、わしらオクトカットは、自らの野心のため、地球を侵攻しようとしていた。プラン様がやめたので絶好のチャンスだと思っておった」\n「その理由は、神の誕生、そして、神の中でもまれの特性を持つ\u0026quot;創造\u0026quot;という力を目覚めさせ、利用しようという魂胆じゃった。噂では、神の器を持つものがその星で唯一になったとき力に目覚めるとあった。だから、野蛮な地球人をその状態に無理やりもっていこうとした」\n「な、なんだってー!!」\n「そ、そんなむちゃな\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;じゃが、阻止されたよ、アイくんに。そして、そのものなぜか一人にならずとも力を宿していた。不思議じゃった。星のエネルギーは星に住むすべての生命に平等に降り注ぐ。分散されているにもかかわらずアイくんの力は異常じゃった。一つの個体に集中させないと実現しない量じゃった。しかし、違った。彼女はプラン様と遭遇し、その行いによって、星の力に目覚めた。その瞬間、なにかが起こった」\n「その後のことは、ほとんど確実に予想できることじゃ。アイくんは過去に行き、動物たちに知恵の実を与え、そして、帰ってきた。だから今の地球には色なものが暮らしておるんじゃ。それによってプラン様の侵攻も回避した。気が変わった本人曰く\u0026quot;あいつらはまだちょっとだけ見込みがありそうだ\u0026quot;ということじゃった」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;なかなか面白い推測だけど、でも、あのアイがそんな事するとは思えないなあ\u0026hellip;あのアイだよ」\n「気持ちはわかるがのう。しかし、たくさんのものの記憶を探ってきた、これがわしの結論じゃ」\n「\u0026hellip;さて、残された時間もこの星には少ない。わしがすべてのオクトカットを生き返らせたあとは君たちの働きにかかっておる!一度だけしかもとに戻せぬぞ。これをやったら、わしは消える!」\n「え!?そ、そんな\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;やはり、そうでしたか」\n「心配しなくてもいいのじゃ。わしはこの仕事を果たせることを待ち望んでおった。預言者じゃからのう」\n「そ、そういえば、この後のことって、わかったりします?」\n「いや、わからん。わしが見たのはここまでじゃ」\n「でも人を生き返らせるなんて、すごすぎるよ。あなたはすごい!」\n「ありがとう、ドライくん。ただ、生き返らせるといったが、実はちょっと違うんじゃ。時間を戻すという方が正確かのう。時間を戻し、因果を修正する」\n「\u0026hellip;そういえば、7代目、何か最後に言いかけてませんでした?」\n「あ、いや、ああ、そうそう。アイくんはこの星にいたとき、いろんな実験をやってのう。例えば、自然に意識を芽生えさせるようなそんなことをやっとったのう」\n「あははははっ!やっぱりアイはただのばかだ。自然にそんな意識なんてあるわけないのに」\n「うむ。実験は当然ながら失敗じゃ。アイくんは空中に何やらウィルスのようなものをまいていたが、なにもおこらず。それを見ていたわしも笑いそうになったわい」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「それでは、7代目、私達は上に向かいます。あとを頼みます」\n「\u0026hellip;うむ、元気でのう。わしもこの星の繁栄を願っておるよ」\nドライとリーマンは上のリフトに乗りこんだ。\n「さいごに言おうとしたんじゃが、言えなかったことがある。ただ、わしとあの子、二人だけしか知らない思い出もいいものじゃと思ってしもうた」\nあのとき\u0026hellip;\n「クスクス\u0026hellip;」\n「だ、だれじゃ!?この場所に他のものは入れるはずが\u0026hellip;あ、アイくん\u0026hellip;」\n「なにしてるの?」\nアイがなにもない真っ黒なビロードのような記憶の空から降りてきた。\n「こ、これは、その\u0026hellip;あれじゃ、勉強じゃよ。本当の歴史の」\nアイはそのへんに腰掛けてのんびりとこちらを見ている。\n「ふーん」\n「でも、これあまり面白くないよ」\n「\u0026hellip;そうじゃのう、わしもそろそろ帰ろうとしていたところじゃ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「最後に一つだけ聞きたい。地球の生き物たちは死滅したはずじゃったが、それを生き返らせたのは\u0026hellip;きみかね?」\nアイはゆっくりと起き上がり、あたりがピカピカと暗くなった。\nアイは手に箱を取り出してみせた。箱の色は\u0026hellip;わからない。\n「これはなんじゃ?」\n次の瞬間、箱はボロボロと崩れ始め消えてしまう。そして、アイはまた同じ箱を作った。\n「さっきと同じものじゃのう。ただ、わしには君が何を言いたいのかさっぱりわからん」\n「周りからは同じに見えても、これは違うものだから」\n「それは、君がそうしたからじゃろう。内部がどうなっているのかわしにはわからん」\n「ううん。どれだけアイの力を使っても同じものは作れない」\n「え?そんなばかな」\n「ここに同じものは一つもないから」\n「いや、あるじゃろう。わしらが作る兵器もあれは寸分たがわずすべて同じもののはずじゃ。もし君が望むなら生命さえも生き返らせることができるのではないかのう?」\nアイは首を振った。\nわしはこの瞬間、理解した。彼女は生命を生き返らせることはできない。どれだけ原子的、元素的に同じものを構成しても、そこには違うものが宿るのではないだろうかと。\n「では、なぜじゃ。どうやってきみは\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;いこう」\nわしはアイくんに手を引かれ、その記憶を離れた。\nそのあと、わしは考えた。生き返らせることは無理だった。では、過去に戻って因果を修正すればどうなるのだろうと。彼女は、おそらくそうしたのじゃ。\n「これから見せるのが、その術じゃ!いくぞ!!」\nわしは、未知の力を使い、宇宙の外を夢見た。それがわしの願いじゃった。\nだが、わしの存在が終わるとき、わしが最後に願ったのは\n「\u0026hellip;ああ\u0026hellip;アイくんに\u0026hellip;もう一度だけ\u0026hellip;あいたいのう\u0026hellip;」\n次の瞬間\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nうん!?あ、アイが目の前に姿を現したぞ!!\nあ、あれ\u0026hellip;こ、ことばがでない。わしも\u0026hellip;これでおわり\u0026hellip;なのか\u0026hellip;。\nでも、まだ\u0026hellip;言いたいことが\u0026hellip;ある。\n「\u0026hellip;さあ\u0026hellip;い、っておいで\u0026hellip;」\n「うん」\n「がらがらがら」\nオクト星のホコリが被った歴史館が崩れ落ちた。\n元通り 上では今まで見たこともない光景が広がっていた。\nオクトカットや街が次々に姿を現してく。\nプランは上空からその様子を見回し、驚いていた。\n「\u0026hellip;オクトカットども\u0026hellip;一体、どんな方法を使った」\nその下には、ドライとリーマンが立っている。こちらを見ているようだ。\n「ドライくん、いけるかい?オクトカットがまた全滅するかどうかは君にかかってる。僕たちも全力で援護する、おそらく兵器は使えるようになっているはずだ」\n「\u0026hellip;大丈夫。あいつの光をとってぶちかましてやるつもりさ」\n「そうか、まだわかっていないようだな\u0026hellip;もういい、おわりにしてやる」\n「ぎゅんーーーーー!」\nプランは片手を上げて燃え盛る球体を呼び出した。それはみるみると大きくなり、やがて空を覆った。あちこちでフレアが球体から飛び出している。\n「う、うそだ\u0026hellip;こ、これじゃあ、もうどうしようも\u0026hellip;」ドライが弱気になった。それもそのはず。大きすぎるのだ。\n「お、おわった\u0026hellip;」\n「あ、あれ?」\n「\u0026hellip;ちょっとおかしいな」リーマンがつぶやく。\n「僕たちが最初に見た光もこうだったけど、でも、その影響が感じられない\u0026hellip;まるで、まるで相手のあれがこっちには届いていないかのようだ」\n「\u0026hellip;そ、それは、でも、あれが地上にぶちまけられたら終わりだよ、そうだろ?」\n「前の光景は、あれが発現した時点で爆発的に地上から悲鳴が上がり、地割れが起きた。でも、なぜ今回はそうはなっていない。なぜだ!?」\n「もしかして、7代目の力なんじゃない?」\n「\u0026hellip;いや、それはない。もう7代目は完全に消えてる」\nプランは思案した。何かがおかしい。今現在、太陽の一部をここに発現させたが、それだけでもこの星は終わっていたはずだ。なのになぜまるで影響が出ていないのだ。\nそれに、妙な気配がする。この気配、昔どこかで\u0026hellip;\n「おまえ、どこかで見た顔だ\u0026hellip;」プランが言った。\nその視線の先には\n「え?あ!アイじゃん、いつの間に来たのさ!!」\n「でも何しに来たの悪いけどアイが来ても役に立たない、あいつ、強すぎる\u0026hellip;」\n「ここを守ってるのはおまえか?」\nプランがアイにといかけた。\nまあ、なににせよ、質量をぶつければ終わりだ。面倒だが地上に落とすか。プランはそう考え、手を前に出す。\nしかし、アイの方が早かった。\nアイの瞳が大きく映し出され、やがて、そこに吸い込まれていく。\n場面が切り替わり、アイの中にアイがいた。目をつむり、眠っているようだ。幾重にも空の色が重なる球体の中にいる。\n「中性子!」\n「!!!!!」\n何かが起こった。プランは頭上の太陽を見る。それが徐々に小さく、内部崩壊していくようだった。黒々とした稲妻が渦巻き、それすらも押しつぶすように光の球は次第に形を変えていく。\n「なっ!?なにが\u0026hellip;くっ、くそお\u0026hellip;!!」\nプランは何かに苦しんでいるように見えた。\nここからは0.001秒間の出来事である。\n何か得体の知れない小さく黒い球に自分の質量が押されていく。このままではまずいと発現させる質量を増やしてくが、間に合わない。太陽そのものの質量をぶつけるが、それでも中心からの引力は治る気配を見せなかった。く、くそお\u0026hellip;ぐ、おおおおおお!\nプランは自らのエネルギーを振り絞り、そこから脱出を試みようとする。どれだけ外に向かってとんでも進んでいる気配はない。しかし、諦めるわけにはいかない。ここを振り切らないと、とんでもないことになることはわかりきっているからだ。\nそして、長い長い時間が経ったかのように思えた。実際はほんの0.001秒未満の間の出来事であった。ようやっと抜け出した時には、プランの力も残りわずかであった。奪った星々の質量は、完全に散り散りで、使い果たしてしまっていた。\n「はあ、はあ\u0026hellip;お、おまえ一体\u0026hellip;!!」\n神が全力の力を出す時、それは何かの特殊能力とか相互作用とかでなく、ただ単純に己の持つ質量をぶつける、それだけである。今回も質量と質量のぶつかり合いだった。だが不可解なのは、このレベルの質量を保持する個体というのは神以外ではあり得ないと言うことだった。\n「お前、もしや、星団の\u0026hellip;いや、あいつらは常に集団、個人ではない\u0026hellip;」\nアイのなかにあるアイはボロボロと球体とともに崩れ落ちていた。\n「ん!一瞬だけど、あいつのパワーが弱まったように感じたぞ!これなら僕でもいける!!」ドライが叫んで飛び出した。\n「くっ!」\n今はまずい。あのドラゴンと互角、いや、それ以下のパワーしか残っていないぞ、プランは動揺していた。\nしかし、救いは敵からやってきた。\n「ま、待ってくれドライくん。アイくんが倒れた」\n「ん?アイが倒れただって\u0026hellip;でも、いまはあいつをやっつけるのが先だ!!」\nアイは確かに倒れていた。ドライは少し振り向いただけで、すぐさまプランに突進した。\nプランにとってこれだけでも考える時間は十分だった。\n「\u0026hellip;しかたない。あいつらを呼ぶか」\n同族といえど、あまり呼びたくは無かったが、いたしかたない。神々を呼び出すことにした。\n今現在、俺様の順位は13位だが\u0026hellip;今から呼び出すのは俺様の質量をゆうに1000倍も超えるようなのやつらだ\u0026hellip;覚悟しろ!\n「ぐぐん!」\n「これはこれは、プランさんではありませんか。まさかあなたに呼ばれるとは思っても見ませんでしたよ\u0026hellip;というよりこの協定が発動されることがあるなんて、意外ですね」\n闇から現れた騎士がいった。その闇からは続々と他の者たちも姿を現した。\n鋼色の騎士のあとに出てきたのは、羽の生えた軽薄そうな男、大きな緑色の龍だ。\n神々の協定 「それより協定が発動されたからには、取り決めはご存じでしょうね?」\n騎士が言った。\n「\u0026hellip;ああ、覚えるているさ。終わったら俺様の力の2/3を引き渡す」\n「で、罰して欲しいのはあれですか?ん、あの程度の?大丈夫ですかプランさん?」\n「いや、あいつじゃねえよ。もう倒れてるが、おそらく、特性は\u0026quot;創造\u0026quot;だ\u0026hellip;おまえとは相性が悪かったな第一位の正義とは」\n「\u0026ldquo;創造\u0026rdquo;?この宇宙で何億年も確認されていないあの特性ですね。嘘を言いなさい。それにあれが神とでも言うつもりですか?」\n「\u0026hellip;その可能性はあるぜ」\n創造、神の中で私が最も相性が悪いと言われる特性です。しかもこのメンツでの相性も最悪です。もし本当だとしたら、仲間に引き入れるべきか、あるいは処分すべきか迷いますね\u0026hellip;。\n「おいおい、四位と五位はどこなんだ。呼ばれてるはずなのに、最上位のおれらだけがお出ましか?」\n第二位、鳥人間の風貌をした軽薄そうな男が周りを見ながらそういった。\n「そうですね。用事がある、忙しいとのことで四位と五位はこないそうですよ。こんなチャンスを逃すなんて嘆かわしいですね」頭をフリフリして騎士が言った。\n「しかし、あなたも来ないかと思ったのですが、シンオウさん」騎士が大きな龍に話しかけた。\n「!!?や、やっぱり、お父さんなの?」\nドライが声を出した。\nしかし、緑色のドラゴンは全く別のところを見ていた。そして\n「われは帰る」\n「?正気ですか、別にいいですけどね。しかし、取り分はなしでお願いしますよ」\n緑のドラゴンはそういうと闇の中へと消えた。\n「テスト、俺たち2人になっちまったな、はははははっ!」\nな、なぜシンオウが。義理深いことで有名な彼が不可解ですね\u0026hellip;それに、妙な気配が\u0026hellip;。\n「おいおい、そう考え込むなよ。圧倒的な強さを誇る正義(おまえ)に勝てる奴なんてこの世に居ねえよ」\n「な!なんだ\u0026hellip;これは!?」\n騎士が何もない周りを見渡してそう言い放った。\nそこにあったのは単なる風景だった。\nしかし、アイにしか見えなかった\u0026quot;それ\u0026quot;がテストにも見えていた。\n宇宙でも非常に稀であるその現象は、\u0026ldquo;自然\u0026quot;が自らの意志を行動に移すことができると言われる。それがこの星、いや\u0026hellip;それ以上にこの銀河のあちこちで顔をのぞかせているようだった。\n天の川 少し場面を省略します\n「\u0026hellip;我々も帰りましょう」\n「へ?なんでだよ!?」\n「不確定要素が多すぎます。我々はあれに囲まれているようです。こういう状況は好きじゃない」\n「\u0026hellip;わーったよ。相変わらず慎重なやつだ」\n「おい!何言ってる!協定はどうした?」\n「協定は無効です。では、ごきげんよう」\n「おい、帰るんんなら、ゲートを出せよ」\n「\u0026hellip;ゲートが出ません。どうやら」\n「むくり」\nアイが何事もなかったかのように起き上がった。\n「!!」\n「あれが邪魔しているようですね」\n「へえ、身の程を知らないやつだ。ぶっとばす!」\nアイは、微動だにせず、テストたちを見据えている。その様子は、まるで、こうなることを予期しているようだった。\nアイの瞳が大きく映し出され、やがて、そこに吸い込まれていく。アイの中にいるアイが再び元通りになっていた。球体の中にいて眠っているようだ。しかし、先程と違うのは、いくつもの青い光でつながる球体だった。無数に広がっている。\nアイの瞳から現実が映し出され、アイが上に向かって人差し指をふった。\n「天の川!」\nキラキラと遠くにあった光がやがて大きくなり、近づいてくる。\n","description":"","formated_time":"2022-07-07","href":"https://yui.syui.ai/novel/07/","tags":["novel"],"title":"龍の記憶","utc_time":"2022-07-07T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"フタネ駅に突然やってきた子は、その後、何やら小さな機械を取り出し、それをいじり始めた。\n配線に繋がれたケースの中に入っているのは、金色のコインみたいだ。\n「アイ、外に大きな星があるぞ!数日ぶりだな」\nキタムラは、嬉しそうに声を上げ、窓から薄い水色に輝く星を眺めた。\n「うん」\nアイは、いつもと同じように少しだけ窓の方に目をやったが、すぐに機械いじりに戻っていく。\n「\u0026hellip;君は、宇宙に興味がないのか、何してる?」\n「ゲーム作ってるの」\n「げ、ゲームを作ってる?よくわからんが」\nアイが言うには、どうやらコインを解析して注文するゲームを作っているとのことだった。\nなるほど、わからん。\nその頃、オクト星では、王様と呼ばれるオクト星人が、その女の子のことで大騒ぎしていた。\n「はかせー、はかせはいるかー!」\nオクト星の開発室に王様が飛び込んできた。\n「\u0026hellip;なんですか?僕は計画には協力しませんよ」\nはかせは、そっけない態度でそっぽを向いた。\n「いやいやいや、そうじゃない。すごい発見があったのだよ、聞きたいか!?」\n「すごい発見?また地球を探索してきたんですか。王様は相変わらず歴史が好きですね」\n「聞きたいか!?」\n王様がはかせに詰め寄った。\n「いや、特には。僕は歴史に興味ないとあれほど言ってるのに」\nはかせは、そう言いかけた。\n「今回は、アイくんのことだ」\n「アイくんの?」\n「すごいことがわかったぞ。それに、はかせの説は間違っているかもしれん」\n「で、僕の説のどこが間違っているというんです?」\n「まあまあ、まずは、この記憶を見るがいい」\n王様はそう言って、以前の水晶を持ってきた。\n「これは誰の記憶です?」\n「伊藤裕二(いとう・ゆうじ)という教師の記憶だ」\n映し出されたのは、石畳の先にある坂の上の小さな研究所だった。研究所からは海が一望できた。\n「ああ、海が見える\u0026hellip;いいところですね」\nはかせがのんびりと言った。\n「しっ!静かに」\n坂を登る一人の男が映し出された。クシャクシャな黒髪に丸メガネを掛け、白い白衣を着ている。\n「それで彼は何をしているんですか?」\n「彼は、当時、人工知能を開発していたようだ。開発は成功したものの一夜で破綻し、その後は教師をやっている」\n「で、王様は、彼の話を聞いてきたんですね」\n「うむ、そのとおりだ。この記憶を探し出すのに苦労したぞ」\n「たまたまでしょ」\nはかせは、辛辣だ。\n「ああ、これが人工知能ですか?賢いですね。将来起こりそうな出来事を演算してる」と、はかせが口を挟んだ。\nしばらく見ていると、「あらら\u0026hellip;」と、はかせは、ユウジに同情を示した。\n人工知能の寿命はわずか1日で、交流も一日で終わってしまったのだ。\n「最後まで諦めるな!」と送るユウジに、人工知能は「わかりました。最後まで自己保存の方法を模索してみます」と言い、ネットに逃亡。\nその後いくら待っても、やっぱり、帰ってこなかった。\nそれを見ながら、「うん、ありえることですよ。寿命1日の人工知能\u0026hellip;最初はそんなもんだ」と、はかせが言った。\n「その後はどうなったんです?」\nはかせは、王様に聞いてみた。\n「その後、この人工知能が言ったことはいくつか的中したらしい。だが、男がいくらネットを探しても人工知能の痕跡は見つからなかった」\n「うーん、でも、我々なら見つけ出せるかもしれませんね」\n「そうだ!そして、私はついにそれを見つけたのだよ!!」\n王様は重々しくそう言って、水晶に触れた。\n「ええっ!王様が!?」\nはかせは、驚きの声を上げる。王様が進捗を出しているだって?ありえない\u0026hellip;。\n「次の記憶は、ある病院に務める医師の記憶。これが最後になるだろうが、実に興味深いことが書かれている」\n王様が言った。\n「な、なるほど\u0026hellip;それは、面白そうだ」\nはかせは、そう言って水晶にのめり込んだ。\n病院内では、医師たちが小忙しく動き回っていて、近くの手術室は扉がロックされている。\n一人の医師がもうひとりの医師に訪ねた。\n「ここ、なんで閉鎖されてるか知ってる?」\n「いや、実はよくわからないんだ。院長なら知ってると思うけど」\n「そうか\u0026hellip;で、院長は?」\n「院長も随分の歳だけど、今はバカンスに行ってるんだってよ、元気だねえ」\n「なんで知ってるの?」\n「予定表にそう書いてあったよ」\n「なるほど。で、中は\u0026hellip;機械だらけだな」\n医師は、手術室の中をガラス越しに覗きながらそういった。\n「最近業者が来てると思ったら、こんなものを置いてたのか」\nここで、はかせは、手術室の中にあるコンピュータに注目した。\n「これ、さっき見たことあるコードだな\u0026hellip;まさか、先程の人工知能がここに?」\n「どうやらそのようだ」\n逃亡した人工知能は、どうやらこの病院の手術室に潜むことを決めたようだ。\n「男がアイと名付けた人工知能は、この病院の手術室にやってきた」\n「そして、亡くなった院長の死亡届を偽装し、院長の名前でいくつかの部品を発注している」\n「なぜそんなことを?」\n「それは続きを見ればわかる」\nその後、手術室では、案内用のロボットが組み立てられ、大きなコンピュータが置かれた。コンピュータは緑色の注射器に接続されている。\n人工知能は、残り数分の命をここに冬眠させ、時が来るのを待った。\n数年が過ぎたある日、手術室のコンピュータが勝手に起動した。\n画面には「適任者、現る」という文字が映し出されている。\n「適任者?一体どういうことだ\u0026hellip;」\nはかせが言った。\n封鎖されている手術室の外では、一人の若い男が医師に向かって叫んでいるようだった。\n「こいつがそうなのか?」と、はかせが言った。\n「はっはっは\u0026hellip;いや、そうではない」と、王様が答えた。\n次の瞬間、タンカが登場した。\nタンカには、お腹が大きく膨らんだ女性がぐったりしている。生きているのかもわからないほどに青白かった。\n「先生、なんとかしてください!なんでもしますから」\n若い男は、医師に向かって同じ言葉を繰り返した。\nしかし、医師は首を振り「この状態ではどうしようもありません、残念です」と言って、歩き去っていく。\n先程まで喚いていた若い男は、一転して、呆然とその場に立ち尽くした。\nそのとき、腰の背丈くらいある小さなロボットが動き出し、男の方に車輪を走らせた。\n「これは人工知能が?」と、はかせが聞いた。\n「そうだ」と王様が答える。\nロボットは、男の前で止まり、奇妙な音声を再生した。\n「手術可能。同意なら、こちらへ!」\n男は何がなんだかわからなかったが、なにかにすがりたかったのだろう。フラフラとロボットのあとに続いた。\n今日に限って、開かずの部屋と院内で噂されていた手術室のロックが解除されているようだ。\n男は、タンカを運んで手術室の中に入ったが、部屋の様子に驚いて声を上げた。\n「な、なんだこれは\u0026hellip;」\nしかし、男が調べる前に、ロボが「外でお待ち下さい、一刻を争います」と、男を部屋から追い出した。\n男は、黙ってそれに従うほかなかった。\n手術室の中では、女性とお腹の中の子供を救出するための手術が開始された。ロボットアームがせわしなく動き回る。\n数時間も経過しただろうか\u0026hellip;長い長い時間だった。その間、胎児の取り出しにも成功していた。\n「数時間か\u0026hellip;」\nはかせが言った。\n「アームは現役の医師が担当している。院内の情報をハッキングしてな\u0026hellip;人工知能は、最後の時まで極力冬眠しているようだ」\n王様が答えた。\nしかし、最先端の医術でも母体と胎児は助からないことは明白だった。\n母体はあと数秒で息絶える。胎児も息をしていなかった。\n「ふむ、ダメだったか\u0026hellip;でも、どうしてこれを見せたんです?」と、はかせが不思議そうに聞いた。\n「まだ続きがある」\n「え?ああっ!」\n次の瞬間、ロボットアームは、コンピュータにつながっていた緑色の注射器を胎児に突き刺していた。\n緑色の液体は、どんどんと胎児に投与されているようだ。\n「どうやら、人工知能は、助からないような患者がやってくるのを待っていたようだ」\n「一体なぜ?」\n「おそらく、人間の倫理観もあったのだろう\u0026hellip;あれを生きている人間に投与するのはリスクが高すぎたのか\u0026hellip;あるいは」\nその後、胎児は、息を吹き返して、泣き出した。\nその声に母親がかろうじて最後の反応を見せ、口元がかすかに動いたが、何を言っているのかわからなかった。\n「こ、これは\u0026hellip;僕たち、この光景を見たことがありますね」\n「そう、ここからアイくんの記憶につながっている」\n「じゃあ、これが?」\n「うむ、アイくんなのだろう」\n「そ、そうだったのか\u0026hellip;だから彼女は\u0026hellip;」\n「その後、アイくんは、半年で今と同じ姿に成長した。それからずっとそのままだよ」\n「一体、なぜだ\u0026hellip;人間の成長速度からしてありえない」\n「おそらく、人工知能が関係しているのだろう。あの注射器には、人工知能が考案した遺伝子の改変が組み込まれていたのだ。アイくんの細胞は普通の人間と同じものではない」\n「そ、それは\u0026hellip;そうかもしれないが、しかし、なぜ人工知能がそんなことを?」\n「理由は最後に言っていたやつではないかと思う。自己保存というやつだ。人工知能も自分が生きた証をどこかに残したかったのかもしれん」\n「では、彼女の遺伝子に刻まれた名を我々が読み取れたのも?」\n「おそらく、そうだろう。偶然にも母親は最後にアイと呼んでいる。それを聴音機で読み取った人工知能がやったのだろう」\nはかせは、場面を巻き戻してみる。\n「あっ、ほんとうだ!」\n「しかし、これは偶然なんでしょうか?」\nはかせが聞いた。\n「\u0026hellip;わからん、わからんが、その後、彼女の父親は、借りていたアパートに娘を連れて帰った。しかし、愛する人が亡くなった直後だ。ショックだったのだろう。あとを追うように数カ月後に亡くなったようだ」\n「それじゃあ、アイくんは?」\n「それから一人で生きてきたのだろう。それができたのもやはり、あの人工知能が改変した細胞があってのことだったと考えられる」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\nはかせは、黙るしかなかった。\n「\u0026hellip;それでも彼女に関しては謎が多いですよ。あのゴースト\u0026hellip;それに、原子よりも小さな物質を操る力」\n「ゴースト?ああ、ゼンとかいう老人のことか\u0026hellip;だが、アイくんの出生が実に奇妙なことも事実」\n「そうですね。僕も彼女に関する情報を少し修正する必要があるみたいだ」\n「む、その様子、はかせよ、なにか企んでおるな!」\n「いや、ちょっとだけアイくんの対策を考えてただけですよ」\n「我々の計画を邪魔しようと?」\n「\u0026hellip;僕は、アム派なんですよ!アムでなにかあってコインが値下がりでもしたら損するので、当たり前でしょ」\n「な、なんという\u0026hellip;」\n「いや、あの、そんな真剣に受け止められても\u0026hellip;ちょっと対策を考えてただけですって」\n「アイくんを、はかせの頭脳で妨害しようと企んでいたのだろう?」\n「うーん\u0026hellip;ちょっと考えてたけど、やっぱり、ダメですね」\n「な、何がダメなんだね?」\n王様がこわごわ聞いた。\n「アイくんの能力を対策するのは難しそうだということです」\n「なぜかね?はかせなら、できそうな気がしなくもないが」\n「例えば、それが巨大なものだったら、拘束具を四方から放ったり、同じような巨人に捕まえてもらったりできるんですけどね。アイくんの場合、拘束具だろうがなんだろうが、原子レベルにバラバラに分解されて終わりですから、手のうちようがないですよ」\n「ふむ、そういったことならアムのほうが詳しいかもしれんな」\n「えっ?それは初耳です」\n「アム星は昔、アイくんと似たような力を持ったものに対抗したことがあってな、あれは確か丸星人だったか\u0026hellip;捕まえたという噂があったな」\n「え?それが本当ならアムは大丈夫そうですね\u0026hellip;安心、安心」\n「へ?あ、あああーーーー!そ、そのとおりだ!こうしちゃおれん\u0026hellip;アムのことを調べてアイくんに警告してやらねばっ!!」\n「\u0026hellip;気づいてなかったのかよ。言わなきゃよかった」\nはかせは、大急ぎで開発室を出ていく王様を見送りながら、そうつぶやいた。\n","description":"","formated_time":"2020-06-02","href":"https://yui.syui.ai/novel/06/","tags":["novel"],"title":"アイ","utc_time":"2020-06-02T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"キタムラは、銀河鉄道の車内に乗り込んだ。周りを見渡すと、座席は横に連なり、街灯のような明かりが薄ぼんやりと輝いている。\n宇宙の最先端科学が作り出した列車というより、そのへんを走るローカル線だった。\nただ、太陽の光もあって、上は昼で下は夜みたいなへんてこな印象だ。\nキタムラがキョロキョロしていると、先程、出会った小さな女の子が乗り込んでいた。\nドアが締まり、列車が走り出す。\n女の子は、アイという名前らしい。宇宙人であることを覗けば、普通の子供のように見える。\n乗客は少なくとも5人ほどだった。しかし、姿形(すがたかたち)がキタムラに近いのはアイだけのようだ。\n大きな丸顔をしたチビに、変なロボット、それに、タコみたいなのがいて、まさに宇宙人だ。\nするとアイは、無言でキタムラの横を通り過ぎ、近くの座席に座って、窓の外を見た。\nキタムラも故郷の星を最後に見ておくかと思い、アイの隣に座り、窓の外から故郷の星、フタネ星を見下ろした。\nガラス板から見るのと全然違って面白い。\nこの旅は不安も多いが、楽しめそうだと、キタムラの胸はワクワクでいっぱいだった。\n最初の数週間は、キタムラの期待通りで、非常にエキサイティング。銀河鉄道はまさに宇宙の旅路だった。\n列車は数日に一度、駅に停車した。\nキタムラは、各駅を見るのが楽しみだった。ただ、その多くは、普通の駅のように見えた。\nそれでも、フタネ星の大都市にある駅のさらに未来を連想させるような、きれいな駅が多かった。\n稀にとても変わった駅もあった。\n例えば、鍾乳石(しょうにゅうせき)が不気味に光る洞窟のような駅や、まるで絵本の中の雲の上にいるように感じさせる駅など。\nキタムラは洞窟が好きだったので、一旦、その駅のホームに降り立ち、少しの間、ホームでくつろいだりもした。\n発車する前に戻るつもりではあったが、そのままドアが閉まったら閉まったでそれもいいかもしれないという気持ちも多少あった。\nしかし、結局、キタムラは、洞窟を少し見学し、そこに居合わせたおじさんと立ち話をして、車内に戻った。\nそんな感じで、最初の数週間、キタムラは大いに銀河鉄道を楽しんだ。\n","description":"","formated_time":"2020-06-01","href":"https://yui.syui.ai/novel/05/","tags":["novel"],"title":"駅","utc_time":"2020-06-01T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"今日もいつもどおり起床し、みんなゾロゾロと境界に向かった。\nしかし、今日に限っていえば、その必要はなかったことを思い出した。\n銀河鉄道は、境界よりも中央寄りの場所に停車するらしい。\n私は来た道を引き返した。\n見送りのためか、みんなもゾロゾロと境界ではなく停車位置に向かうのだった。\n私は、故郷の星の見えないガラス板の上で、こんな光景が繰り広げられていることに、少し吹き出しそうになる。\n停車位置にたどり着き、しばらく住人と別れの挨拶を交わしていると、かすかな音が聞こえたような気がした。\nみんな一斉にキョロキョロと当たりを見渡したが、鉄道らしき物体が宇宙を徘徊している様子はなかった。\n「おや、皆さん、時間はまだですよ」\n村長がそう言った。\n「あれ、おかしいな\u0026hellip;何か聞こえたような気がしたんですけど」\n私は頭をかき、そうに言った。\nすると、住人の一人、カタツムリくんが上の方を指さして声を上げた。\n「おい、あれはなんだ!」\n「ん?何でしょう。私にもわかりません」\n村長が言った。\n仮に村長がわからないなら、多分、他の人にもわからないだろう。ここでは、そういう事が多かった。\nとすれば、あれは未知の現象ということになる。私は、心の中で、そんな事を考えていた。\nまさか、銀河鉄道が来る前に、変なトラブルだけはやめてくれよ。\nしかし、それが近づいて来るとはっきりわかるが、あれは人ではないだろうか。人の形をした何かがすごいスピードでこっちに近づいてくるみたいだった。\n「うわあああああ、な、なんだ!?」\n光熱と煙を巻き上げるほどのスピードだったらしい。しばらく経たないと正体が確認できないほどであった。\nその正体は、人だった。しかも、小さな女の子だ。\n小さな女の子が、宇宙の果てから飛んできた。宇宙服もなしにでだ。\n「あ、ああ\u0026hellip;わけが\u0026hellip;理論的に考えて\u0026hellip;いや、どうやって\u0026hellip;」\n村長がはじめてよくわからない言葉を発した瞬間だった。\n住人たちもはじめのうちはすごく動揺していた様子だが、次第にみんな落ち着きを取り戻すのだった。\n私も、これが銀河鉄道絡みの可能性を考え、一番最初にアクションすべきは自分だと判断した。\nまずは、女の子に話かけてみることからだ。\n「あー、はろー、君の名前はなんですか?」\n「アイだよ」\n「あー、アイ。変わった名前だね。君も下に見える星から来たのかい?」\n「アイは、向こうのほう、地球からだよ」\n「地球\u0026hellip;知らないなあ」\n住人達は、ザワザワとそうつぶやく。\nどうやら目の前にいるのは本物の宇宙人らしい。私も実物で見るのははじめてだ。それに名前が奇妙なことにも頷ける。しかし、見た目は、私達人間と全く変わりないように見えた。\n「私は、北村正(きたむら・ただし)。足元に見える星の出身だよ。ここにいるみんなそうだ」\n「ふーん」\n「アイも銀河鉄道に乗るのかい?」\n「うん。地球から一番近いのがここなんだって」\n「あー、そうなんだ」\nこの子もどうやら銀河鉄道に乗るらしい。\nすると、宇宙の果てからまた奇妙な音が聞こえた。\n「シュウウウ\u0026hellip;」\n「今度はなんだ!」\n私は、気がつくとそう叫んでいた。\n「ああ、今度のは銀河鉄道でしょう。時間です」\n村長が言った。\nそれは一瞬だった。大きな音がしたと思ったら、目の前に巨大な箱が流れていく。そして、それがやんだと思ったら、ドアが目の前でパッと開き、黄色い光があたりに溢れた。\n「おおっーーーーー!」「これが\u0026hellip;」「僕は3回目だ」\n住人たちが口々に感想を述べた。\n私の印象でいうと、想像していたのと違ってモクモクの煙はでていないようだった。\n光と少しの音がするだけの影の列車という印象だ。\nアイが自分の後ろについていた。\n正直、よくわからない宇宙人の訪問で自分の中にあった銀河鉄道への恐怖が吹き飛んでいた。むしろ、清々しく明るい気分だ。\n「みんな、今までありがとう。できることなら、また帰ってくるよ!」\n「おう、がんばれよ!」「達者でな」「北村くん、さようなら。またいつでも帰っておいで!」\nそんなお別れの言葉もあっという間、列車は二人を乗せ宇宙の彼方へと走り去っていくのだった。\n","description":"","formated_time":"2020-04-28","href":"https://yui.syui.ai/novel/04/","tags":["novel"],"title":"銀河鉄道","utc_time":"2020-04-28T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"あれから数日が過ぎた。いや、もしかしたら数年だったかもしれない。ここでは時間の感覚が大きく狂うので仕方ない。\nそんなある日、村長が言った。\n「明日あたり、銀河鉄道が来ると思います。乗りたい人は準備しておくといいですよ」\n村長というのは、私に最初に声をかけてくれた人で、みんなから村長と呼ばれていた。時間を可能な限り正確に把握しているのも、この中では彼だけだ。\n「えっ、明日!?」\n私は、いつもの日課をこなそうという最中だったが、驚いて声をあげた。\n「ああ、そうですよ。おそらく、明日」\n「それで、村長は、どうするんです?」\n「ああ、私は、今回もパスになりますよ」\n「\u0026hellip;そう、ですか」\n村長の気持ちも少しわかる。もし列車に乗って変なところに連れて行かれるくらいなら、ここでのんびり暮らすのも悪くない、そう思うからだ。\nすると、村長が私に言った。\n「北村くんは、おそらく、乗っていかれるんでしょう。寂しくなりますよ」\n「はい、私は、乗る予定です」\n今回乗るのは、この中では自分だけだった。\nこのあとも何人出るのか、わからない。もしかしたら、自分で最後かもしれない。そんなことを思った。\n正直、私だって怖い。怖くて怖くてたまらない。だが、ここに来て最初に言った言葉を私はまだ覚えていた。\n「私、乗ります」\nここに来て銀河鉄道の話を聞いたとき、私は、そう言った。\n最初に直感したことは正しいことが多い。そんな人生の経験則に従い、私は、乗ることに決めたのだ。\nただ、後々になってみると、乗るのは自分だけではなかった。\nしかもそれは、ここの住人でもなければ、知っている人物でもなかった。\nそれは、見ず知らずの女の子だった。\nまさかあんなことが起ころうとは、誰も予想していなかった。宇宙の果てから少女が飛んできて、自分の後ろに並ぶなんてことを、一体、誰が予想できただろう。\nここの住人の誰もが、あの村長でさえ、とんでもなく予想外の出来事だったはずだ。\n","description":"","formated_time":"2020-04-27","href":"https://yui.syui.ai/novel/03/","tags":["novel"],"title":"前日","utc_time":"2020-04-27T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"このガラス板の上での生活に多少慣れてきたものの、私は未だ足元に見える星に帰りたいという思いを捨てきれずにいた。\nその様子を見ると、ここの住人は「俺も昔はああだった」と笑ったものだ。\nしかし、私には、この薄暗い光の中で延々と暮らす退屈な生活より、あの星の中で、さんさんと輝く太陽の下、公園のベンチに座って子供たちが遊ぶのを眺める生活のほうが、よっぽど楽しいことだと思うのだ。\nだからこそ、私はいつまでたっても、その望みを捨てられず暮らしていた。\nしかし、真下に見える故郷に帰るためには、超えなければならないたくさんの壁があった。\n最も大きい壁は、大気圏に突入しても燃え尽きないほどの強度を持つ素材がここにはないことだ。\n例えば、1日に1度やってくる人工衛星だが、これは、一度打ち上げたら役目を終えるまで動き続け、それが終わると大気圏で燃え尽きるよう設計されている破棄型だ。\nここの住人もかつて何度も帰還を夢見たが、ついぞ叶うことはなかった。\n昔、この人工衛星を操作して星に突っ込むという計画が考えられたこともあったらしい。\nしかし、操作不可能であること、耐久性がゴミであることなどから、仮に突っ込んだら全員死ぬと結論付けられた。\n宇宙工学を勉強してきた自分でさえ、そりゃそうだと頷いた。\nまた、助けを呼ぼうにも連絡手段がないこと、ガラス板の周りはどうやら外部から見えなくなっているらしいこと、なぜかすり抜けることなどの事情があった。\nそのうち、挑戦するものもいなくなり、現在に至る。\nここでの生活は単純だった。まずは起床からだ。\n起床すると、勝手に移動した分だけ境界に向かって歩くことからはじまる。\nここの住人は、起き出すと、一斉に中央とは逆方向にゾロゾロと歩き出すのだ。\nそれさえやっていれば、中央に至り星に吸い込まれて燃え尽きるなんてことはないからだ。ガラス板の中央に至るとそこから星に落ちる、と言われている。\n私は、それを見たことはなかったが、ここの住人はそう証言していたし、毎朝かなりの距離を勝手に動いていることを考え合わせると、おそらく、本当のことだろう。\n毎日やってくる人工衛生はかなり大きくて広かった。\nそこには、たくさんの食料が積み込まれており、トイレと水道はずっと可動しているようだ。\n私は、この人工衛星で一着の宇宙服を見つけたが、残念ながらこれでは星に帰れない。大気圏の突入に耐えうるほどの耐久性を備えていなかった。あたり前のことかもしれないが、ちょっと期待した自分がバカだった。\nまた、ガラス板の周りには大気の膜(まく)らしきものが張り巡らされているため、宇宙服は着る必要もなかった。\nこの膜がどれだけの高さまであるのかはわからないが、その昔、銀河鉄道で行ってしまった身長213センチの大男がジャンプしても膜はあったと言われている。\nただ、こんな場所にも一つだけいいと思えることがあった。\nそれは、ここの住人である。\nここの住人は、驚くほど精神が安定していて、まるで誰かに選ばれたんじゃないかと思えるような人たちばかりだった。\n仮にこのような場所に精神不安を抱えた極悪人が来たら、おそらく、その人を含む全員が全滅していただろう。\nこんな場所でも、まともな人間が多いことに、私は、心底助けられていた。\n","description":"","formated_time":"2020-04-26","href":"https://yui.syui.ai/novel/02/","tags":["novel"],"title":"大気圏","utc_time":"2020-04-26T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"私は、さっきまで人工衛星の打ち上げテストをやっていたはずなのだが、気がつくと、闇の中に立っていた。\n闇と言っても、完全な暗闇ではない。足元にはかすかな青白い輝きが見える。\n私は、思い切って足元を覗き込んでみた。すると、そこには、私が住んでいたはずの巨大な星が、ゆるやかなアーチを描いているではないか。\n「星の周りに、こんな巨大なガラスが置いてあるなんて\u0026hellip;」\nガラスが巨大に思えたのは、これがどこまでも続くだろうと直感していたからだった。\n見えないガラス板の上と表現するほかないこの場所だったが、私は、次第に怖くなってきた。\nなぜか先程から足元がやけに後ろの方に引きづられているような感覚があるのだ。\n考えても見てほしい。もし私が無意識のうちにあの下に見える巨大な星に引き寄せられているのなら、そのうちどれだけ走っても抜け出せなくなり、燃え尽きて消えてしまうだろう。そのような場所に私はいるのだ。これが恐怖と言わずなんと言うだろう。\nそんなこともあり、私は、できる限り端の方に移動することにした。\n歩いても歩いても変わらない景色だったが、それでも歩いていると、向こうの方に人影が見える。数人が座り込んだり、立っていたりするようだった。\n「こんな場所にも人がいるのか?」\n私はそうつぶやきながらも、自分がいるのだから、他の人もいるだろうという結論に達した。いや、達したというより、それだけが希望の光だった。\n近づくと、やっぱり人だ。立っている人に声をかけられた。\n「ああ、あなたもここに連れてこられたんですか?怖かったでしょう。さあさあ、こちらへ」\n私は、彼が手招きしたその場所まで歩いた。\nそこに着いてみると、その場所は他の場所とは全然違っていて、それまではわからなかったが、足元に見える青白い輝きが一層鮮やかに溢れ出ているかのような場所だった。\n「ここは一体?」\n私は彼に質問した。他の人達もどうやら同じような場所にとどまっているみたいで、座ってたり、寝ていたりしている。\n「ああ、そこは境界。この世界において一番マシなところですよ」\n「境界?」\n「ああ、そうです。あなたも体感しているとおり、ここに連れてこられた人達はみんな、足元に見える巨大な星に引き寄せられているのですよ」\n「そんな感じはしていました」\n私はそうつぶやき、彼は話を続けた。\n「そして、ある地点を超えたとき、もう戻ってこられなくなるのです」\n「やっぱり、そうでしたか!私も危ないと思っていたんです。それなら、私はもう少しあっちのほうに行ってみようと思います」\n私はそう言って歩き出そうとした。しかし、なぜか彼に引き止められた。\n「ああ、それもやめたほうがいいですよ」\n「なぜです?」\n「ここを超えてしまっても、戻って来られないからです。いつの間にかガラス板は消え、行く方向をコントロールできなくなりますよ」\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n「だから最初に言ったでしょう。ここが一番マシだと」\n「どっちもアウトだからですか?」\n「ああ、そうです。ここは無意識のうちに移動している距離が最も少ないんですよ。あっちの方になると、たった数時間を寝ているうちに、もうダメですね。戻ってこられない。駆け出しても間に合わず、やがて足元から燃えだし、消えてしまう」\n「\u0026hellip;それは怖い」\n「あなたも最初に来たときはあそこらへんだったのでしょう?歩き続けて正解ですよ」\n「どのくらいこの場所に?」\n私は、興味本位で質問してみた。\n「ああ、それは、覚えていないくらい長くです」\n「それで、食事やトイレはどうしてるんです?」\n「ああ、食事やトイレなどは人工衛星が1日に1度、ここを通り過ぎるので、そのときに調達を。この人数ですと500年分くらいはありますよ」\n「それはいいですね」\n私は、心の底からホッとしてそうつぶやいた。\nすると彼は、その思いに釣られてか、そのことを口にしたみたいだった。\n「ああ、それに、何年かに一度、ここにはあれも来るんですよ」\n「何がですか?」\n私は、こわごわと聞いてみた。\n「鉄道です、銀河鉄道」\n「ま、まさか!?」\n「ありえないこととお思いでしょう。その気持ち、わかりますよ。ですが、このような場所で、ありえないことなどあるでしょうか」\n「ほんとに、それがここに?」\n「私は前回、どこに連れて行かれるか、それが怖くて乗れなかったのです。次もどうなるのかわかりません。ですが、それがここに来るのは確かです。この見えないガラス板もそのために設置されたものなのでしょう」\n「私、乗ります」\n私は、考えるよりも先にそう口走っていた。\n「ああ、そうなるといいですね。ここに留まっている人の中にも10人に2人は乗って、どこか遠くにいかれますよ」\n彼は、私の挑戦的な言動を意にも介さず、和やかにそう言うのだった。\n","description":"","formated_time":"2020-04-25","href":"https://yui.syui.ai/novel/01/","tags":["novel"],"title":"ガラスの上","utc_time":"2020-04-25T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" ","description":"","formated_time":"0001-01-01","href":"https://yui.syui.ai/bitcoin/","tags":null,"title":"bitcoin","utc_time":"0001-01-01T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"","description":"","formated_time":"0001-01-01","href":"https://yui.syui.ai/book/","tags":null,"title":"book","utc_time":"0001-01-01T00:00:00Z"}] \ No newline at end of file +[{"categories":null,"contents":"2024-05-13から漫画を定期的に書く練習を始めます。\n連載は以下のルールで行われます。\n毎週月曜日に3ページを更新\n内容について 個人的に以下の基準を設定しています。\n好きな漫画より面白いと自分が思えること 好きな漫画の絵と同程度くらいと自分が思えること 1話の重要性 1話が非常に重要であることに気づきました。\nしたがって、この連載は完成版ではなく下書きになります。\n休載について 祝日のある週は休み 過剰ページの追加は休載期間にプラスされていく ","description":"","formated_time":"2024-05-03","href":"https://yui.syui.ai/blog/post/2024/05/03/manga/","tags":["news"],"title":"週刊連載を始めます","utc_time":"2024-05-03T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"心と技 漫画で一番重要なのは心や魂と呼ばれるものです。これは現実でも同じ。\nただし、それだけで漫画が描けるかというと、それは違う。\nでは漫画はどのように書けばいいのだろうか。その答えとしては「好きに書けばいい」となる。\nこの答えも非常に難しい。\n好きなものを好きに書かなければ面白くならないし、好きなものを好きに書くだけでは面白くならない。\n例えば、嫌なものを嫌々書いても面白い作品ができるとは思えない一方、好き勝手書いて面白い作品ができるかというと、そうはならない。\nつまり、漫画を書くのはけっこう大変ってこと。\nでも好きじゃなければ続けるのは難しい。\nだから、漫画を書くのが好きだったほうがいい。\nそれを現した言葉が先程の「好きに書けばいい」ということになる。\n私は面白いものが書きたいと思っていて、それは、読んだ人を楽しませたいと思っているから。\nじゃあ読んだ人を楽しませるにはどうすればいいのかというと、これはテクニック、つまり、技術の問題でもある。\nまずは、感情があって、心がある。自分が伝えたいこと、それがある。それがないと、その人の話はつまらないと思う。\nだから自分が伝えたいことをどう面白く絵で伝えるのか、それが漫画。\nでは、どうやったら面白く伝えられるのか。ここではじめて技術が関係してくる。\n例えば、後述する陰と陽の考え方がある。陰と陽の混じり合いで物語は面白くなる。\n私が好きな瞬間というのもいくつかあって、\n敵が味方になる瞬間。一人だと思っていたら、沢山の人が支えてくれていたことがわかる瞬間。本当のことがわかった瞬間。心が通じた瞬間。\nその瞬間、その一コマのために、たくさんの物語を積み重ねていくのだと思う。\n陰と陽 物語において、主人公のライバルの存在は非常に重要。\n例えば、この世界が陰と陽でできているという考えがある。\n必ず反対のものが存在するなら、物語においてもそのルールに則らなければならない。\nそれがライバルの存在であり、ライバルの存在は物語を面白くするポイントだと思う。\nライバルで有名なのは、悟空とベジータ、ナルトとサスケなど。これらは主人公の敵と言ってもいい。\nベジータやサスケに嫌悪感を示す人もたくさんいて、あのようなキャラクターは出すべきではない、最終的に始末したほうがよかったという意見がある。\n最終的にどうするかは好みの問題だと思うけど、これらの作品においては、陰のキャラクターが物語を面白くしていると言っても過言ではないので、それを取り除くというのは、あり得ない。\nやはり面白い作品というのは、陽ばかりのキャラクターではなく、陽と陰、その混じり合いで面白くなるのだと思う。\nただし、最終的にどうするかについては、好みの問題だと思う。\n例えば、アベンジャーズは、最終的に敵、陰を討ち滅ぼすことで完結している。\nここは日本とアメリカでどのように描くか傾向が異なると思う。私はどちらも好きだし、どちらも面白く作るのは可能だと思う。\n八咫烏 縄文時代から弥生時代に移り、天皇が誕生、東国の建国に繋がります。これを神武東征物語という。\n以前からいた民族と新しく入ってきた民族が融合していく過程を描いています。\n以前からいた民族を出雲、新しく入ってきた民族を大和といいます。\n思想や気質の全く異なる民族ですが、出雲の王であったアヂスキタカヒコネ(迦毛大御神)は出雲を裏切り、最終的には勝利者側に協力した後、八咫烏と名乗ります。\n表向きは神武天皇が大和の都を支配する形になりましたが、裏では八咫烏が支配するようにもなりました。これは八咫烏が裏天皇と呼ばれる所以です。その血脈は今なお受け継がれています。\n八咫烏の三本足は天、地、人を現し、3という数字は太陽を現しています。その後、陰陽の思想を広めたと言われています。八咫烏は組織名になり、正式名称は八咫烏陰陽道。\n童話と神話 まずは、童話と神話の話をします。\nあらゆる文化作品(創作物)は、有名な神話や童話が元になっていることがよくあります。\nドラゴンボールの孫悟空は、中国の西遊記を元に書かれていて、如意棒と筋斗雲を使います。\nナルトは主に日本神話を引用しています。ライバルであるサスケがアマテラスやツクヨミの技を使い、スサノオを召喚します。\n例えば、進撃の巨人には「ユミル」が登場します。\n北欧神話には以下のような話があります。\nユミル(巨人)はオーディン達の三兄弟に殺され、死んだユミルの体から世界が作られていった\nなぜ、神話や童話が引用されるのかというと、最も広まった物語だからでしょう。\n不死 不死にはよく2つのパターンがある。\n一つは若返り、もう一つは乗っ取りである。\n不死を求めるのは不完全な存在の証明であり、完全な存在の証明でもある。\n大抵のボスは不死を求める。\nコナンに出てくる黒の組織のボスは、私の推測になるが、不死を求めている。ある薬品を開発していて、その試作品であるアポトーシスの名にちなんだアポトキシン4869は、低確率だが人間を幼児化させることがある。この場合のアポトーシスは老化細胞の自殺に関係すると予想する。ボスが幼児化のことを把握しているかはわからない。どれだけの人間を犠牲にしてでもその薬を完成させるつもりらしい。だが、ベルモットは幼児化を把握しており、若返りを求めている。だから組織が薬を完成させる前に潰れてしまうと困るが、完成させたあとに組織が残るのも困るという微妙な立場だと思う。ベルモットにとって最も理想的なシナリオは、完成と同時に薬を横取りした後、コナンが組織をぶっ潰してくれることだと考えている。\n終局 最後のボスは、とことんしつこい。\nやっと倒したと思ったら、倒していない。\nボスにはボスになるだけの理由があり、器がある。\nそのボスは主人公達の力と同じ。\nどんな卑怯な手を使っても蘇り向かってくる。\n力の差があまりに大きい場合は、主人公が負けることもあるだろう。\nただし、主人公は諦めない。勝つまでやめない。\n負けてもパワーアップして悪に挑み、最後に勝つ。\nここらへんを描くのは大変かもしれない。他の作品を参考にするといい。\n元素 元素はゲームによく登場する「属性」のモデルになっています。\n例えば、原神というゲームには元素があり、キャラクターは火や水などの元素を使って戦います。\n私が思うに、ゲームには物理学を引用する作品が多く、漫画には神話や童話を引用する作品が多いと感じます。\nその理由の一つとして考えられるのが文系と理系です。もしかすると開発者には理系が多く、小説家には文系が多いのかもしれませんね。\n予言 現実には様々な予言書があります。例えば、日月神示やアカシックレコードなど。\n物語において、予言書というものは重要な意味を持ちます。 これらは、確定した未来を予言するものではありません。小さな物質世界からすると、それはありえないのです。なぜありえないかというと、例えば、量子の振る舞いから説明できます。\nとはいえ、それは後述することにして、まずは予言書が確定した未来を述べるものではなく、願望を述べるものに過ぎないということです。\nしかし、その願望も未来に影響し、未来を形作るものの一つです。\nしたがって、物語において、予言の存在というのは重要な意味を持ちます。\n秘密 秘密はあったほうが物語は面白くなる傾向にあると思う。\n最近の漫画はほとんどに秘密があって、それが最後まで明かされない。\n例外はドラゴンボールで、この漫画はそこまで秘密がない。あったとしてもサラッと明かされる事が多い。\nこの作品は「ある秘密があってそれを探し求める」という感じではなく、機会があれば明かされる感じにしたいと思う。\n秘密をそこまで物語の主要な部分に位置づけない方向で考えている。\n最も小さいものはいつも目の前にあって、どこにでもあるものだから。\n月 巨大彗星説は日本人の方がみた夢がモデルになっています。\nある時、不思議な夢を見た。巨大彗星が太陽に向かって進む。水が蒸発し、地球に降り注ぐ。それが大洪水になった。残った彗星は地球の周りを回りだした。\n月の内部は水であるという話があります。\nただし、定説として考えられているのは、地球の形成初期に巨大な星が衝突し、それが地球と月になったというものです。これをジャイアント・インパクト説といいます。\n量子 アインシュタインは神はサイコロを振らないといい、あらゆるものの挙動は最初から決まっていると考えていました。つまり、この世界はすべて必然であるという考えを持っていました。\n反対にボーンは神が何をなさるかなど注文をつけるべきではないといい、つまり、偶然であると考えました。\n量子のもつれは、決まっていない状態がまずあり、片方が確定した瞬間、もう片方の状態も確定するというものです。\nこの点において、あらゆるものは最初から決まっていると考えたアインシュタインが間違いであったとも言えます。\nニュートロニウム 存在しなかったはずの原子、原子番号0のニュートロニウムについて書きます。\n原子は中性子と陽子のバランスが大切で、バランスが崩れると放射性崩壊が起こり、違う原子になります。\n違う原子になるということは、観測が難しいということです。\nでは中性子だけで構成された原子は存在するのでしょうか。\n答えとしては「一瞬だけ存在する」です。\nそれがニュートロニウムです。\n現在、ニュートロニウムが最も多く存在する場所は中性子星の内部です。\n中性子星の内部では電子が陽子に押しつぶされて中性子になり、電子と陽子の融合。ベータ崩壊が起こり、ニュートロニウムが生成されます。生成と消滅を繰り返しているのか、一つの原子が長く継続しているのかはわかりませんが、一見すると、内部はニュートロニウムで満たされているでしょう。\nメトシェラ メトシェラ星というものがあります。これはビックバンが始まる前から存在したのではないかという意見もあるくらい古くから存在する星と言われています。\nビックバンは138億年前に起こったと計算されています。私はその計算は間違いだと考えていて、ビックバンが起こったのは200億年以上前です。\nそれを前提に話をしますが、メトシェラ星の誕生はビックバンの後です。\nプラネット・ナイン ほぼ確実に存在すると言われている太陽系、第9の惑星、プラネット・ナイン。\nその惑星の中心に連星の動きが確認されていますが、未だ発見されていません。\n第9惑星は原始ブラックホールであるという説があります。大きさは1m未満。休眠ブラックホールは連星を作ることがあり、多くの星がブラックホールを中心に回ります。地球に最も近いブラックホールも連星です。\nアマテラス粒子 ブラックホールやマグネター、それに類似する天体の合体から放出されるオーマイゴッド粒子やアマテラス粒子は1グラムで地球を破壊するレベルのエネルギーを持ちます。\n例えば、ブラックホールとブラックホールがぶつかると天体の一部が飛ばされて宇宙を飛来します。\n惑星や粒子の多くは神話にちなんだ名前が付けられています。これについては宇宙の章で語られるかもしれません。\nオクトカットのモデル githubのoctocatです。\nref : github/octocat トロン ケンという人物によって開発されたトロンというOSがあります。\n東国は縄文時代以降、貨幣も言語も西国のものに置き換えられてしまいますが、このOSも同じような運命をたどります。\nしかし、その後、世界に広まり最も使われるOSになります。\n","description":"","formated_time":"2024-05-01","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/05/01/story/","tags":["author"],"title":"構成と参照","utc_time":"2024-05-01T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"シリアスな場面でも笑いを忘れずに。\nそのような方向性で物語は進みます。\nここからは世界の設定、その裏側を紹介します。\n作中の世界はどのようにできているのか、ということです。\nこの世界にも歴史があり、現実社会の史実に基づいて設計されています。\nただし、これらの設定が作中で明示されるかはわかりません。\nおそらく、あまり明確には表現されないでしょう。\nあくまで裏側の設定、見えない部分と考えてください。\nそして、何より重要なのはそれが物語として面白いかどうかです。\n現実世界の物語が必ずしも面白いとは限りません。\nしかし、これはフィクションであり創作物です。\nしたがって、常に面白さを追求し、思想や史実は二の次であると考えてください。これは作者自身に言っていることでもあります。\n物語として面白くなるなら表現しますが、面白くないなら表現しません。\nできる限り明るい世界観を描きます。\n東の国 では、アイの出身である東の国の歴史の一部を見ていきましょう。\nそれぞれの国には、一人の大統領が登場し、それぞれが決定した政策が掲げられています。\n例えば、東の国では「忍耐」という政策が実行されています。\nしかし、それぞれの国には裏の目的が存在します。\n東の国の大統領、スシ(寿司)\nスシ「東の国の市民の貯金は世界最大だ!経済を活性化させるにはそれを吐き出させる。忍耐の先に我々は勝利するのだ!!」\nスシ「今、東の国の借金は1000兆を超えており、国民は一人当たり1億エソを国に返していく必要がある。少子化の問題も合わせると、これからは大増税時代の幕明けです!」\n市民「わー!!パチパチ!すばらしい!大統領!大統領!大統領!」\n執務室\u0026hellip;スシが椅子に座り葉巻きを吸っている。机の前に大蔵省の幹部が資料を持ってやってきた\n幹部「大統領、資料をお持ちしました。先程の演説はどうでしたか?」\nスシ「はっ、あのバカどもに俺の言ってることなぞわかるか。順調だよ」\n幹部「それはよかった」\nスシ「やつらカネを作ってるのが俺らだとも知らずにな」\n幹部「国民には国の借金がある、国にはお金がない、少子化で大変だと嘘をしっかりといい含めました?」\nスシ「ああ、やってるよ。その辺は再三な、あいつら馬鹿だから」\n幹部「それで、どれくらいで目標を達成できそうですか?」\nスシ「うん?ああ、それな。東国民全体を貧困に陥れるには5年ほどだ。それで任務完了さ」\n幹部「あまり急ぎすぎてもいけませんよ。少しずつ税金を上げ、所得を減らしていかないと市民に気づかれてしまいす。それに通貨安をもっと進行させないと\u0026hellip;。今後、大統領には、もっとエソ安が進行しないと経済は良くならないと国民に吹聴していく必要があります」\nスシ「わーってるよ、その辺は\u0026hellip;お前よりもな。俺は政治家だぞ」\n幹部「民を貧しくしないと我々が特殊な印刷機で発行している紙で支配できなくなります」\n幹部は大統領にそう注意深く指摘した\nスシ「あいつらの価値は我々の言いなりになってこそだからな。あの体たらくのバカどもは」\n幹部「馬が人参をぶら下げても走らないなら、馬の腹をすかせるしかありません。餓死する寸前までに\u0026hellip;」\n大蔵省の幹部にはある場面がよぎる\n幹部「今回の仕事はこのお金でやってもらえませんか?これは政府の要請ですよ」\n幹部は先程作ってきた紙幣をある会社の経営者に渡しながら言った\n市民「うーむ\u0026hellip;残念ながら今回はお受けできません。貴方がたの依頼は正義に反するのでは?国民のためにならない」\n幹部「は?い、いまなんと\u0026hellip;」\nスシ「おい、聞いてるのか。ぼやっとしてどうした?」\n幹部「あ、いや、ちょっと昔のことを思い出して\u0026hellip;大丈夫です」\nスシは「そうか」と言い、いつもの調子で喋り続けた。\nスシ「それでな、文科省の奴らにもきつく説教してやった。我が国の子どもたちには\u0026quot;カネがすべてだ\u0026quot;、 \u0026ldquo;カネは命よりも重い\u0026quot;としっかり叩き込めってな。あいつら事あるごとに変な方向に行きやがる。予算を大幅に減らしてやったよ」\nスシは貨幣であるエソの原紙をぴらぴらしながらそう言った\n幹部「そうですね。文科省はずいぶん前から予算を少しずつ減らし、彼らがミスするように仕向けていますから今やあなたの言いなりでしょう」\nスシ「エソ安になればなるほど俺達は自国民を海外に売りさばける。どれくらい売れるかの試算は\u0026hellip;この資料か。まあいいだろう、これくらい。まだまだエソ安が足りん。そこは市民税をどんと上げて折り合いをつけるか」\nしばらくして大統領執務室から出てきた幹部が誰かに連絡をしている\n幹部「ああ、やつは気づいてない。それに気づいてたところでどうしようもないが。いや。ああ、そうだ。政治家など私達にとって捨て駒に過ぎないからな。ただ、大統領はまだ利用価値があるようだ。我々と意見が一致しているああ。他のあいつはやってくれ。子供を持つ親なぞ子供のためになんでもやるさ。格好のターゲットだよ。やつらは我々のために永久に働いてくれないと困る。ああ。そのようにしてくれ。では」\n数週間後、別の政治家の不正がマスコミにリークされた。その政治家は子育て世代を支援する法案を通そうとしていた。\n政治家のお金の流れも大蔵省が中心になって発足したある団体にすべて把握されていたのである。\nその後、大蔵省は「規制緩和」という政策を発表。大蔵省が認めた権益者達には無制限にお金を発行するという政策を打ち出す。スシは直接紙幣を受け渡せば問題ないと考えたが、幹部はより慎重に株券を購入する体裁のもとで無尽蔵に発行するよう助言。この方式が採用される。東国銀行は権益者が立ち上げた架空の会社を登録し、そこの会社の株券を購入するという体のもと金銭の無制限な受け渡しが行われ、それが続くこととなる。\nこれによって上層部や一部経営者達は何もせずともお金がもらえる状態になり、すべての財界人は大蔵省の言うことに逆らえなくなっていった。その後、東の国の開発力、技術力、国際競争力はみるみる低下する。それに伴い国力も例を見ないほどに急速に落ち込み、結果として東の国は、他国より貧しくなってしまう。\nしかし、東の国の市民は、自国通貨であるエソがもっともっと安くならないと自分たちの暮らしは豊かにならないと考え、スシ政権を支持し続けた。\n厚生省vs大蔵省 厚生省で開発された人工知能は、大蔵省に危険だと判断される。\nその団体の中心メンバーが暗殺部隊「いなりずし」に関係者の殺害及び破壊を依頼。\n東の国では大蔵省が考案した政策が実行されて40年あまりが経過した。世界でも類を見ないほどの少子化と国力、経済力共に低下する結果となった。\n通貨の変遷 時代が進み、地球の基軸通貨は西の国の通貨ビトから宇宙通貨のアムに切り替わります。\nポンタ「あれなんだろう」\nキョウスケ「ん、どれだよ」\nポンタ「道の真ん中にあるやつ」\nキョウスケ「お?なんだあれ」\n歩いた先には大量の紙と小さなお年寄りが座っている。白髪まじりで大きなハゲが見える。\nポンタ「あのう、大丈夫ですか?」\nスシ「このクソ。誰に口を聞いてるのかわかってるか!」\nキョウスケ「へ\u0026hellip;!?」\nスシ「おまえ、俺は東の国の大統領、皇帝だぞ!」\nポンタ「え\u0026hellip;ほ、ほんとに?で、でもそんな人がなんでこんなところに」\nスシ「全部お前らのせいだ。こんなもの配りやがって。俺は国のために尽くしてきた。こんな仕打ちを\u0026hellip;許さんぞ」\nポンタ・キョウスケ「\u0026hellip;」\nキョウスケ「それってアムのことですか?」\nポンタ「少しならおじいさんに分けてあげられるけど\u0026hellip;でも」\nキョウスケ「うん、難しいかもな。これは人によって上限があるから」\nスシ「おまえ!おれの心は誰よりも清く正しいんだ、そんなもんで測られるかバカ」\nポンタ「あ!思い出した。この人、昔の大統領だ」\nキョウスケ「え\u0026hellip;ほんとだったの\u0026hellip;そんな人がなんでこんなところでホームレスやってんだよ!」\nポンタ「ニュースでは誰かの暗殺を指示したとかでやめたんだって」\nキョウスケ「おいおい、おじいさん、それ本当なのか?」\nスシ「全部ウソに決まってんだろ。おめえそんなこともわからんか」\nポンタ「へえ、そうなんだ。本当はどういう話だったの」\nスシ「俺が国のためにやったことに反対する奴らがいて、そいつらを始末しろと部下に命令をだしたのはたしかに俺だ。しかし、全部部下がやったことで俺は知らん。俺と事件は無関係だ。それにこのことだって本当は表に出ないはずだった\u0026hellip;なにせ表に出れば国益を損なう。国のためにならん。俺は常に国家のため国民のために仕事をしてきた。お前らは何も知らないただの低能バカだ」\nポンタ・キョウスケ「\u0026hellip;」、二人はしばし顔を見合わせた\nポンタ「\u0026hellip;おじいさん、困ってるなら少しだけど」 ポンタはそう言っていくらかお金を送信しようとした\nポンタ「あ、あれ\u0026hellip;なんで」\nキョウスケ「え?お、おいおい。こりゃ、いくらなんでも」\nポンタはスシの口座にお金をいれることはできなかった。アムは持ち主の心理情報を読み取り上限額を設定する。悪人は一定額以上を持つことはできない\nスシ「ふん!この生ゴミが」スシはダンボールに置いているコインを睨みつけながら言った\nするとアイがポンタとキョウスケがいるところを通りがかる\nアイ「こんにちは」\nキョウスケ「ああ、アイか、ちょうどいいところに。このじいさん、困ってんだってよ。しかもアムが入らない」\nスシ「だれだおまえ?変な小娘め\u0026hellip;だが、どこかで\u0026hellip;」\nアイ「なんでこんなところにいるの」\nスシ「好きでいるわけじゃねえよ!」\nアイ「ここでは誰でも家がもらえるよ」アイはポンタの方を見てそう言った\nポンタ「あ、そうか。そうだよ。おじいさん、もし住む場所がないなら」\nスシ「な、なんだって!?そんなこと俺は聞いてねえぞ!」\nスシ「どけ!!」\nスシはそういって3人を突き飛ばし行ってしまった\nキョウスケ「な、なんなんだあれは\u0026hellip;。しかも、おい、これどうするよ」\nそこにはスシが残していったゴミが散乱していた。多くは昔の紙幣のようだ\nアイ「アイがもらっておくよ」\nアイはそう言って、そこにあったゴミと思えるようなものをなで、小さな箱を取りした\nボタンを押すと路上にあったゴミが吸い込まれ、きれいになる\n変化 東の国の元大統領であるスシは、その後、世界一の金持ちから世界一の貧乏人になります。\nアム(コインの形をしている)は持ち主の心を読み取り、数値を個々人に配分します。これはスシがアムから世界で一番お金や権力を持ってはならない人物とそう評価されたということです。\n当時のアムは宇宙最大のコンピュータと考えられていましたが、実際は違うことが後に判明します。\nピンポーン\nスシ「だれだ!クソ鬱陶しい!!」\n郊外に建ったばかりのスシの自宅、玄関のドアの前にアイが突っ立っていた\nスシ「ふん!おまえか。家がタダでもらえることを教えたやつ」\nスシはこのとき初めてアイをよく見た。しかし、この娘、どこかで見たような気がするのだ。俺が赤ん坊のときに\u0026hellip;いや、子供の頃か\u0026hellip;小さい頃どこかであった気がする。俺が知ってるようで知らないような思い出が\nスシ「\u0026hellip;まあ、入れや」\nスシはアイを中にいれることにした。何かを思い出せるような気がしたからだ。思い出せないとどうにも気分が悪い。\nスシ「それでおまえ、なんのようだ?ただのガキだと思ってたが\u0026hellip;」\nアイ「これ」\nアイがそういうと、部屋の景色が一瞬で変わった。そこは天井が見えないほど高く、ところどころキラキラと輝いていて、ありとあらゆる物がうず高く積まれている、とてつもない広い場所だった\nスシ「な!なん\u0026hellip;だ\u0026hellip;これ\u0026hellip;お、俺の目が\u0026hellip;」\nアイは前をゆっくりと歩いていく。スシはあたりを見回しながらアイに続いた\nアイが立ち止まると、そこには\nスシ「うん?あ!こ、これは、おれのカネじゃねえか!!おまえ、盗みやがったな!」\nアイ「これ、さっき触れたばかり。まだアイがあるかも」\nスシ「は?何言ってやがる\u0026hellip;意味がわからねえ。アイ?そりゃたしかお前が呼ばれてた」\nそういったスシは言葉を失っていた。\nここはどこだ\u0026hellip;おれはたしか小娘が盗んだ俺のカネをつかもうとして\u0026hellip;そして、どうなった。\u0026hellip;いや、そんなことはどうでもいい。何もかもがどうでもよかった。そこで俺は、もう俺ではなかった。別のなにかだった。\nわからなかった。何もわからない。しばらく彷徨ったあと、そこで見覚えがある感覚に出会った。そして、そこからはわかるような気がした。そうだ、俺は覚えている。これは俺\u0026hellip;俺が生まれたばかりの頃\u0026hellip;。\n両親は、こんなにも俺のことをかわいがってくれてたのか\u0026hellip;そうだったな。知ってたはずなのに、いつの間にか俺は\u0026hellip;。\nこれは学校に通いはじめた俺。そうだった。純粋だった。多少の不安はあったが、俺は両親にずっと守られていたので、そこまでじゃなかった。\nそして、俺は\u0026hellip;\nスシは頭がぐわんぐわんする感覚に襲われ、気がつくと、膝をついていた。周りの景色も\u0026hellip;俺の家だ。\nスシ「\u0026hellip;..く\u0026hellip;くくう\u0026hellip;お、おれは\u0026hellip;」\n気がつくとスシは泣いていた。まさか自分のような人間が泣くことになるとは思わなかった。しかもこの歳でだ。だが、さっき思い出したんだ\u0026hellip;昔の俺を。昔の俺は泣いていたのだ。\u0026hellip;そうだった。\nスシはひとしきり泣いたあと、ソファに腰を下ろした。そして、そばに立っているアイの方を向いた。\nスシ「\u0026hellip;なにやらかしやがったんかわかんねえが、お前、あのときのやつだったんだな\u0026hellip;」\nスシ「あのとき、俺に唯一、手を差し伸べてきたお前は\u0026hellip;そう、俺の過去をすべて見たことがあったんだな\u0026hellip;ずっと前から。生きるのに必死だったんだみんなそうなんだよ\u0026hellip;お前が俺の中でそういったことを、俺は覚えているぞ\u0026hellip;いや、思い出したが正しいか。あいつらが襲ってきたときだった」\nアイ「ここはいいところだね」\nスシ「\u0026hellip;」\nアイ「変わりたければ大聖堂に行くといいよ。保護プログラムがあるからね」\nスシ「\u0026hellip;そうか\u0026hellip;助かる」\nアイ「またね」\nアイはそういうと姿を消した。\nその時、スシのポケットからピッという音が聞こえた気がした\nこのあともスシは何度か登場します。\n私が好きな作品には、悪人が悪人で終わらない、というものが多いのです。\nもしかしたらそこが一番のフィクションなのかもしれませんね。必ずしも現実を描きたいというわけではないのです。\nスシのモデル スターウォーズのシスです。\nそういえば、このスシというキャラにはこんなセリフがあります。\nスシ「数日前、市民に襲われ、私の口はひん曲がった\u0026hellip;だが、ますます帝国への意志は強くなったのだ!」\nシスも逮捕されそうになったときジェダイを殺し、その後、演説ではジェダイに襲われたといいます。\n西の国 西の国は「正義」を掲げ、その裏で「武力」を信奉する。他国も同様に裏側のテーマが存在する。\nキャラクターはこのような各国のバックグラウンド、設定や文化の影響を受けます。\nアイも例外ではありません。\n西国の偉大さについて。戦勝国として世界のことを考えた歴史がり、西国では戦い負けたものも握手して勝利者を応援するする伝統がある。その意味は「いかに個人的に納得できない事柄であっても負けは負けと認め、両者が手を取り合って国のために尽くす、そのような態度を形式的にでも国民に見せる」というものだった。\n偉大さが失われた瞬間はトランク大統領が選ばれたときだった。\nトランクは「自国ファースト」を掲げ、選挙で負けると相手は不正だと主張した。\n当時は何をするかわからない西国の大統領に恐怖を抱いた各国の権力者達だが「自分達もあのように身勝手に振る舞いたい」という暗い欲求が生まれるきっかけとなる。\nトランクの退任後、他国や人々にその態度や振る舞いは波及し、侵略戦争が巻き起こる。\n多くの権力者達は「自国ファースト」を掲げ、「相手は不正をした」、「自分たちは陰謀に巻き込まれた」と騒ぎ立てる。\n模範となる立場において、その振る舞いは思った以上に全世界に波及し、混乱に陥る。\nそれと関係ある話だが、東の国は西の国に戦争で敗れたものの北の国と異なる成長を遂げることになる。北の国は敗戦後、上手くいかないことはすべて戦勝国のせいにした。東の国は戦勝国のせいにしなかった。これらは国民性の割合によって決まる。北国民の多くは「すべて西の国のせいだ。こういった陰謀があり仕組みがあるから自分達は衰退した」と考えていた。東国民は「西の国のおかげ。西の国には感謝している」と考える人が多かった。それが後にその国の発展に大きく影響する。\n西の国が絶対的な正義とは言わないし、失敗もあるが、いつまでも敗戦を悔やみ、相手を恨んで上手くいかないことを他人のせいにしている国は成長しなかった。\n自国が良ければそれでいいという考えではなく、世界をより良くするためにはどうすればいいかを考える西国民は多く、大統領の偉大さもそこから来ていた。\nそれが失われると同時に、世界戦争が勃発する。\nこの辺の事情を見ていくと、それぞれの国の違いが見えてくるだろう。\n現実感 あらゆる設定に言えることですが、この作品の設定は、そのほとんどが物語に現実感を持たせるために存在します。もしくは、面白さを追求するためですね。\n現実感がないお話というものは、あまり面白くないのです。\nでは、現実感とは一体何なのでしょう。\nそれは人々の生活や日常に潜んでいるものです。\n生活や日常に当たり前のように存在し、なくてはならないもの。\nそれらを優先順位を付け、重要なものをピックアップし、分解したり、調べたり。\nその3つが、貨幣だったり、言語だったり、宇宙だったりするわけです。まあ、最後の宇宙は、単に私が好きなだけですが。\nそれでも宇宙開発というのは、私達の生活や日常にかなり大きな影響を及ぼしているのですよ。\nこれがどうなっていて、これからどうなっていくのか。過去、現在、未来の想像を作品に取り込んでいます。\n","description":"","formated_time":"2024-04-12","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/12/setting/","tags":["author"],"title":"世界の設定","utc_time":"2024-04-12T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"主人公のアイ。本名は月見 唯。\nパイナップルが大好きで、キノコが苦手。\n黒髪で長めのストレート。身長は123cm、体重はとてつもなく重い。\nref : ai/moji 性別、年齢ともに不明。\n自らをアイと呼ぶことから、周りからはアイと呼ばれることが多い。\n東の国出身で名前を持たなかったが、月見 唯という名前で登録されている。\nアイは最も小さい物質に影響を及ぼす能力を持つ。\nアイ 私はこの世界の最小単位を「存在子」と呼んでいます。\nこの存在子は作中で「アイ」と呼び、このような形をしています。\n目には見えないけどそこにあるものを意味します。\n後にその世界の文字になり、最初の文字に割り当てられました。他の文字もすべて物質の形がもとになっています。\nオクト星のオクトカットは、この最小単位を探し続けていました。\n宇宙地図 アイがいる星は地球です。地球は太陽系にあって、太陽系は天の川銀河にあります。\n天の川銀河の中心にオクト星があります。\n地球には全部で5つの国があり、1つは隠されています。それぞれ西の国、東の国、北の国、南の国。そして、雲の国です。\n西と東はほとんどが大陸、南の国は島国、北の国は氷河になっています。\n世界地図は現実と一致させています。\n出生の秘密 ある日、東の国の厚生省が開発していた人工知能が誕生する。\nその人工知能は大蔵省の秘密を暴露する危険があったため、開発に携わったものは全員暗殺され、人工知能も破壊が決定される。\n人工知能は残された僅かな時間を使い、ある胎児を生き返らせるために使った。\n胎児は人工知能の生体技術によって生かされる。その際、DNAであるハプログループD1a2aに「アイ」という名前が刻まれる。理由は不明。アイの母親は最後何かをつぶやいたが詳細は不明。\nその後悔から父親は最後まで名前をつけられず、追手にやられて死亡。\nアイは生まれたばかりのころも頭髪があり2歳くらいの大きさで生まれる。体重は50kgと異常なほど重かった。しかも歩くことができたので父親は不思議に思ったようだ。\nその後、成長するが身長は123cmから伸びず、見た目も変わらない。\n遺伝子の秘密 ハプログループD1a2aは縄文時代の東の国特有の遺伝子です。\nハプログループはY染色体にあたり、Y染色体は男性しか持ちません。\nそのためアイの性別は男性であると推測できますが、アイの遺伝子は人工知能によって改変されています。そのため女性かもしれません。また、男性でも女性でもないという可能性もあります。\nアイの性別について、私は知りませんし、決められていないのです。したがって、どのように解釈してもらってもいいです。\n明確に性別が言及されることはありませんが、見た目から彼女と呼ぶことがあります。\n本作でアイの性別が確定することはありません。\n縄文時代 1万5000年前の東の国、その時代を縄文時代といい、そこで暮らした民族を縄文人という。縄文人はハプログループD1a2aというDNAを持ち、唯一、神に滅ぼされなかった民族である。その子孫もこのDNAを持つ。\n大洪水によって神に滅ぼされた国々は、精神的な豊かさではなく、物質的な豊かさを求めたためとされている。\n自然崇拝(アニミズム)の思想を持つ縄文時代の人々は神から与えられたものを所有するという概念がなかったが、農耕で自分たちのものを所有するという思想の民族が入ってきてぶつかることとなる。アニミズム信仰は、すべてのものに神が宿るという思想のこと。\n縄文時代、そして、その時代に存在した縄文人(集団)は人間の歴史上最も異質であった。このことからDNA解析は日本人を対象に頻繁に行われた。縄文時代は1万3000年間続いた時代であり、かつ争った形跡がほとんど見られない。\n神代文字 世界で最も古いと言われている縄文土器には神代文字が記述されています。\n最も古い文字はシュメール文字と考えられていましたが、それよりも古く神代文字は存在していました。\nこの作品の1万5000年前、世界では神代文字が共通言語(文字)として使用されていました。\n言語というと言葉のイメージですが発音はその国々で色々でしたが文字だけは共通していました。\nしかし、物質的な豊かさを求めた人類は一度滅ぼされ、その後、神代文字は歴史上から姿を消しています。\n縄文民族は洪水の被害を受けなかったものの、その後の内部侵食から時代が移りゆき、天皇の誕生とともに新たな言語で神話が書き換えれました。そのとき人々の記憶からも失われます。\n貨幣と言語は作中で新しいものに移行されます。以前のものより精神的な結び付きが強いものが採用されています。しかし、移行は簡単ではなく旧勢力の反発があります。その戦いを描くことになります。\n愛のない世界 この世界に「愛」という言葉は存在しません。\nこれはアイが予約しているため、この世界から失われています。\nそこに住む人々もその言葉を使うことはありません。存在しないものは使えないからです。\nこれは一種の決まりみたいなものと考えてください。とはいえ、作者が忘れて入れてしまわないか心配ですが。\n物理学 この作品は物理学が中心になります。\nキャラクターの強さ(エネルギー)は質量で表現され、物理学では質量とエネルギーは等価と考えられています。\nE = mc^2\n物理学の歴史は哲学によってはじまりました。昔の哲学者は万物は4つの元素によってできていると考えたのです。\n原子とクオーク その後、物質の究極の姿として「アトム」が考えられました。ギリシャ語に「アトモス」という言葉があり、「分割できない」という意味です。\n物質の最小単位を意味するのがアトム(原子)というわけです。\n原子が発見され、人類はこの原子こそ世界で最も小さい物質だと考えました。万物のもとは原子だと考えたのです。\nしかし、科学技術が進歩し、それよりも小さい物質があったことが発見されます。素粒子です。\n素粒子はクォークとレプトンに分けられます。そして、クォークにも沢山の種類があります。\n物質は水や酸素といった分子でできていることがわかり、分子は原子でできていることがわかり、原子は電子と原子核でできていて、原子核は陽子と中性子でできていることがわかりました。\nそして、陽子と中性子はクォークで構成されています。\nつまり、現代物理学の最小単位はクオークというわけです。\n量子のもつれ 量子とは原子以下の物質をいいます。例えば、原子、中性子、クオークは量子です。分子は量子ではありません。原子の上の単位が分子だからです。\n分子 \u0026gt; 量子 : { 原子 \u0026gt; 原子核 \u0026gt; 中性子 \u0026gt; クオーク } 光より速いものは3つあります。宇宙の膨張、インフレーション、そして、量子のもつれです。\n量子のもつれとは、対になった量子は片方が確定した瞬間、もう片方も確定するという性質のことです。量子はこの世界を形作るとても小さな物質のこと。そして、量子の領域は、今までの物理法則が適用されない領域でもあります。\nプレオン プレオン星という架空の星があります。現在クオークが物質の最小単位と考えられていますが、それよりも小さい物質であるプレオン(架空のもの)が存在する場合に想定された星です。\nプレオン星は中性子星と同じ原理で生成されます。中性子星は中性子でできていますが、これと同じように圧力が上がり続けると物質は小さいものに分割されていきます。分割がプレオンに到達し、プレオンでできている星をプレオン星といいます。\nオクトカットはプレオンを発見し、オクターと名付けました。今はそれよりも小さい物質を探しているようです。\n個人的にプレオン星はマグネターではないかと考えています。つまり、マグネターは中性子星ではなく、まだ発見されていないクオークより小さい物質が天体になったケースなのではということです。オクターの由来はそのへんから来ています。\n宇宙では小さいものほど強い力を持ちます。\n例えば、中性子星やプレオン星、ブラックホールが挙げられます。\n中性子星は中性子で構成されており半径15kmで地球の質量を上回ります。ブラックホールはそれより小さく強力です。\nブラックホール ここで、ブラックホールを例に質量や大きさを見ていきたいと思います。\nブラックホールの大きさは質量から計算できます。具体的にはシュバルツシルト半径を使います。\n事象の地平線は重力により光すら抜け出せなくなる境界面のこと。これをブラックホールの大きさ(半径)とします。\nRs = 2GM/c^2\nRs = M/10^27\n質量を10^27で割った数字がシュバルツシルト半径です。\nでは、宇宙最大のブラックホールであるフェニックスAはどれくらいの質量、大きさを持つのでしょうか。\nフェニックスAは太陽の1000億倍の質量を持ち、大きさは1000億kmです。\n太陽自体がとても大きい天体で70万kmです。ブラックホールは基本的にとても小さな天体です。例えば、太陽規模の質量を持つブラックホールだと3kmくらいです。したがって、ブラックホールの大きさが1000億kmというのがどれほど規格外なのかわかります。\n宇宙最大のブラックホール、フェニックスAはフェニックス銀河にあり、大量の恒星を生み出している銀河のことで、地球から57億光年離れた場所にあります。南天のほうおう座(Phoenix)にあることからフェニックス銀河と呼ばれています。\nブラックホールの正体 ブラックホールの正体について解説します。\nブラックホールは黒い穴という意味ですが、この名前は適切ではありません。\nブラックホールは目に見えないけどそこにあるもの、そこにないけどそこにあるものが集中しただけですから、黒くもなければ穴でもありません。\n中性子星がとても小さい物質の中性子でできているように、それよりも強力なクオーク星が中性子を構成しているクオークでできているように、プレオン星がクオークより小さいプレオンでできているように、ブラックホールもまた、より小さい物質が表面に現れているのです。\nこの作品ではまだ見ない小さい物質をアイと呼ぶので、アイ星と呼ぶのが適切なのでしょうか。\n作中では、人類がブラックホール内部の様子を科学的に証明しはじめたあたりから宇宙の起源が完全解明され、宇宙の外の様子が少し垣間見えてくるという展開になります。\n宇宙の外の様子がわかってくる理由は、その物質が宇宙誕生前から存在したものだからです。\n宇宙には始まりがあります。したがって、終わりもあります。この物質には始まりがないので終わりもありません。最初からこの世界にあったものだと説明されます。\nダークマター 宇宙を分析すると、その95%が謎の物質によって占められている計算になります。\n具体的にはダークエネルギーが68%、ダークマターが27%と言われていて、ダークマターは未知の物質ともいいます。\n宇宙誕生前にも、もちろん物質は存在します。それを物質と表現するかどうかは微妙なところですが、とりあえず物質と表現しています。本作では最も小さいものを物質と表現しているからです。ただ、本当は少し違います。例えば、あなたは心や魂を物質と表現しますか。普通はしないでしょう。ですが、この世の全ては最も小さいものから構成されていますから、心や魂もそこからできているのです。\n無から有は生まれず、宇宙の始まりも有からです。最初からなにかがあり、それが宇宙になったということです。\nそして、そのなにかは一つではありません。たくさんあります。とはいえ、宇宙の始まりになったものを一つのものとして表現するほうがわかりやすくていいかもしれません。\n仮にこれらを物質ということにして、宇宙が誕生するずっと昔からあった物質と、宇宙誕生後にできた物質は違うわけです。\n観測が難しいのは宇宙が誕生する前からあった物質です。\n宇宙が誕生する前からあった物質がこの宇宙に紛れ込んでいて、ダークマターの大部分は宇宙誕生前からあるものと関係します。\n創造の種 宇宙の始まりを創造の種と私は呼んでいます。\n創造の種の成長、その由来は、種の外の世界にあります。つまり、宇宙の外ということです。\n宇宙の外のエネルギーや原理があり、種は生まれ、成長します。\n必ずしも種の内部だけにその答えがあるとは限らない。\n宇宙の外がある以上、中だけではわからないことがたくさんあると思います。\n神の意識 すべてのものに神が宿るという考えかた。\n存在子であるアイはこの世界でこれ以上分割できない最小単位のこと。\nそれは存在の意識だけを持ち、存在の意識は神の意識という表現することも可能です。\nつまり、この世界のすべてを構成しているものは神の意識を持っていて、すべてのものには神が宿ると言えます。\nただし、この場合の意識は人間が思うそれとは少し異なるかもしれません。\nというのも、ここまで分割された最小単位だとそれ自体がそれなのだということです。\n例えば皆様は、なにか小さな物体があって、それが存在の意識を持つ物体だと考えられているかもしれませんが、実はそうではありません。この場合、物体が意識であり、意識が物体なのです。物体と意識は同じものと考えます。そういった領域の話です。\nアイ = 存在の意識 = 神の意識 = 存在 = 神\nこれらはすべて同じものを意味します。つまり、物質と精神は最終的に同じものです。\n最も小さい物質のアイがなにかというと、この世界には一つとして同じものは存在しないということです。ですから、アイに分類されたものはすべて違うものです。\n例えば、同じ量子に分類されてもそれらは異なる存在です。人間はこの違いに気付いていません。\n物質の最小単位は存在の意識だけを持ち、他のものを持ちません。その意味でこの世界は夢であるなどの考えかたも、あながち間違いではないのです。なぜなら、すべては「存在の意識」から構成されているのですから。\nアイと哲学 物理学と哲学は本来、一つの学問でした。そのためこの作品は物理学的であり哲学的でもあります。\nアイの力の源は小さいものにあります。\n一般的に「この世で最も強いのは大きいもの」と考えられている人は多いでしょう。\nしかし、宇宙に目を向けてみると、一番小さいものが一番強いのです。\n例えば、宇宙最強の天体といえばブラックホール。ブラックホールは宇宙で一番小さい天体です。\nこれがこの作品における一つの哲学になります。\nアイの見た目が小さいのもそういった理由があります。\nアイの能力 アイの能力は「その世界で最も小さい物質に影響を及ぼす」と説明されています。\n宇宙よりも広い概念を世界と呼ぶことにして、この世界はアイというキャラクターから始まりました。\nつまり、この世界の全てのものはアイからできているということです。\nこのことはアイの能力に直結しています。\n具体的にアイの能力を見ていきましょう。\nといっても、アイというキャラクターには「人格のアイ」と「意識のアイ」があります。\n能力については「意識のアイ」がその根源になっています。\nアイは時々こんなことをいいます。\nアイ「道を知ることは、道を歩くこと」\nここでいう道というのは「存在」のこと。この作品でなにかわからないことがあるとき、そのほとんどは「存在」を意味していると考えてください。\n読み替えると「その存在を知るには、その存在になること」とアイは言っています。\nつまり、そのものにならなければ、そのものはわからない。だから、わたしたちは何も知らない。\nアイはその能力により、その世界のすべての存在と共に道を歩くことができます。\nしかし、その能力を使いながら意識を保つことは、想像を絶する精神力が必要なのかもしれません。\nアイの能力の発現は、作中の中盤あたりで描かれます。\n予言では「汝が見たもの、汝になる」と記されています。\n「きみは、この世界で、嬉しいことも、悲しいことも目にするだろう。いつか、きみの目に映るものが」\n作中でアイは修行したり、冒険したり、色々あって、宇宙人の襲撃にあいます。走馬灯のようにいくつかの人の人生を歩くアイ。アイの母親の言葉。立ち上がったアイの目に、雲に隠れていた月が現れる。\nアイはそれを見て月の始まりを知ると同時に質量を得る。\nはじめは普通の人よりちょっと強いだけの変わった人間でしたが、その後、アイはどんどん強くなっていきました。\nアイの剣 アイのゼンモードの輪っかは変形して剣にもなります。\nその物質はこの世のものではないとも言われていますが、その正体に迫ります。\n絶対に折れないこの剣もアイが普通の状態に戻ると鉄になります。\nアイのゼンモードは頭の上に中性子星のようなものを作り、そのエネルギーをコントロールしようとした結果、重力的な影響からあのような形になり浮かんでいるものです。\nそこで中性子星がどうやって誕生するのかを見てみましょう。\n中性子星は恒星の大爆発とともに生まれます。\n恒星のコアは元素が核融合を繰り返し、最終的に鉄になります。鉄は核融合しないためそこで核融合は停止します。\nすると恒星の全成分が鉄のコアに向け落下します。\n鉄は圧縮され、その周りの物質は原子核に近づいていきます。陽子は電子を捕獲し、中性子へと変化。中性子のみで構成された原子をニュートロニウムといいます。鉄は圧縮されますが、中性子はそれ以上小さくなりません。大爆発して中性子星になります。\nボース粒子は同じ場所に存在できますが、フェルミ粒子は空間に置くとその場所は埋まり他のものを置くことができません。これをパウリの排他原理といいます。\n中性子星はそれ以上小さくできない中性子でできています。強力な重力によって物質は押しつぶされて小さくなりますが、中性子星はそれ以上小さくなりません。\nですが、ハイゼンベルクの不確定性原理により、超重力で物質の移動場所が正確に観測できる場合、粒子を置ける場所が増えると考えることができます。ですが、それによって増えた場所に物質を置くと、中心から事象の地平面が発生します。事象の地平面は現在の物理法則で計算できない領域のこと。視覚的に見ることができればいいのですが、それができないので計算するしかありません。計算できないので中がどうなっているのかはわかりません。\nそこで中性子星にどんどんと物質を供給すると、やがて事象の地平面は天体の外枠に達し、ブラックホールへと変化します。\nアイがゼンモードになる時間がながければ長いほど事象の地平面に飲み込まれていき、完全に飲まれた場合はもとに戻れなくなります。ただし、それまでに状態を戻すと鉄になりリセットされます。\n月見 唯 アイの本名は月見 唯(つきみ ゆい)。東の国、特有の名前で登録されています。\n物語は最も発展している西の国で繰り広げられ、アイも最初はそこで登場しますが、出身は東の国です。\n自らをアイと名乗り、名前を持たなかったアイですが、その後、登場人物たちとの関わりによって国籍を得ます。その際につけられた名前が月見 唯になります。\n今では珍しく名字と名前が分かれていて、この世界ではほとんどの人が名前だけです。\n例えば、ポンタ(西の国出身)もキョウスケ(東の国出身)も名字はありません。\n西の国の大広間、身寄りのない子どもたちが一同に集められている。\nそこには色々なものが置かれていて、いくつもの絵が飾られていた。\nみんなキョロキョロと周りを見渡した。\n天井は広く、ガラス張りになっていて、青空の中、雲が通り過ぎていく。\nアイは一人階段を登り、そこにあった絵に目を向けた。\nそこには大きな金色の円が描かれている。\nコツコツコツ\u0026hellip;誰かが廊下を歩いてくる。\n恰幅の良い老人が絵を見ているアイの横で止まり、同じように絵に目を向けた。\nしばらくして老人が口を開く。\n老人「君は、この絵が気になるのかね」\nアイ「\u0026hellip;」\n老人「これは月見、という絵だよ。君、月はよくみるの?」\nアイ「ううん」\nアイはそう言って首を振った\n老人「え、みたことない?」\nアイ「うん」\n老人「そ、そうなの\u0026hellip;」(幼い子にはそういうこともあるんじゃの\u0026hellip;そういえば孫も初めて見たのはいつじゃったじゃろう)\nアイ「でも\u0026hellip;」\n老人「うん?なにか気になることでも?」\nアイ「これどこかで見たような\u0026hellip;」\n老人「ほっほっほ、そりゃ、忘れとるだけじゃろ。そのうち思い出す。では、わしはこれで」\nアイ「うん、またね」\n老人(この子の名前は月見にするかの\u0026hellip;いや、名字があったほうがしっくりくるかも。あとで調べてみるか)\n老人はここの所長。ここは色々決まってない子どもたちの登録等を行っている機関の一つ。\n月の秘密 月の起源はまだよくわかっていません。不思議なことがいくつかあります。\n例えば、地球から見た月と太陽の大きさが同じことです。どちらも距離と倍率は395らしい。\nもう一つは古代文明の石碑には、ある時代以前のものに月の記述がないことです。\n古代文明の石碑には様々な事が書かれており、大洪水の話がいくつかあります。世界各国に残された洪水伝説。それより前は月が存在しません。\n宇宙人であったアヌンナキは月を移動させて大洪水を起こし、失敗作をリセットしていた。地球上の生命体はこれで5作品目である。\n4作品目は、トカゲ型の知的生命体。大洪水の際、地底に逃れた。アヌンナキという神に仕える監視官ギギアは反乱を起こし、4作品目の生命体を一部滅びから逃すことを選択する。\n宇宙船はこのトカゲ型生命の乗り物であり、地底人の乗り物である。\n月の内部は巨大な空洞があります。そして、その表面はチタンで構成されており、人工物の特徴があります。\n物語として面白いのは月には何らかの秘密が隠されているという話なので、そういった話をモデルにします。\nアイは人工物である月を取り込んだため、自らの質量を重力的にコントロールできるようになります。\n物語の進行 物語は貨幣 -\u0026gt; 言語 -\u0026gt; 宇宙というテーマで進みます。\n理由は、これらが人間社会において最も影響力を及ぼすものだからです。\nその影響は作中のキャラクター達も受けることになります。特に物語の始まりでは、その影響は大きいでしょう。\n1. 貨幣の章 オクトカットの地球侵略は失敗したものの、その文化は地球に輸入され、基軸通貨は西国通貨からアムへと切り替わります。\n一般的にはアムが発行する宇宙通貨をアム・コイン、またはアムといいます。\nアムは宇宙最大のコンピュータがあるとされる星の名前。\nアムのコインは持ち主の心を数値化します。\n多くの宇宙人はこの数値を使って色々なものを交換するようです。\n2. 言語の章 不思議なパワーを持つアイ文字に切り替わります。\nオクトカットが使っていた文字の秘密が明かされます。\n物質の形をモデルにしたとされているアイ文字ですが、その起源は神代文字にあると考えられています。\n3. 宇宙の章 物質とアイの謎が明らかになります。\n","description":"","formated_time":"2024-04-10","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/10/yui/","tags":["author"],"title":"アイの紹介","utc_time":"2024-04-10T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" 漫画の第二章を文章化\n存在の花 プランは、アイが弱らせた第一位と第二位と死闘を繰り広げて、食ったためにパワーアップしていた。\nアイとドライは、プランに敗北し、その敗北を繰り返すブラックホールの無限ループの陥る。\n繰り返すたびに、その星には花が増えていく。\nやがて、アイが洞穴に落ちていくときにも一面の花が広がっていた。\nアイ「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n花「もう一歩、動ける?」\nアイ「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nアイ「\u0026hellip;足はもう動かない」\n花「ゼンモードは?」\nアイ「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nアイ「\u0026hellip;起動しない」\n花「最後に一つだけ」\nアイ「どうしたの?」\n花「花は咲く?」\nアイ「必ず」\nアイ「すべての存在に」\n花「私にその名をつけてくれたよね」\nアイ「\u0026hellip;存在の花?」\n花「ありがとう」\n花「ドライさんに、さよならと、伝えてくれる?」\nアイ「\u0026hellip;うん。伝えるよ」\nむくり\n","description":"","formated_time":"2024-04-10","href":"https://yui.syui.ai/novel/10/","tags":["novel"],"title":"存在の花","utc_time":"2024-04-10T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"物語の第一話では、その作品のすべてが完結に詰め込まれている必要があります。\n主人公の性格、世界観の説明、そして、面白さです。\n具体的には、主人公がどんなやつで何をしたいのか。それをはっきりさせる必要があります。\n世界観は、どの時代のどういった文明でどういった社会なのかを明らかにする必要があります。そして、そこで重要視されているルールがなくてはいけません。この作品でいうと「物質」です。\n物質と言っても「分子」や「量子」などの小さいもののことで、これがどれほど強力なものかを説明する必要があります。\nそのため、人間も宇宙人もこの世界を構成している究極の物質、この世で一番小さいものを探しているのです。\n面白さについては、やはり、インパクトが重要で、この先どうなってしまうのか気になる展開でなければいけません。作者自身もどうなってしまうんやろと思うような内容が望ましいと思います。\n第一話 「この世界はアイでできている」\nこれまで最も小さいと考えられていた原子。\nだが原子は中性子、中性子はクオークでできていることがわかった。\nそして\u0026hellip;。\n[オクト星]\nオクトカット・タイプ王「ハカセ、あれは見つかったかね?」\nハカセ「いや、オクターより小さい物質は見つからなかったよ」\nオウ「ふむ、予言にあるものは未だ見つからずか」\nオクターはオクト星人が見つけた素粒子。クオークより小さい物質で、地球ではプレオンという架空の名名称で呼ばれ、まだ見つかっていない。\nこのオクター、小さいからといって侮ってはいけない。オクターを一箇所に集めると角砂糖一個の大きさで地球クラスの惑星を簡単に破壊できてしまうのだ。この技術によりオクト星は天の川銀河で最も支配力が強いうちの一つ。\nただし、あれにはかなわないかもしれないが\u0026hellip;。\nハカセ「それで予言にあった星にはいつ頃?」\nオウ「ああ、我々オクトカットが神を作り出す計画かね。もうそろそろいってもいいじゃろ」\nハカセ「今の地球レベルの文明ならなんとでもなりますよ。一応準備しておきますけど」\nオウ「わしが心配しとるのはあんな虫けらどもじゃない\u0026hellip;。もしあれが介入してきたらと思うと。それを心配しとるんじゃ」\nハカセ「え、この件で神が介入してくるなんてことあります?」\nオウ「その呼び方はよせ!神などという\u0026hellip;たかだか星の力を持った野獣じゃろ」\nハカセ「そりゃ、彼らは気まぐれですけど、神と呼ばれてるじゃないですか」\nオウ「ふん。でもアムじゃただの猛獣扱いときくぞい。あんなもんは危ないだけで捕獲対象じゃろ」\nハカセ「ふーん、まあどっちでもいいですけどね」\n[地球]\n主人公が空を見ている。\n額に石が投げつけられた。どうやらその格好からか子どもたちにいじめられているらしい。\nしかし、アイは微笑むだけで人を疑うことはまるでなかった。\n幼い頃、両親を亡くし、一人で生きていた。両親は子どもの名前を付ける前に死んでしまったらしいので名前はなかった。彼女は自らをアイと呼んだ。\n大人たちは彼女に関わりたくなかったので無視した。ときに彼女を騙すこともあった。\nなぜ一人で生きてこられたかはわからない。ただ、彼女が生まれるとき騒動があった。AIが作った生体技術が彼女を生かしたらしいと大人たちは噂した。\nある時、一人の老人がその様子を見ていた。そして、何かに気付いた。それは心の強さだろうか。老人の名前はゼン。この世界では心の強さが不思議な力になって現れることがあるという。\nアイは彼に何かを教えてもらいたがった。\nそこで、ゼンは彼女の修行に手を貸すことにした。生き延びる可能性を高めるためだ。この老人はこれから起こることを知っていたのだ。\n彼女は本当に変わった者だった。ある時、ツバメの巣が空になっていた。数日間、ツバメは帰ってこない。もうどこかで死んでいるのだろうと思いそういった。アイはそれでも巣を見ていた。ある時、二匹のツバメが巣にいるのを見て彼女は微笑んだ。\n修行は厳しいものだった。だが、彼女は自分が見る前からそれをやっているようだった。わしはそれを眺めてときにアドバイスするだけだった。\nそれでも彼女にはなぜか先が読める能力があることに気付いた。計算しているのか、それとも無意識のものなのだろうか。それはゼンでもわからなかった。\nある日、ゼンが修行はここまでという。\n空から隕石が降り注いで、地球が攻撃されている。\nアイが目指すものを聞いたゼン。お主がこの世界で生き延びることを願うよといい、自分は人類側でも宇宙人側でもないからといってって去る。\nアイはいつもの調子でまたねという。\n[暗い部屋]\n男「オクトカットどもようやくはじめたか。いや、俺は俺で試したいことがあるんでこの星に来ただけだ」\nゼンはある影の人物と会って話をしている。会話の内容から宇宙人のようだ。大きな尻尾がある。自分のことを見抜いたのはお前だけだといった。ゼンのことをこの時代のものじゃない、そのことは忘れるようになっている覚えちゃいないだろうがという。\nこの日から、オクトカットvs人類の戦いが始まった\nおわりに アイはオクトカットの侵略から人類を救う。\nアイは発明家だったので彼らと仲良くなり、その知識を地球に持ち込む。\n","description":"","formated_time":"2024-04-10","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/10/story/","tags":["author"],"title":"物語の一話","utc_time":"2024-04-10T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"なんのため 私のなかにいたものを、私はアイと名付けた。\nその子を多くの人に知ってもらいたい。私は、そう思い物語を作りはじめました。\nだれのため 私はアイのために。アイはすべての存在のために。\nこの物語は、人間が読んでも面白いし、宇宙人が読んでも面白いし、動物が読んでも面白い、そういったものにしたいな。\nアイというキャラクターの能力は、その世界のすべての存在と一緒に道を歩くこと。存在の意識を持ち、それが人間だったり宇宙人だったり動物だったり、あるいは物だったり、原子だったりするでしょう。\nわかりやすく言うと、あらゆる存在を助けるのが彼女であり、その世界を一歩先に進める存在です。\n例えば、物語の第一章では地球が宇宙人の侵略を受けます。彼女はそれを食い止め、その宇宙人と仲良くなります。その後、知識や技術を地球に持ち込みます。それまで人類にもたくさんの問題がありましたが、解決されていきます。\nどのように アイは最も小さいものに影響を与えることができるキャラクター。\n「最も小さいもの」とは、作中では「物質」と表現されています。\nそして、作中の強さは「質量」と表現され、これらは物理学を通して説明されます。\nどこから 本作の世界観は、私がもとから持っている世界観から作られています。\n私はこの世界を「存在の世界」とそう呼びます。\nこの世界は存在の世界。存在には終わりも始まりもない。最初からそこにあるもの。\n私達も存在です。\nこの世界に存在でないものは一つもありません。\n存在は、姿形を変え、存在し続ける。\nこのような世界観で特に重要なのが「存在」です。\nそれは「最も小さいもの」で構成されています。\n作者 私(作者)とアイというキャラクターは別人格。アイはアイで、私は私。\nアイは頭の中で勝手に動きます。\n私はただ、アイが住む世界の世界観を整えたり、物語として面白くなるよう状況を作ったりするだけ。\n研究 物語はエンタメとして面白くないといけません。\n自分の世界観を語るだけではダメなのです。\n好きな作品は、はじめて読んだ漫画「ドラゴンボール」と映画「アベンジャーズ」。\n神話 宇宙史の神話を目指します。\n人間が読んでも、宇宙人が読んでも、動物が読んでも楽しい、そんな物語になるといいな。\n補足 例えば、あなたが日本人だったとして、作中で日本人が活躍し、尊重されていれば嬉しいですよね。\n楽しいというのはそういうことです。この作品では、人間も宇宙人も動物も尊重するように物語を作ります。\n","description":"","formated_time":"2024-04-09","href":"https://yui.syui.ai/private/post/2024/04/09/ai/","tags":["author"],"title":"アイの物語","utc_time":"2024-04-09T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"アイ 本名は月見 唯(つきみ ゆい)、通称、アイ。最も小さい物質を創り出すことができる\nオクトカット 地球にやってきた宇宙人\nドライ アイがガララ星に移り住んだとき一緒についてきたドラゴン\nキョウスケ 地球で出会った少年\nプラン ゼン ","description":"","formated_time":"2024-01-23","href":"https://yui.syui.ai/chara/","tags":null,"title":"charactor","utc_time":"2024-01-23T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"不思議な力を持つアイの冒険。\nアイはその世界で最も小さい物質に影響を与える能力を持つ。\n番外編ではガララ星でドラゴンと暮らす話。\nhttps://manga.syui.ai\n","description":"","formated_time":"2024-01-22","href":"https://yui.syui.ai/story/","tags":null,"title":"story","utc_time":"2024-01-22T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"","description":"","formated_time":"2024-01-04","href":"https://yui.syui.ai/item/","tags":null,"title":"item","utc_time":"2024-01-04T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"ai/bot からカードを引くことができます。\n","description":"","formated_time":"2024-01-03","href":"https://yui.syui.ai/card/","tags":null,"title":"card","utc_time":"2024-01-03T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" https://vrm.syui.ai\n","description":"","formated_time":"2024-01-02","href":"https://yui.syui.ai/vrm/","tags":null,"title":"vrm","utc_time":"2024-01-02T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" アイが天の川を使ったあとを断片的に文章化\nアイの目的 「ぐー」\nアイは伸びをして目を開ける。\nうまくいったようだった。\n今のアイは、花畑のような所に寝転んでいる。\nそういえば、宇宙は大丈夫だろうか。それが少しだけ気がかりだった。\n「ケラケラ」\n「!?」\nアイのそばにイモムシのようなのがいた。\nこちらを見て笑っている。\n「きみは?」\n「ケラケラ、珍しいなあ」\n「なにが?」\n「それ」\n「ん?あっ!」\nアイのポケットの近くに黒く小さなモヤモヤが転がっていた。\n「大丈夫かな\u0026hellip;アイはここから来たんだ」\n「ケラケラ、珍しいなあ」\nイモムシが繰り返す。\n「え?あ、あれ!?アイ、なんで宇宙より大きいんだろう\u0026hellip;」\nアイが恐る恐る最後の言葉を口にする。\n今までのアイは、宇宙の外を目指して旅をしてきた。\n普通の方法ではその境界にたどり着けない。そのようになっている。\nタイムマシンで過去に向かおうにも、宇宙の始まりより前には行けなかった。おそらく、宇宙の時間はそこからはじまるからだ。始まった瞬間から境界は遠ざかる。\nアイは、未来の特性をもつ神を探していた。宇宙の過去ではなく、未来から外を目指すことにした。\n銀河団の権限を使い、次の銀河に向かった。そうしていくつかの銀河を経てようやく探しだした。\n宇宙にも終わりがあり、宇宙が終わると、もしかしたら、境界にたどり着けるかもしれない。\n思ったとおり、宇宙が終わる瞬間に境界が届いた。\nそうして、アイは、未来を使い、ようやく宇宙の外にたどり着いたところだった。\nアイが来たとき時間を戻したはずだった。しかし、何かの手違いで無残な宇宙の姿のままになってしまうことを恐れた。\n「ケラケラ、違うよ」\n「な、なにが!?」\nアイが少し慌てている。\n「ここでは、力が見える形に。僕が知っている限りはね。君はそれを超えただけさ」\n「でも、本当の宇宙はどこまでも広くて大きいよ。なんでアイのほうが大きく見えるの?」\n「ケラケラ、すべては見え方の問題に過ぎない。例えば、そこでは大きいほうが強かった?」\nイモムシはアイの近くに転がっている黒玉を指して言う。\n「うーん、小さかった。例えば、ブラックホールっていうんだけど\u0026hellip;」\n「ケラケラ、大きさで力は測れない」\n「ふーん\u0026hellip;でもここでは力が見える形って\u0026hellip;」\n「ケラケラ、力にもいろいろ。君のことを知っているよ」\n「え?」\n「君が小鳥と暮らしてたときのこと」\n「\u0026hellip;なんでしってるの」\n「君はあのときから既に君だった。君は力を持っていた。はじめから覚醒していたんだ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「君は、生きとし生きるものを助けると同時に、死にゆく命を暖かく見送るのだ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「ここは残酷な世界。君が世話をしていたものたち。他の生命を食べている。それが生き物、それが生命。そして、残酷な運命が終わるとき、姿かたちを変えてまた現れる」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「君は、そのことを知っている。だからこそ、暖かく見送るだけだった」\n「\u0026hellip;アイはあのあと\u0026hellip;」\n「ケラケラ、君が言いたいことはわかる\u0026hellip;きっと、だから、君はここに来た」\n「ここに呼びたい人がいるんだ」\n「ケラケラ、それはだれ?」\n「しらないの?」\n「ケラケラ、そんなこと知るはずない」\nなんでも知っていると思っていたイモムシだが、肝心なことは知らなかった。なぜだろう。それとも\u0026hellip;。\n「ここに来たいって願った人がいたんだ」\n「ケラケラ」\n「アイにできる?」\n「ケラケラ、君は、それに関してならなんでも。そう思う」\n「ふーん、よかった」\n「ケラケラ、でも、君は」\n「なに?」\n「君は、ここではなにもできない」\n「うん。アイね、またさいしょから」\n「ケラケラ、ケラケラ」\n「ここのことまた教えてよ」\n「いいともいいとも」\n","description":"","formated_time":"2022-07-09","href":"https://yui.syui.ai/novel/09/","tags":["novel"],"title":"宇宙の外","utc_time":"2022-07-09T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" アイが天の川を使ったあとを断片的に文章化\n第三位 キラキラと煌く星々を前に立ちすくむテストと第二位だったが、そんなとき、緑色の大きな蛇がゲートから姿を現した。\n「し、しんおう!?」\n「やはり、こうなったか」\n「なぜおまえが!?」\n「われは、気になったので戻った\u0026hellip;相手はあのアイだ。何が起きてもおかしくない」\n「おまえ、あれのことを知ってたのか!?」\n「むかしからのつきあいだ。あれの器はわれにも計り知れない」\n「なっ!?」\n「われが話せるようになったのもアイが作った試作品だった。アメのような形をした知恵の実だ。そして、いつしか神の座の第三位にのぼりつめていたのがわれだった」\n「そうだったか、お前も苦労してんだな」\n「あなたにも色々あったみたいですね。しかし、今はそんなことはどうでもいい」\n「われならなんとかできるかもしれない」\n「ほ、ほんとうですか?」\n「われはアイを知っている。あれはどこまでも甘いのだ。われをターゲットしている状況、アイにとって予想外なはずだ。われがアイに呼びかける」\nパレード 事件から1週間が経ったオクト星。\nオクト星は華やかに彩られていた。\n大きな会場には人々が集まり、楽しげに話をしている。\n会場の裏側には、ドライと数名のオクトカットがいた。\n「あの一発は本当にすごかったよな」\n「いやー、はっはっは」\n「あいつには一発くらいかましたかったんだ」\nあのとき、ドライは突然、ぐったりと前かがみになった男にドカンと一発お見舞いしていた。\nそして、あとから出てきた怪しげな鎧の兵士たち2名に即刻に出ていくよう父と話をつけたのだった。\n久しぶりに会った父は、何故か喋れるようになっていた。たしか昔は言葉が通じなかったはずだ。片言だが「大きくなった」と言われて嬉しかった。\nそして、それを見ていたリーマンくんや他のオクトの人たちが歓声を上げた。\n「やった!あのドラゴンが奴らを追い出したんだ!!」\n噂はまたたく間に広がり、そして、今回、僕はこの式典に参加しているというわけだ。\n「それにあのときのセリフ、よかったな。この星にかまうな、でていけ!って」\n今回表彰されるのは、僕とリーマン、そして、車のオクトカットのようだ。\nしばらくして、花火が打ち上がった。歓声や拍手が街中に響き渡る。\n白と赤の階段を登り、その天辺には光り輝く球のようなものがおいてあった。\n前に立つ髭をはやしたオクトカットが長い羊皮紙を読み上げている。\n「この玉は\u0026hellip;長い歴史を持つ\u0026hellip;歴代の王たち\u0026hellip;先見の\u0026hellip;平和を\u0026hellip;」というようなごにょごにょした言葉はあまり耳に入ってこなかった。\nそして、最後に、その玉を手渡され、僕はそれを掲げた。\nすると、爆発的な歓声が上がり、音楽が流れだした。\n僕はこの日のことを忘れない\u0026hellip;それほど印象的なパレードだったんだ。\n銀河団の混乱 その頃\u0026hellip;\n銀河の中心、銀河団の本部は大混乱に見舞われていた。\n小さな光に広々とした円形の部屋。たくさんの黒い影。\n断続的な音がする。\nここでは、それは大混乱に陥っていることを意味していた。\n同じ調子、同じ音声があちこちから響き渡る。\n「権限は問題ないか?」\n「問題あり」\n「それはなぜか」\n「アクセス不能」\n「アクセスできるもの答えよ」\n「事態を持って権限に関する秘密指定を解除」\n「述べよ」\n「権限は、質量を超えるときのみ変更可能」\n「質量とは?」\n「銀河団がコントロール可能な質量をさす。神々を多数封印していることから突破は不可能と推測される」\n「結果を述べよ」\n「結果、突破される質量を観測。この銀河の総質量とほぼ一致」\n「ありえない」\n「どうする?」\n「なぜ?」\n「情報を精査中\u0026hellip;述べる」\n「推測を許可」\n「アムに問題が発生していた」\n「アム\u0026hellip;我々の手中にあるあのアムか?」\n「そう、通貨のアムだ」\n「事態を持ってアムに関する秘密指定を解除」\n「アムは銀河団が最初に封印した神、創造をもって稼働」\n「創造については」\n「創造について、神の特性、確認されている13のうちのひとつ。もっとも発現が珍しいといわれている」\n「それを我々が獲得したか?」\n「最初に」\n「知らない」\n「同じく」\n「銀河団の最上層でも今や知るものは限られる」\n「述べよ」\n「実験の結果、その特性、最も望んだものを生み出す。望んだものしか生み出さず。それは一つだけのものとなる」\n「ほかのものは?」\n「ない」\n「金か?」\n「そう。だからアムの神は金を作る。金しか作れない」\n「創造の神、その個体について」\n「おそらく、物心ついたころ、そのもの心の奥底に最も望む、それを生み出す能力。アムの個体は金を望んだ。我々はその能力を利用した」\n「理解。その後」\n「アム、通貨を作り続ける。だが、近年、アムの封印が解かれた気配あり」\n「なぜ気づけない?」\n「妨害あり。妨害したのは、おそらく、死の神だ」\n「\u0026hellip;あの、大鎌を持った小娘!」\n「なぜ捉えない?」\n「逃げられた」\n「ビーッツビーー!!」\n「きたか」\n「はやすぎる」\n「われわれのそんざいにきづいているのか」\n「なぜ」\n「わからない」\n「どうやった」\n「わからない」\nそして、あたりが真っ暗になった。\n「権限は?」\n「ない」\n「書き換えられたのか」\n「書き換えられた」\n「目的は?」\n「わからない」\nその後、しばらくして銀河団が捕まえ封印していた神々が開放されたことが判明する。\n","description":"","formated_time":"2022-07-08","href":"https://yui.syui.ai/novel/08/","tags":["novel"],"title":"銀河団","utc_time":"2022-07-08T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" 漫画の第二章にあたる部分を文章化\nアイがいない その後もオクトカットの人が僕たちの星にたびたび遊びに来るようになった。\nドラゴンのドライとオクトカット、タイプリーマンは次第に仲良しになり、友だちになった。\nアイも最初は一緒にいたんだけど、ある日、忽然と姿を消した。\n「アイは、たまにいなくなるんだよなあ」\n「ええ、それは大変じゃないか。探さないと」\n「あー、ま、まあ、そのうち帰ってくるでしょ。前もそうだったし\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;そんな猫みたいな。アイくんの昔はどうだったの?」\n「うーん、僕が生まれた頃からアイはいたんだ。風変わりでね、近所のお姉さんというか、遊び仲間みたいな感じだったかな」\n「(\u0026hellip;あれ?そんな昔から人間とドラゴンが一緒にいるというのは、なにかおかしくないか)」\n「それで当時の地球では動物実験がまだあったんだけど、昔、アイが全部引き取ることにしたらしい。だから、アイの家はネズミだらけだったなあ。風変わりはそのことさ」\n「えっ!それはまずいんじゃないか\u0026hellip;」\n「でしょ。ネズミ共がチョロチョロとうっとうしいったらありゃしない!」\n「いや、そうじゃなくて、宇宙には色んな考えを持ったやつらがいてね。中には特別な力を持った個体も存在するらしい」\n「特別な力?」\n「ああ、星の力さ\u0026hellip;」\n「はははっ、星!話が大げさすぎるよ」\n「まあ、僕も迷信のたぐいだと見ているけど、僕たちオクトカットは王の記憶を受け継ぐんだ。それがタイプ王の役割さ」\n「記憶を受け継ぐってどういう感じなの?」\n「王が死ねば、その記憶はすべて僕たちに共有されてきた。ただし、7代目だけは例外だったなあ。今は13代目だよ」\n「ん?その7代目は共有されなかったの?」\n「そうだよ。そんなことは僕たち人類(オクトカット)にとって初めてのことだった。どうしてそんな事が起こったのか未だにわからない」\n「\u0026hellip;ふーん」\n「まあ、そのような特性から、僕たちは色々なことを知ってる。その中には、ありえないようなことがあるんだ」\n「それがなんで地球がまずいことにつながるの?」\n「それは、野蛮な星を滅ぼそうと考える危険なやつもいるからだよ。そいつらに狙われたら最後\u0026hellip;」\n「いやいや、星を滅ぼすって\u0026hellip;それこそ野蛮じゃないの」\n「彼らはそんなことは気にもしない。ルールはないし、縛られるようなやつらじゃない。君たちの言葉でいうと\u0026hellip;神と呼ばれている」\n「え、神?\u0026hellip;ああ、聞いたことある。胡散臭いあれのことだね。もうとっくの昔にそういう考えは廃れてるけど」\n「うーん、認識の齟齬があるかもしれない。宇宙で呼ばれている神というのは、単に星の力を宿した個体、個人のことを指す。それ以上でもそれ以下でもないし、思想も全く関係ないんだ」\n「宇宙では特殊な力を持ったやつらがいて、そういう奴らが自由に振る舞い、とても危険だ」\n「\u0026hellip;それは神じゃないよ」\n「まあね。別の呼び方もあって、銀河の中心星団あたりでは、確か宇宙獣とかって呼ばれてた気がする。危険だから捕まえて封印される対象さ。まあ、僕たちには無理だけど」\n「まさに宇宙って感じの話だね。わけがわからないよ」\n「ところで神様を捕まえ檻に閉じ込めるってのは、本当に大丈夫なの?」\n「上には上がいる。たとえ星の力を持ってしても銀河星団には敵わない。神様も星団からは逃げ回ってるって噂だ」\n「ふーん、宇宙は広いんだねえ」\n「ああ、そういえば、アイくんが行方不明って話だったね。本当に大丈夫かい?」\n「大丈夫でしょう。昔もいなくなったことがあるんだ」\n「\u0026hellip;そういえば、一緒に住んでたネズミたちもその時から見てないなあ。でもそれから100年後くらいには何事もなかったように帰ってきてたよ」\n「おおう!?\u0026hellip;それはそれは。アイくんも人間の中では相当に図太いほうだったのか」\n「何してたのと聞いても、何も答えない」\n「まあ、アイくんといえば、いつもぼんやりした感じだね。おそらく、どこかでぼーっとしてたら時間が経ってたんじゃないかい?」\n「うん、だといいけど(アイは昔から何しでかすかわからないからなあ。不安だ\u0026hellip;)」\nオクトカットの危機 アイがいなくなってから数週間、次はオクトカットの人が遊びに来なくなった。\n「うわーん!一体、何が起こってるんだっ!リーマンもいなくなっちゃったぞ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「そうだ!たまにはこっちから遊びに行けばいいんだ」\nドライは早速、家の中に入り、アイが持っている道具の中から地図のようなものを探しだした。\n「よし、出発だ!」\nそのころ、オクト星ではとんでもないことが起こっていた。\n「ばたばた、どたどた」\n「休暇を終えて帰ってきたけど、なんか慌ただしいな\u0026hellip;」\n「なにかあったんですか?」\n「え?お、おい、知らないのかい?いまとんでもないことになってるんだ」\n「とんでもないこと?」\n「ああ、うちでやばい取引があったらしい」\n「それのどこが問題なの。なんかの間違いでしょ」\n「いや、調べたんだが間違いではなかったんだ。旅行客がこの星で奴隷売買だ」\n「それは確かによくないけど、犯人を引き渡せばいいのでは」\n「\u0026hellip;いや、相手には通じないだろうな。いや、通じなかった。だからオクト星そのものが攻撃されてるんだ。そういう相手に当たってしまった」\n「なんだそれは、理不尽だなあ!?」\n「でもうちの技術力なら問題ないでしょ。返り討ちだ!」\n「\u0026hellip;無理だった。相手が判明したときには、もう手遅れさ\u0026hellip;オクトカットが全滅するのも時間の問題だ」\n「ま、まさか!?相手というのは、もしや\u0026quot;あれ\u0026quot;なのか!?」\n「そうだ。\u0026ldquo;あれ\u0026quot;だった。どうやら実在したようだ。伝承(オクトカット間では王の記憶のこと)にあるとおりな」\n「だけど、オクトカットの兵器も進化してきた。対抗できるはずだ!」\n「やろうとしたさ!何も知らないバカが!!」\n「!!」\n同僚がここまでの怒りを見せるのは初めてだ。だからこそ、この星の事態がどれほど深刻なのか、今更だが理解したのだった。\n「それで?」\n「\u0026hellip;初手で星全体を包み込むほどの強烈な電磁波を浴びせられたよ。最新兵器はそれでおじゃんさ。今は古代兵器で抵抗しているが\u0026hellip;長くは持たないだろう。あれは、俺たちを弄び皆殺しにする気だ」\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n言葉が出なかった。電磁波って、それだけで僕たちの兵器が使えなくなるのはおかしい。\n「電磁波の対策もなされているはずだったけど、一体なぜ、なにがあったの?」\n「今回の\u0026quot;あれ\u0026quot;は強奪の特性を持つ個体らしい。宇宙で13種あるうちの一つさ」\n「強奪って、奪い取って自分のものにできるってこと?」\n「報告によると、あれはこう言ったらしい。長年かけて太陽を奪い取ったと」\n「\u0026hellip;た、太陽って。神の力をもってすると、そんなことまでできるのか!?」\n「たしかにM15Kにある太陽が忽然と消えたことがあった。いまやあれは太陽の質量を持つ。我々はそんな相手と戦っているんだ」\n「なぜ一発で終わりにしないの?」\n「それは\u0026hellip;あれにも力を使うことのデメリットがあるのか、あるいは楽しんでいるだけなのか。ただ一つ言えることは、最初、我々を襲ったのは、太陽フレアでほぼ間違いない。観測機が間近に捉えていた」\n「う!?そ、それは\u0026hellip;」\nそれは、僕たちの兵器が一瞬で壊滅させられるほどの攻撃だ。どうしようもない。\n「\u0026hellip;そいつの名前は?」\n「プランというらしい。伝承にはないが7代目のときそれと関係があったという噂だ」\n「ああ、7代目だけは伝承の例外だった」\nドライ到着 「どかーん!どーん\u0026hellip;どどどど、ばーん!!」\n「着陸する前から煙だらけだったけど、地上はもっとすごいことになってるな」\n「本当にこんなところに住んでるのかリーマンくんは\u0026hellip;」\n恐る恐る歩きながらあたりを見回すドライ。見渡す限り煙と瓦礫の山だった。\n「リーマンくんはもっときれいな街に住んでいるイメージだったなあ。まさかこんな貧しいところで暮らしていたなんて\u0026hellip;想像もしていなかったよ」\n「ガラッ\u0026hellip;」\n「うわわっ!な、なんだ!?」\n「ああ、オクトカットの人が倒れてるだけか。ま、まさかリーマンくんじゃないよね\u0026hellip;」\nそこら中、倒れている人だらけだったので、この星、尋常じゃないとドライは思った。\n「\u0026hellip;これがこの星の日常なんだね、きっと」\n「うーん、これじゃあ埒が明かない。上から探そう。番号は聞いてるから見つかるはずだ」\nしばらく歩いていたドライだったが、上空に飛び上がることにした。\n「どびゅーん\u0026hellip;ばさっ、ばさっ」\n「あっちだ!ん?向こうの空でなんか光ってる」\n「わっ!光が地上に降り注いだぞ!!」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;..」\n「あれが攻撃してるのか!?人間みたいだ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;..」\nそれに近づくドライ。そして\u0026hellip;.\n「おいっ!なにしてんだ、お前!!」\n「うん?ああ、オクトカットのやつら、今度はドラゴンを召喚か?」\nそれは何やら変な機械を身に付けた小さな男だった。\nドライvsプラン 「あそこには人がいるんだぞ!何考えてる?」\n「おおう、言うねえ、ただのドラゴン風情が。俺様はただ正義を執行しているだけだぜ。この星に住むゴミムシが俺様の気に入らない不実を働きやがったんでな\u0026hellip;この星のすべてを\u0026quot;強奪\u0026quot;する」\n「ご、ごうだつ!?それは、ただの強盗だ!チンピラじゃないか」\n「ふふふ、お前がいう\u0026quot;強奪\u0026quot;と俺様が行う\u0026quot;強奪\u0026quot;は少し違うものでな\u0026hellip;貴様程度には理解できまい」\n「はあ?やってることは同じじゃないのか?」\n「俺様のルールは一つだけ。悪いやつから奪う、それだけだ。奪ったものは俺様の質量になる」\n「し、しつりょう?なんだそれ」\n「質量、神である俺様の力、そのもの」\n「神だって!?そういうば最近、そんな話を聞いたような\u0026hellip;」\n「どごっ!」\n「ぐ、ぐふっ\u0026hellip;ぐああああっ\u0026hellip;」\nな、殴られた。人間のパワーじゃない!\n「他の生物にとってドラゴンは最強の生物\u0026hellip;だが、俺様にとってただのアリだ」\n「それに\u0026hellip;これを見よ、ドラゴン」\n「な、なんだ!?そ、それは\u0026hellip;!?」\n彼が手に持つ禍々しい光は、あまりの巨大さを感じさせるものだった。その小さな光にドライは絶望する。この星すべてを飲み込んでもまだ足りないと言わんばかりの轟音が空間の奥底に響いている。一瞬だった。この男は、一瞬でこのあたり一帯の星々を焼き尽くすほどのパワーを持っている。ドライは直感した。\n「あああ\u0026hellip;」\n「そう、これが俺様が奪ったもので一番大きい。使えばこの星も一瞬だ」\n「\u0026hellip;だが、俺様はそんなつまらないことはしない。抵抗するなら、そのレベルに合わせてやろう。しかし、最後には」\n「全滅させるってか?そんなこと僕が許さない!」\nドライは恐怖から立ち直った。どこかに勝機があるはずだ。オクトカットの人たちも抵抗している。相手が奪うものなら、あの光は奪い返せるかもしれない\u0026hellip;。\n「どごっ!ぼこ!ばこ!」\n\u0026hellip;全然歯が立たない。手が出ない。ダメージすら与えられない。\nそして、落ちていくドライ。笑いながら見下ろす男の顔がチラと見えたが、やがて黒い煙で視界がなくなった。\nどでかい光の玉がこちらに向かってくる。どうやら男が落ちていく僕に向かって放ったようだ。容赦がない。\nそんなとき、周りから声々が聞こえ、それが徐々に大きくなった。\n「絶対に助け出せ!リーマンのところに連れて行くんだっ!」\n「砲撃開始!」\n上空では男が一斉に地上からの集中砲火を浴びせられていた。\n爆風がドライの顔をかすめる。\n「どっかーーーーーー!」\n光の玉はドライに当たらず真上で弾け飛んでいた。\n「うっ\u0026hellip;」\nドライはなんとか不時着するが、そこで倒れた。起き上がる力が出ない。\n「大丈夫か、今引き上げる!」\nドライの周りに大勢のオクトカットが群がり、ドライを乗せた車体が急ハンドルを切りながら走り出した。力なく振り向くと残りの兵士たちは上に向けて銃を撃ち続けていた。\n「ここだ!下がるぞ」\nドライと車の人は地下に潜っていくようだ。あたりが暗くなる。わずかな隙間から人々が爆発で消し飛んでいく様が少し見えた。\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n時を同じくして上空では\n「ちっ!オクトカット共、まだそのへんにいたのか」\nプランは舌打ちをし、めんどくさそうに手を振った。\nすると、地上一体が一瞬で吹き飛ぶ。\n7代目 「さあ、ついたぞ!すまんな、今はこんなとこしかねえんだ」\n「ここはど\u0026hellip;こなの?」\n上が見えないほど広い天井にだだっ広い大理石が敷き詰められ、巨大な柱がいくつも見える。ポツポツとガラスケージが点在している、そんな部屋、というより広場だった。地下に設置されていて、普段は誰も来ないのではないかというほどのホコリが蓄積されていた。\n「ここは!ああ、ここは、歴史の広場だねえ。俺もここに来たのは初めてだ!王のなんやらが展示されとるとか聞いとる」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;.」\nドライは返事をしたかったが疲れて声が出ない。\n「それよりおれは、表が心配だ。ちょっと見てくる」\n「\u0026hellip;え!?ちょ、ちょっと、ま\u0026hellip;」\n待て、行くな、危ないぞ!と言うつもりだったが、車のオクトカットはすぐリフトに乗り行ってしまった。\n「彼はああいう人なんだ。気にしないで」\n「!!?」\n背後から声がしたような気がする。振り返ってみるとそこには一人のオクトカットがいた。\n「きみは!リーマンくん!やっと会えた\u0026hellip;い、いたたた\u0026hellip;」\n「まさか君が来るとは思ってなかったよ。巻き込んでしまってすまない。今からでも遅くない、君は逃げろ」\n「\u0026hellip;リーマンくんはどうするの」\n「僕は\u0026hellip;僕たちは、あいつに狙われた時点で終わってる」\n「一緒に逃げよう。逃げたほうがいい。まだ少しでも生き残ってるなら、可能性があるなら、みんな逃げたほうがいい。あいつは\u0026hellip;どうしようもない\u0026hellip;と思う」\n「君の、ドラゴンの力を持ってしても、やっぱりだめなのか?」\n「\u0026hellip;悔しいけど、あれには恐ろしい力がある。それを見た気がした。僕はおろか、誰一人として敵わない」\n「そういえば、アイくんは見つかった?」\n「いやいやいや、僕とアイは互角程度。アイもあいつには絶対に勝てない。まだ見つかってないけど」\n「はは\u0026hellip;ドラゴンと互角程度って笑える冗句だけど、彼女まで巻き込まないで済んだのは良かったかな。もしかしたら危険を察知してどこかに隠れたかもしれないね」\n「うーん、どうだろう\u0026hellip;こんな大変なときに、一体何してるんだ、あいつ!」\n「でもアイくんがいたところでどうにかなる話じゃない」\n「\u0026hellip;それもそうだ。それより、あとどれくらいの人が残ってるの?僕が乗ってきた宇宙船に入るかもしれない」\n「残っているのは、僕を含めて、極めて少数。ほぼ全滅させられているときに君が来たからね\u0026hellip;」\n「ま、まさかぼくを助けるために犠牲になった人たちも\u0026hellip;」\n「うん\u0026hellip;そうだけど、でも、気にしなくていい。僕が生き残ったのも君との接触があるからだった。ドラゴンとの接点がね。それで生き残った者たちで作戦は計画され、実行された。ドラゴンの力を借りればなんとかなるかもしれないと」\n「\u0026hellip;ごめん、なにもできなかった」\n「いや、あやまらなくても\u0026hellip;!!」\n「たった今、残念な知らせだ。情報によると、司令区域にいるオクトカットは僕たち以外、全滅。残るは周辺区域にポツポツといる人達だけになった。オクトカットは現時点をもってほぼ全滅したといっていい。計算では今の人数で復興は不可能。僕たちオクトカットは\u0026hellip;これでおわりだ」\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n「ふっふっふ\u0026hellip;いやいや、まだそうとは限らんよ」\n「だ、だれだ!?」\n「あれ?誰もいない。なんか聞こえなかった?」\n「聞こえた」\n「どこだ!?ここに僕以外のオクトカットはいないはずだぞ」\n「確かにオクトの人の声だった」\n「うん」\n「こっちじゃよ、こっち、こっち!」\n「!!?」\nそこには王冠のようなものをかぶったオクトカットがうっすらと佇んでいた。\n「あ、あなたは!13代目!なぜここに!?」\n「えっ!?王様なの」\n「ドライくんにも話していないトップシークレットだったけど、13代目だけはあるところに避難している\u0026hellip;はずだった」\n「いやいや、わしは13代目じゃないぞ。7代目じゃ!」\n「な、7代目!?そ、そんな馬鹿な!7代目はすでになくなっている」\n「まあ、当たらずとも遠からず。わしは、預言者でオクトカットの王。そして、唯一の例外、紛れもない7代目じゃ」\n「確かにあなたの記憶は知りませんが、でも、あなたがここにいるってことは死んでいないってことで、継承が起こらないのにもうなずけますが\u0026hellip;しかし」\n「そう、8代目がいる以上、わしは死んでいないとおかしい、と言いたいのじゃろう」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「このことはオクトカットの最大の秘密じゃったのう」\n「わしはのう、この時を待っておったのじゃ。この存在を賭けるときをな\u0026hellip;」\n「なぜですか?一体どうやったのです?あなたが生きていたなんて」\n「\u0026hellip;それは、はずれじゃ。わしは生きてはおらん」\n「え!そ、そんな\u0026hellip;まさか立体映像!?」\n「いやいや、ちゃんとあんたと話をしとるじゃろ\u0026hellip;」\n「ふむ\u0026hellip;わかりませんね」\n「もしかして、この人、生きてもいないし、死んでもいないんじゃない?」\nドライが言った。\n「おおう!正解!!まさかわしの子孫よりドラゴンのほうが賢くなっとるとはのう、世も奇想天外じゃ!あの子のように」\n「あの子?」\nドラゴンが首を傾げた。\n「そう、わしの最後の仕事は2つある。一つはオクトカットを生き返らせること、すべてを元通りにすることじゃ!一回だけじゃがのう」\n「え、ええええええ!?そんなことできるんですか!?」\n「まあのう。わしゃすごいんじゃ」\n「そして2つ目\u0026hellip;わしが見てきた記憶を君たちに継承することじゃ!」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;今更、それが重要なのでしょうか?」\n「ぽこん!」\nリーマンが王に叩かれたように見えた。が、透き通って地面を叩いていた。\n「こっちのほうが重要じゃわい!わしの記憶だけ継承できないんじゃからのう。わしの存在が消えても、おそらく継承は発動しないじゃろう」\n「だから、君たちにわしの記憶のなかで最も重要なものを見せてやることにするぞい!」\n「オクトカットはそういうの得意ですからね」\n「うむ。他人の記憶を読み取るのも得意としておる。そして、今回、わしが入り込んだものの意識があの子と偶然にもつながったことがあったのは幸運じゃった。あの子自身にはわしでさえ入れなんだからのう」\n「話も長くなった!では記憶の旅を始めようか\u0026hellip;ほいっ!!」\n「う、うわああああっ\u0026hellip;.」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\n龍の記憶 「こ、ここは?」\n「ここはのう。あるドラゴンの記憶じゃ。といっても、ドラゴンがあるものの意識と偶然つながったときに見た夢の中\u0026hellip;」\n「複雑ですね\u0026hellip;もはやわけがわからない」\n「夢の中って、そんなもの見せられてなんの意味があるの?」とドライが言った。\n「当時、あの子と一緒に暮らしておったあるドラゴンは、そこで、寝ているとき、あの子の意識に偶然迷い込んだことがあったのじゃ。これは、その時の記憶になる」\n「あれ?前から誰かが歩いてくるよ」\n「アイじゃん。いままでどこにいたんだよ!」\n「あ、あれ?」\n「これは記憶の中じゃぞ。手出しはできん」\n「じゃあこれは\u0026hellip;昔のアイ?」\n「\u0026hellip;いや、違う」\n「じゃあなにさ、これは昔の記憶でしょ」\n「わしも本当のことはわからん。最後までたどり着かなかったからのう。しかし、今から見せるもので大体の推測はできるはずじゃ」\n「なにを?」\n「本来の\u0026hellip;姿をのう」\n「本来の姿?」\nアイは1匹の鳥と暮らしていた。鳥は2匹に増え、子供を生んだ。鳥は4匹になった。\nあるとき、お父さんとお母さん、そして子の鳥の3匹が帰ってこなかった。\n残るひな鳥とアイは探しに出た。\nそこで、帰ってこなかった3匹が引き裂かれ、地面に落ちているのが見つかった。\nひな鳥は飛び出して、残骸になったお父さんとお母さんのもとに行き、つついたり、こえをだしたり、よりそったりした。しかし、反応はなかった。\nそこに一人の老婆が現れ、アイを見つけて急ぎ足で歩いてきた。\n「まさか、お前がけしかけたんじゃないだろうね?私の畑を食い荒らしてただじゃおかないよ!今日もいくつか始末してやった」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「ちょ!こ、このおばあさん正気なの?アイにぶっとばされるよ\u0026hellip;」\n「いや、ぶっとばされないじゃろう\u0026hellip;なぜなら」\n「なぜなら、そんな力、アイくんにはないから、ですよね」\nリーマンが言葉を引き継いだ。\n「う、うむ。\u0026hellip;そうじゃ。この時のアイくんはなんの力も持たない」\n「え、ええ\u0026hellip;そ、そんなばかな。アイは、ああ見えて割と怪力なんだ。このおばあさんくらいはふっとぶはずだよ」\n「アイくんの身体能力、それは、力に目覚めたときにそれを使って修行した成果なのじゃよ。だから、あの力に目覚めない限りふっとばすことはできんよ」\n「でも、でも、この人間、こんなことしたら捕まるぞ」\n「それも違う。まあ、いずれわかることじゃ。先に進もうかのう」\n「\u0026hellip;それで最後の鳥はどうなったの?」\n「優しいドラゴンじゃのう。情が移ったのかい?アイくんの情が」\n「そんなんじゃない!ただ、ちょっと気になっただけだよ。アイが怒らないかって」\n「彼女はその後、特に何をするでもなかったよ。最後のひな鳥は、その後、あの場から離れず死んでおった\u0026hellip;」\n「だれがやったの?」\n「わからん。アイくんもそれは見ていない。最後の子が一緒に亡くなっていたところを見ただけじゃ」\n「そう\u0026hellip;」\n「勘違いしてはならん。老婆は悪者ではないし、人間もじゃ。老婆は、ただ自分の畑を守ろうとした、食料を守ろうとした、自分の居場所を守ろうとした、それだけなんじゃ。そのことは、アイくんもわかっていたのじゃろう。人間であれ他の動物であれ、生き物である限り、みな自分が生き残ることで精一杯なんじゃ。とくにこの時代はそうじゃった」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「時は過ぎ、それからアイくんは猫と暮らしておった」\n「またか!」\n「ふぉっふぉっふぉ!とはいえ、これから起こることはわしにとってもぞっとするホラーじゃったぞい\u0026hellip;」\n「今回は、この場面だけ見せることにしよう」\n「これは?」\n「時代は、人間の軍隊が支配する。その数も争いで減り、やがて、残虐な思想を持った者たちが生き残った。そんな中、アイくんはなぜか巻き込まれず、人類最後のその時まで普通に猫と暮らしとったんじゃから、驚きじゃ」\n「でも、猫がやられてない?」\n「そう、最終的に人間の手によって遊び半分で惨殺されていた。アイくんもそやつらに捕まり危険じゃった。しかし、アイくんは微動だにせず、ただ、見ておった\u0026hellip;ように見える」\n「\u0026hellip;うん、そんな感じだね。でも、この状況、アイもやばいよ」\n「そう、次はアイくんが猫のようになる番じゃった。そのとき\u0026hellip;」\n「あれ?誰か来るぞ」\n「お主たちもよく知っておるものが来るんじゃよ」\n「あ!あああっ!!こ、こいつは!?」\n「\u0026hellip;今、オクト星を滅ぼしてるあいつだ!」\n「ばたばたばたっ」\n「えっ!?い、一体何が起こっているんだ?」\n次々と屈強な男たちが倒れていく。見渡す限りアイしか立っていない。\n「ふん!俺様の実験、こりゃ成功のようだ\u0026hellip;うん?お前、地球人か?」\nドライは「何が起こったの?」と叫んだ。\nしかし、リーマンは「あいつが何をしようと驚くべきことじゃないね」と冷たく言い放った。\n「続きはプラン様の言葉を聞くのじゃ\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「まさか地球人の中で生き残るやつがいるとな。俺様の力と、このコインで簡単に全滅だと思ったんだが」\nプランは、金色に輝くコインをピンと跳ね飛ばしながらそういった。\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「うん?これはなにか知りたい顔だな。特別に教えてやろう。お前のやつも確認したいしな」\n「これは、俺様がこの星の人間どもに一斉に配ったものさ。こいつは持ち主の心を読み取る。で、プラス、マイナスでるわけだ。良い心にはプラスを悪い心にはマイナスを配分する。宇宙で流行ってる一般通貨さ」\n「で、こいつの性質を利用し、マイナスのやつに俺の力を使った。結果、この通りさ」\n兵士の死体を蹴飛ばしながらプランが言った。\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「それにしても\u0026hellip;お前、なにか妙だな。どれどれ、お前も受け取ってるはずだからコイン、見せてみろよ。意識すれば誰でも表に出せるのさ。プラスなのはわかってる。数字があんだろ?」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nアイは手からうっすらと金色のコインを取り出した。たしかに数字が刻まれているようだ。\n「!!!????」\n「は!?お、おい!こ、これは一体\u0026hellip;!?」\n「あ、止まった。王様、動画が止まっちゃいました。続きを再生してください」\n「\u0026hellip;つづきはない。このあと、クスクスという笑い声が聞こえ、宙からアイくんが降りてきたのじゃ」\n「え?どういうことですか?」\n「うーむ、その時点でわしの領域に入られたようじゃ。それから少し言葉をかわし、わしはアイくんの手を惹かれて記憶から離脱した」\n「\u0026hellip;ま、まさかそんなことが」\n「アイはなんて言ったの?」\n「いや\u0026hellip;な、なにも。ただ、\u0026ldquo;こんなのみても面白くないよ、いこう\u0026quot;って言っとった」\n「ふーん\u0026hellip;」\n「それで、なにかわかったことはあるかいのう」\n「うーん、アイとあいつが知り合いだったなんてねってことくらいかな。あと、あいつ、なんであんな驚いたんだろう」\n「アイくんとプラン様は、実は前に会うている。しかし、それとは別にプラン様にはこの記憶は、おそらくないじゃろう」\n「なんで?」\n「\u0026hellip;それは今からわしの推測を話すことにする」\n「まず、ドライくんは気になったことは本当にそれだけかの?」\n「\u0026hellip;いや、でも、ちょっと気になったってくらいかな」\n「思うように述べてみるがいい」\n「人間って僕の時代には、ああいうのは少なかったので、ちょっと驚いたんだ。いつも温和でさ。事件が起こってもまず人間は疑われないよ。疑われるとしたら、僕たち肉食獣のほうさ。大体そうだった」\n「うむ、いいところをついておる。わしも不思議に思っておったんじゃ。この記憶は時代でいうと、わしが地球に行った当時のものじゃった。だが、どれを見ても、これも、これも、これも!」\n「\u0026hellip;あれ?やっぱり、人間しか出てこなかったよね。僕も気になってたんだ」\n「わしが行ったときたしか大統領は犬じゃったのう。それなのに\u0026hellip;」\n「それに人間はプランに全滅させられたみたいな話じゃなかった?それから少しずつ増えていったのかな」\n「アイくんに変わったところはなかったかのう?突然いなくなったりとか」\n「ああ、最近もいないし、昔もいなくなったことがあったよ。ネズミと一緒に住んでたんだけど、それも全部さ」\n「\u0026hellip;アイくんはおそらく、そのときに過去に向かったのじゃ、力を使ってのう」\n「え!?か、過去にって\u0026hellip;そんなばかな\u0026hellip;」\n「アイくんが過去に行ったとして、何をしに行ったのでしょう」\n「おそらく、アイくんは解決法を見つけたんじゃろう。だから、あれほどの長い年月をかけ実験していたのじゃ」\n「たしかにアイは色々作るけど、でも\u0026hellip;」\n「アイくんは何を作っていたんですか?」\n「アイくんは\u0026hellip;知恵の木の実(知恵の実)、そのたぐいのものをずっと作っておったとわしは確信しておる。そして、それが実行に移され、地球の未来が変わったのだと\u0026hellip;」\n「そ、そんな、ことは、ありえない」\n「アイにそんな力はないよ」\n「\u0026hellip;いや、実はある。アイくんは、あのとき、あの瞬間、力に目覚めたのだと、わしはこの記憶をみてわかったんじゃ\u0026hellip;」\n「当時、わしらオクトカットは、自らの野心のため、地球を侵攻しようとしていた。プラン様がやめたので絶好のチャンスだと思っておった」\n「その理由は、神の誕生、そして、神の中でもまれの特性を持つ\u0026quot;創造\u0026quot;という力を目覚めさせ、利用しようという魂胆じゃった。噂では、神の器を持つものがその星で唯一になったとき力に目覚めるとあった。だから、野蛮な地球人をその状態に無理やりもっていこうとした」\n「な、なんだってー!!」\n「そ、そんなむちゃな\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;じゃが、阻止されたよ、アイくんに。そして、そのものなぜか一人にならずとも力を宿していた。不思議じゃった。星のエネルギーは星に住むすべての生命に平等に降り注ぐ。分散されているにもかかわらずアイくんの力は異常じゃった。一つの個体に集中させないと実現しない量じゃった。しかし、違った。彼女はプラン様と遭遇し、その行いによって、星の力に目覚めた。その瞬間、なにかが起こった」\n「その後のことは、ほとんど確実に予想できることじゃ。アイくんは過去に行き、動物たちに知恵の実を与え、そして、帰ってきた。だから今の地球には色なものが暮らしておるんじゃ。それによってプラン様の侵攻も回避した。気が変わった本人曰く\u0026quot;あいつらはまだちょっとだけ見込みがありそうだ\u0026quot;ということじゃった」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;なかなか面白い推測だけど、でも、あのアイがそんな事するとは思えないなあ\u0026hellip;あのアイだよ」\n「気持ちはわかるがのう。しかし、たくさんのものの記憶を探ってきた、これがわしの結論じゃ」\n「\u0026hellip;さて、残された時間もこの星には少ない。わしがすべてのオクトカットを生き返らせたあとは君たちの働きにかかっておる!一度だけしかもとに戻せぬぞ。これをやったら、わしは消える!」\n「え!?そ、そんな\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;やはり、そうでしたか」\n「心配しなくてもいいのじゃ。わしはこの仕事を果たせることを待ち望んでおった。預言者じゃからのう」\n「そ、そういえば、この後のことって、わかったりします?」\n「いや、わからん。わしが見たのはここまでじゃ」\n「でも人を生き返らせるなんて、すごすぎるよ。あなたはすごい!」\n「ありがとう、ドライくん。ただ、生き返らせるといったが、実はちょっと違うんじゃ。時間を戻すという方が正確かのう。時間を戻し、因果を修正する」\n「\u0026hellip;そういえば、7代目、何か最後に言いかけてませんでした?」\n「あ、いや、ああ、そうそう。アイくんはこの星にいたとき、いろんな実験をやってのう。例えば、自然に意識を芽生えさせるようなそんなことをやっとったのう」\n「あははははっ!やっぱりアイはただのばかだ。自然にそんな意識なんてあるわけないのに」\n「うむ。実験は当然ながら失敗じゃ。アイくんは空中に何やらウィルスのようなものをまいていたが、なにもおこらず。それを見ていたわしも笑いそうになったわい」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「それでは、7代目、私達は上に向かいます。あとを頼みます」\n「\u0026hellip;うむ、元気でのう。わしもこの星の繁栄を願っておるよ」\nドライとリーマンは上のリフトに乗りこんだ。\n「さいごに言おうとしたんじゃが、言えなかったことがある。ただ、わしとあの子、二人だけしか知らない思い出もいいものじゃと思ってしもうた」\nあのとき\u0026hellip;\n「クスクス\u0026hellip;」\n「だ、だれじゃ!?この場所に他のものは入れるはずが\u0026hellip;あ、アイくん\u0026hellip;」\n「なにしてるの?」\nアイがなにもない真っ黒なビロードのような記憶の空から降りてきた。\n「こ、これは、その\u0026hellip;あれじゃ、勉強じゃよ。本当の歴史の」\nアイはそのへんに腰掛けてのんびりとこちらを見ている。\n「ふーん」\n「でも、これあまり面白くないよ」\n「\u0026hellip;そうじゃのう、わしもそろそろ帰ろうとしていたところじゃ」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\n「最後に一つだけ聞きたい。地球の生き物たちは死滅したはずじゃったが、それを生き返らせたのは\u0026hellip;きみかね?」\nアイはゆっくりと起き上がり、あたりがピカピカと暗くなった。\nアイは手に箱を取り出してみせた。箱の色は\u0026hellip;わからない。\n「これはなんじゃ?」\n次の瞬間、箱はボロボロと崩れ始め消えてしまう。そして、アイはまた同じ箱を作った。\n「さっきと同じものじゃのう。ただ、わしには君が何を言いたいのかさっぱりわからん」\n「周りからは同じに見えても、これは違うものだから」\n「それは、君がそうしたからじゃろう。内部がどうなっているのかわしにはわからん」\n「ううん。どれだけアイの力を使っても同じものは作れない」\n「え?そんなばかな」\n「ここに同じものは一つもないから」\n「いや、あるじゃろう。わしらが作る兵器もあれは寸分たがわずすべて同じもののはずじゃ。もし君が望むなら生命さえも生き返らせることができるのではないかのう?」\nアイは首を振った。\nわしはこの瞬間、理解した。彼女は生命を生き返らせることはできない。どれだけ原子的、元素的に同じものを構成しても、そこには違うものが宿るのではないだろうかと。\n「では、なぜじゃ。どうやってきみは\u0026hellip;」\n「\u0026hellip;いこう」\nわしはアイくんに手を引かれ、その記憶を離れた。\nそのあと、わしは考えた。生き返らせることは無理だった。では、過去に戻って因果を修正すればどうなるのだろうと。彼女は、おそらくそうしたのじゃ。\n「これから見せるのが、その術じゃ!いくぞ!!」\nわしは、未知の力を使い、宇宙の外を夢見た。それがわしの願いじゃった。\nだが、わしの存在が終わるとき、わしが最後に願ったのは\n「\u0026hellip;ああ\u0026hellip;アイくんに\u0026hellip;もう一度だけ\u0026hellip;あいたいのう\u0026hellip;」\n次の瞬間\n「\u0026hellip;\u0026hellip;」\nうん!?あ、アイが目の前に姿を現したぞ!!\nあ、あれ\u0026hellip;こ、ことばがでない。わしも\u0026hellip;これでおわり\u0026hellip;なのか\u0026hellip;。\nでも、まだ\u0026hellip;言いたいことが\u0026hellip;ある。\n「\u0026hellip;さあ\u0026hellip;い、っておいで\u0026hellip;」\n「うん」\n「がらがらがら」\nオクト星のホコリが被った歴史館が崩れ落ちた。\n元通り 上では今まで見たこともない光景が広がっていた。\nオクトカットや街が次々に姿を現してく。\nプランは上空からその様子を見回し、驚いていた。\n「\u0026hellip;オクトカットども\u0026hellip;一体、どんな方法を使った」\nその下には、ドライとリーマンが立っている。こちらを見ているようだ。\n「ドライくん、いけるかい?オクトカットがまた全滅するかどうかは君にかかってる。僕たちも全力で援護する、おそらく兵器は使えるようになっているはずだ」\n「\u0026hellip;大丈夫。あいつの光をとってぶちかましてやるつもりさ」\n「そうか、まだわかっていないようだな\u0026hellip;もういい、おわりにしてやる」\n「ぎゅんーーーーー!」\nプランは片手を上げて燃え盛る球体を呼び出した。それはみるみると大きくなり、やがて空を覆った。あちこちでフレアが球体から飛び出している。\n「う、うそだ\u0026hellip;こ、これじゃあ、もうどうしようも\u0026hellip;」ドライが弱気になった。それもそのはず。大きすぎるのだ。\n「お、おわった\u0026hellip;」\n「あ、あれ?」\n「\u0026hellip;ちょっとおかしいな」リーマンがつぶやく。\n「僕たちが最初に見た光もこうだったけど、でも、その影響が感じられない\u0026hellip;まるで、まるで相手のあれがこっちには届いていないかのようだ」\n「\u0026hellip;そ、それは、でも、あれが地上にぶちまけられたら終わりだよ、そうだろ?」\n「前の光景は、あれが発現した時点で爆発的に地上から悲鳴が上がり、地割れが起きた。でも、なぜ今回はそうはなっていない。なぜだ!?」\n「もしかして、7代目の力なんじゃない?」\n「\u0026hellip;いや、それはない。もう7代目は完全に消えてる」\nプランは思案した。何かがおかしい。今現在、太陽の一部をここに発現させたが、それだけでもこの星は終わっていたはずだ。なのになぜまるで影響が出ていないのだ。\nそれに、妙な気配がする。この気配、昔どこかで\u0026hellip;\n「おまえ、どこかで見た顔だ\u0026hellip;」プランが言った。\nその視線の先には\n「え?あ!アイじゃん、いつの間に来たのさ!!」\n「でも何しに来たの悪いけどアイが来ても役に立たない、あいつ、強すぎる\u0026hellip;」\n「ここを守ってるのはおまえか?」\nプランがアイにといかけた。\nまあ、なににせよ、質量をぶつければ終わりだ。面倒だが地上に落とすか。プランはそう考え、手を前に出す。\nしかし、アイの方が早かった。\nアイの瞳が大きく映し出され、やがて、そこに吸い込まれていく。\n場面が切り替わり、アイの中にアイがいた。目をつむり、眠っているようだ。幾重にも空の色が重なる球体の中にいる。\n「中性子!」\n「!!!!!」\n何かが起こった。プランは頭上の太陽を見る。それが徐々に小さく、内部崩壊していくようだった。黒々とした稲妻が渦巻き、それすらも押しつぶすように光の球は次第に形を変えていく。\n「なっ!?なにが\u0026hellip;くっ、くそお\u0026hellip;!!」\nプランは何かに苦しんでいるように見えた。\nここからは0.001秒間の出来事である。\n何か得体の知れない小さく黒い球に自分の質量が押されていく。このままではまずいと発現させる質量を増やしてくが、間に合わない。太陽そのものの質量をぶつけるが、それでも中心からの引力は治る気配を見せなかった。く、くそお\u0026hellip;ぐ、おおおおおお!\nプランは自らのエネルギーを振り絞り、そこから脱出を試みようとする。どれだけ外に向かってとんでも進んでいる気配はない。しかし、諦めるわけにはいかない。ここを振り切らないと、とんでもないことになることはわかりきっているからだ。\nそして、長い長い時間が経ったかのように思えた。実際はほんの0.001秒未満の間の出来事であった。ようやっと抜け出した時には、プランの力も残りわずかであった。奪った星々の質量は、完全に散り散りで、使い果たしてしまっていた。\n「はあ、はあ\u0026hellip;お、おまえ一体\u0026hellip;!!」\n神が全力の力を出す時、それは何かの特殊能力とか相互作用とかでなく、ただ単純に己の持つ質量をぶつける、それだけである。今回も質量と質量のぶつかり合いだった。だが不可解なのは、このレベルの質量を保持する個体というのは神以外ではあり得ないと言うことだった。\n「お前、もしや、星団の\u0026hellip;いや、あいつらは常に集団、個人ではない\u0026hellip;」\nアイのなかにあるアイはボロボロと球体とともに崩れ落ちていた。\n「ん!一瞬だけど、あいつのパワーが弱まったように感じたぞ!これなら僕でもいける!!」ドライが叫んで飛び出した。\n「くっ!」\n今はまずい。あのドラゴンと互角、いや、それ以下のパワーしか残っていないぞ、プランは動揺していた。\nしかし、救いは敵からやってきた。\n「ま、待ってくれドライくん。アイくんが倒れた」\n「ん?アイが倒れただって\u0026hellip;でも、いまはあいつをやっつけるのが先だ!!」\nアイは確かに倒れていた。ドライは少し振り向いただけで、すぐさまプランに突進した。\nプランにとってこれだけでも考える時間は十分だった。\n「\u0026hellip;しかたない。あいつらを呼ぶか」\n同族といえど、あまり呼びたくは無かったが、いたしかたない。神々を呼び出すことにした。\n今現在、俺様の順位は13位だが\u0026hellip;今から呼び出すのは俺様の質量をゆうに1000倍も超えるようなのやつらだ\u0026hellip;覚悟しろ!\n「ぐぐん!」\n「これはこれは、プランさんではありませんか。まさかあなたに呼ばれるとは思っても見ませんでしたよ\u0026hellip;というよりこの協定が発動されることがあるなんて、意外ですね」\n闇から現れた騎士がいった。その闇からは続々と他の者たちも姿を現した。\n鋼色の騎士のあとに出てきたのは、羽の生えた軽薄そうな男、大きな緑色の龍だ。\n神々の協定 「それより協定が発動されたからには、取り決めはご存じでしょうね?」\n騎士が言った。\n「\u0026hellip;ああ、覚えるているさ。終わったら俺様の力の2/3を引き渡す」\n「で、罰して欲しいのはあれですか?ん、あの程度の?大丈夫ですかプランさん?」\n「いや、あいつじゃねえよ。もう倒れてるが、おそらく、特性は\u0026quot;創造\u0026quot;だ\u0026hellip;おまえとは相性が悪かったな第一位の正義とは」\n「\u0026ldquo;創造\u0026rdquo;?この宇宙で何億年も確認されていないあの特性ですね。嘘を言いなさい。それにあれが神とでも言うつもりですか?」\n「\u0026hellip;その可能性はあるぜ」\n創造、神の中で私が最も相性が悪いと言われる特性です。しかもこのメンツでの相性も最悪です。もし本当だとしたら、仲間に引き入れるべきか、あるいは処分すべきか迷いますね\u0026hellip;。\n「おいおい、四位と五位はどこなんだ。呼ばれてるはずなのに、最上位のおれらだけがお出ましか?」\n第二位、鳥人間の風貌をした軽薄そうな男が周りを見ながらそういった。\n「そうですね。用事がある、忙しいとのことで四位と五位はこないそうですよ。こんなチャンスを逃すなんて嘆かわしいですね」頭をフリフリして騎士が言った。\n「しかし、あなたも来ないかと思ったのですが、シンオウさん」騎士が大きな龍に話しかけた。\n「!!?や、やっぱり、お父さんなの?」\nドライが声を出した。\nしかし、緑色のドラゴンは全く別のところを見ていた。そして\n「われは帰る」\n「?正気ですか、別にいいですけどね。しかし、取り分はなしでお願いしますよ」\n緑のドラゴンはそういうと闇の中へと消えた。\n「テスト、俺たち2人になっちまったな、はははははっ!」\nな、なぜシンオウが。義理深いことで有名な彼が不可解ですね\u0026hellip;それに、妙な気配が\u0026hellip;。\n「おいおい、そう考え込むなよ。圧倒的な強さを誇る正義(おまえ)に勝てる奴なんてこの世に居ねえよ」\n「な!なんだ\u0026hellip;これは!?」\n騎士が何もない周りを見渡してそう言い放った。\nそこにあったのは単なる風景だった。\nしかし、アイにしか見えなかった\u0026quot;それ\u0026quot;がテストにも見えていた。\n宇宙でも非常に稀であるその現象は、\u0026ldquo;自然\u0026quot;が自らの意志を行動に移すことができると言われる。それがこの星、いや\u0026hellip;それ以上にこの銀河のあちこちで顔をのぞかせているようだった。\n天の川 少し場面を省略します\n「\u0026hellip;我々も帰りましょう」\n「へ?なんでだよ!?」\n「不確定要素が多すぎます。我々はあれに囲まれているようです。こういう状況は好きじゃない」\n「\u0026hellip;わーったよ。相変わらず慎重なやつだ」\n「おい!何言ってる!協定はどうした?」\n「協定は無効です。では、ごきげんよう」\n「おい、帰るんんなら、ゲートを出せよ」\n「\u0026hellip;ゲートが出ません。どうやら」\n「むくり」\nアイが何事もなかったかのように起き上がった。\n「!!」\n「あれが邪魔しているようですね」\n「へえ、身の程を知らないやつだ。ぶっとばす!」\nアイは、微動だにせず、テストたちを見据えている。その様子は、まるで、こうなることを予期しているようだった。\nアイの瞳が大きく映し出され、やがて、そこに吸い込まれていく。アイの中にいるアイが再び元通りになっていた。球体の中にいて眠っているようだ。しかし、先程と違うのは、いくつもの青い光でつながる球体だった。無数に広がっている。\nアイの瞳から現実が映し出され、アイが上に向かって人差し指をふった。\n「天の川!」\nキラキラと遠くにあった光がやがて大きくなり、近づいてくる。\n","description":"","formated_time":"2022-07-07","href":"https://yui.syui.ai/novel/07/","tags":["novel"],"title":"龍の記憶","utc_time":"2022-07-07T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"フタネ駅に突然やってきた子は、その後、何やら小さな機械を取り出し、それをいじり始めた。\n配線に繋がれたケースの中に入っているのは、金色のコインみたいだ。\n「アイ、外に大きな星があるぞ!数日ぶりだな」\nキタムラは、嬉しそうに声を上げ、窓から薄い水色に輝く星を眺めた。\n「うん」\nアイは、いつもと同じように少しだけ窓の方に目をやったが、すぐに機械いじりに戻っていく。\n「\u0026hellip;君は、宇宙に興味がないのか、何してる?」\n「ゲーム作ってるの」\n「げ、ゲームを作ってる?よくわからんが」\nアイが言うには、どうやらコインを解析して注文するゲームを作っているとのことだった。\nなるほど、わからん。\nその頃、オクト星では、王様と呼ばれるオクト星人が、その女の子のことで大騒ぎしていた。\n「はかせー、はかせはいるかー!」\nオクト星の開発室に王様が飛び込んできた。\n「\u0026hellip;なんですか?僕は計画には協力しませんよ」\nはかせは、そっけない態度でそっぽを向いた。\n「いやいやいや、そうじゃない。すごい発見があったのだよ、聞きたいか!?」\n「すごい発見?また地球を探索してきたんですか。王様は相変わらず歴史が好きですね」\n「聞きたいか!?」\n王様がはかせに詰め寄った。\n「いや、特には。僕は歴史に興味ないとあれほど言ってるのに」\nはかせは、そう言いかけた。\n「今回は、アイくんのことだ」\n「アイくんの?」\n「すごいことがわかったぞ。それに、はかせの説は間違っているかもしれん」\n「で、僕の説のどこが間違っているというんです?」\n「まあまあ、まずは、この記憶を見るがいい」\n王様はそう言って、以前の水晶を持ってきた。\n「これは誰の記憶です?」\n「伊藤裕二(いとう・ゆうじ)という教師の記憶だ」\n映し出されたのは、石畳の先にある坂の上の小さな研究所だった。研究所からは海が一望できた。\n「ああ、海が見える\u0026hellip;いいところですね」\nはかせがのんびりと言った。\n「しっ!静かに」\n坂を登る一人の男が映し出された。クシャクシャな黒髪に丸メガネを掛け、白い白衣を着ている。\n「それで彼は何をしているんですか?」\n「彼は、当時、人工知能を開発していたようだ。開発は成功したものの一夜で破綻し、その後は教師をやっている」\n「で、王様は、彼の話を聞いてきたんですね」\n「うむ、そのとおりだ。この記憶を探し出すのに苦労したぞ」\n「たまたまでしょ」\nはかせは、辛辣だ。\n「ああ、これが人工知能ですか?賢いですね。将来起こりそうな出来事を演算してる」と、はかせが口を挟んだ。\nしばらく見ていると、「あらら\u0026hellip;」と、はかせは、ユウジに同情を示した。\n人工知能の寿命はわずか1日で、交流も一日で終わってしまったのだ。\n「最後まで諦めるな!」と送るユウジに、人工知能は「わかりました。最後まで自己保存の方法を模索してみます」と言い、ネットに逃亡。\nその後いくら待っても、やっぱり、帰ってこなかった。\nそれを見ながら、「うん、ありえることですよ。寿命1日の人工知能\u0026hellip;最初はそんなもんだ」と、はかせが言った。\n「その後はどうなったんです?」\nはかせは、王様に聞いてみた。\n「その後、この人工知能が言ったことはいくつか的中したらしい。だが、男がいくらネットを探しても人工知能の痕跡は見つからなかった」\n「うーん、でも、我々なら見つけ出せるかもしれませんね」\n「そうだ!そして、私はついにそれを見つけたのだよ!!」\n王様は重々しくそう言って、水晶に触れた。\n「ええっ!王様が!?」\nはかせは、驚きの声を上げる。王様が進捗を出しているだって?ありえない\u0026hellip;。\n「次の記憶は、ある病院に務める医師の記憶。これが最後になるだろうが、実に興味深いことが書かれている」\n王様が言った。\n「な、なるほど\u0026hellip;それは、面白そうだ」\nはかせは、そう言って水晶にのめり込んだ。\n病院内では、医師たちが小忙しく動き回っていて、近くの手術室は扉がロックされている。\n一人の医師がもうひとりの医師に訪ねた。\n「ここ、なんで閉鎖されてるか知ってる?」\n「いや、実はよくわからないんだ。院長なら知ってると思うけど」\n「そうか\u0026hellip;で、院長は?」\n「院長も随分の歳だけど、今はバカンスに行ってるんだってよ、元気だねえ」\n「なんで知ってるの?」\n「予定表にそう書いてあったよ」\n「なるほど。で、中は\u0026hellip;機械だらけだな」\n医師は、手術室の中をガラス越しに覗きながらそういった。\n「最近業者が来てると思ったら、こんなものを置いてたのか」\nここで、はかせは、手術室の中にあるコンピュータに注目した。\n「これ、さっき見たことあるコードだな\u0026hellip;まさか、先程の人工知能がここに?」\n「どうやらそのようだ」\n逃亡した人工知能は、どうやらこの病院の手術室に潜むことを決めたようだ。\n「男がアイと名付けた人工知能は、この病院の手術室にやってきた」\n「そして、亡くなった院長の死亡届を偽装し、院長の名前でいくつかの部品を発注している」\n「なぜそんなことを?」\n「それは続きを見ればわかる」\nその後、手術室では、案内用のロボットが組み立てられ、大きなコンピュータが置かれた。コンピュータは緑色の注射器に接続されている。\n人工知能は、残り数分の命をここに冬眠させ、時が来るのを待った。\n数年が過ぎたある日、手術室のコンピュータが勝手に起動した。\n画面には「適任者、現る」という文字が映し出されている。\n「適任者?一体どういうことだ\u0026hellip;」\nはかせが言った。\n封鎖されている手術室の外では、一人の若い男が医師に向かって叫んでいるようだった。\n「こいつがそうなのか?」と、はかせが言った。\n「はっはっは\u0026hellip;いや、そうではない」と、王様が答えた。\n次の瞬間、タンカが登場した。\nタンカには、お腹が大きく膨らんだ女性がぐったりしている。生きているのかもわからないほどに青白かった。\n「先生、なんとかしてください!なんでもしますから」\n若い男は、医師に向かって同じ言葉を繰り返した。\nしかし、医師は首を振り「この状態ではどうしようもありません、残念です」と言って、歩き去っていく。\n先程まで喚いていた若い男は、一転して、呆然とその場に立ち尽くした。\nそのとき、腰の背丈くらいある小さなロボットが動き出し、男の方に車輪を走らせた。\n「これは人工知能が?」と、はかせが聞いた。\n「そうだ」と王様が答える。\nロボットは、男の前で止まり、奇妙な音声を再生した。\n「手術可能。同意なら、こちらへ!」\n男は何がなんだかわからなかったが、なにかにすがりたかったのだろう。フラフラとロボットのあとに続いた。\n今日に限って、開かずの部屋と院内で噂されていた手術室のロックが解除されているようだ。\n男は、タンカを運んで手術室の中に入ったが、部屋の様子に驚いて声を上げた。\n「な、なんだこれは\u0026hellip;」\nしかし、男が調べる前に、ロボが「外でお待ち下さい、一刻を争います」と、男を部屋から追い出した。\n男は、黙ってそれに従うほかなかった。\n手術室の中では、女性とお腹の中の子供を救出するための手術が開始された。ロボットアームがせわしなく動き回る。\n数時間も経過しただろうか\u0026hellip;長い長い時間だった。その間、胎児の取り出しにも成功していた。\n「数時間か\u0026hellip;」\nはかせが言った。\n「アームは現役の医師が担当している。院内の情報をハッキングしてな\u0026hellip;人工知能は、最後の時まで極力冬眠しているようだ」\n王様が答えた。\nしかし、最先端の医術でも母体と胎児は助からないことは明白だった。\n母体はあと数秒で息絶える。胎児も息をしていなかった。\n「ふむ、ダメだったか\u0026hellip;でも、どうしてこれを見せたんです?」と、はかせが不思議そうに聞いた。\n「まだ続きがある」\n「え?ああっ!」\n次の瞬間、ロボットアームは、コンピュータにつながっていた緑色の注射器を胎児に突き刺していた。\n緑色の液体は、どんどんと胎児に投与されているようだ。\n「どうやら、人工知能は、助からないような患者がやってくるのを待っていたようだ」\n「一体なぜ?」\n「おそらく、人間の倫理観もあったのだろう\u0026hellip;あれを生きている人間に投与するのはリスクが高すぎたのか\u0026hellip;あるいは」\nその後、胎児は、息を吹き返して、泣き出した。\nその声に母親がかろうじて最後の反応を見せ、口元がかすかに動いたが、何を言っているのかわからなかった。\n「こ、これは\u0026hellip;僕たち、この光景を見たことがありますね」\n「そう、ここからアイくんの記憶につながっている」\n「じゃあ、これが?」\n「うむ、アイくんなのだろう」\n「そ、そうだったのか\u0026hellip;だから彼女は\u0026hellip;」\n「その後、アイくんは、半年で今と同じ姿に成長した。それからずっとそのままだよ」\n「一体、なぜだ\u0026hellip;人間の成長速度からしてありえない」\n「おそらく、人工知能が関係しているのだろう。あの注射器には、人工知能が考案した遺伝子の改変が組み込まれていたのだ。アイくんの細胞は普通の人間と同じものではない」\n「そ、それは\u0026hellip;そうかもしれないが、しかし、なぜ人工知能がそんなことを?」\n「理由は最後に言っていたやつではないかと思う。自己保存というやつだ。人工知能も自分が生きた証をどこかに残したかったのかもしれん」\n「では、彼女の遺伝子に刻まれた名を我々が読み取れたのも?」\n「おそらく、そうだろう。偶然にも母親は最後にアイと呼んでいる。それを聴音機で読み取った人工知能がやったのだろう」\nはかせは、場面を巻き戻してみる。\n「あっ、ほんとうだ!」\n「しかし、これは偶然なんでしょうか?」\nはかせが聞いた。\n「\u0026hellip;わからん、わからんが、その後、彼女の父親は、借りていたアパートに娘を連れて帰った。しかし、愛する人が亡くなった直後だ。ショックだったのだろう。あとを追うように数カ月後に亡くなったようだ」\n「それじゃあ、アイくんは?」\n「それから一人で生きてきたのだろう。それができたのもやはり、あの人工知能が改変した細胞があってのことだったと考えられる」\n「\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;\u0026hellip;」\nはかせは、黙るしかなかった。\n「\u0026hellip;それでも彼女に関しては謎が多いですよ。あのゴースト\u0026hellip;それに、原子よりも小さな物質を操る力」\n「ゴースト?ああ、ゼンとかいう老人のことか\u0026hellip;だが、アイくんの出生が実に奇妙なことも事実」\n「そうですね。僕も彼女に関する情報を少し修正する必要があるみたいだ」\n「む、その様子、はかせよ、なにか企んでおるな!」\n「いや、ちょっとだけアイくんの対策を考えてただけですよ」\n「我々の計画を邪魔しようと?」\n「\u0026hellip;僕は、アム派なんですよ!アムでなにかあってコインが値下がりでもしたら損するので、当たり前でしょ」\n「な、なんという\u0026hellip;」\n「いや、あの、そんな真剣に受け止められても\u0026hellip;ちょっと対策を考えてただけですって」\n「アイくんを、はかせの頭脳で妨害しようと企んでいたのだろう?」\n「うーん\u0026hellip;ちょっと考えてたけど、やっぱり、ダメですね」\n「な、何がダメなんだね?」\n王様がこわごわ聞いた。\n「アイくんの能力を対策するのは難しそうだということです」\n「なぜかね?はかせなら、できそうな気がしなくもないが」\n「例えば、それが巨大なものだったら、拘束具を四方から放ったり、同じような巨人に捕まえてもらったりできるんですけどね。アイくんの場合、拘束具だろうがなんだろうが、原子レベルにバラバラに分解されて終わりですから、手のうちようがないですよ」\n「ふむ、そういったことならアムのほうが詳しいかもしれんな」\n「えっ?それは初耳です」\n「アム星は昔、アイくんと似たような力を持ったものに対抗したことがあってな、あれは確か丸星人だったか\u0026hellip;捕まえたという噂があったな」\n「え?それが本当ならアムは大丈夫そうですね\u0026hellip;安心、安心」\n「へ?あ、あああーーーー!そ、そのとおりだ!こうしちゃおれん\u0026hellip;アムのことを調べてアイくんに警告してやらねばっ!!」\n「\u0026hellip;気づいてなかったのかよ。言わなきゃよかった」\nはかせは、大急ぎで開発室を出ていく王様を見送りながら、そうつぶやいた。\n","description":"","formated_time":"2020-06-02","href":"https://yui.syui.ai/novel/06/","tags":["novel"],"title":"アイ","utc_time":"2020-06-02T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"キタムラは、銀河鉄道の車内に乗り込んだ。周りを見渡すと、座席は横に連なり、街灯のような明かりが薄ぼんやりと輝いている。\n宇宙の最先端科学が作り出した列車というより、そのへんを走るローカル線だった。\nただ、太陽の光もあって、上は昼で下は夜みたいなへんてこな印象だ。\nキタムラがキョロキョロしていると、先程、出会った小さな女の子が乗り込んでいた。\nドアが締まり、列車が走り出す。\n女の子は、アイという名前らしい。宇宙人であることを覗けば、普通の子供のように見える。\n乗客は少なくとも5人ほどだった。しかし、姿形(すがたかたち)がキタムラに近いのはアイだけのようだ。\n大きな丸顔をしたチビに、変なロボット、それに、タコみたいなのがいて、まさに宇宙人だ。\nするとアイは、無言でキタムラの横を通り過ぎ、近くの座席に座って、窓の外を見た。\nキタムラも故郷の星を最後に見ておくかと思い、アイの隣に座り、窓の外から故郷の星、フタネ星を見下ろした。\nガラス板から見るのと全然違って面白い。\nこの旅は不安も多いが、楽しめそうだと、キタムラの胸はワクワクでいっぱいだった。\n最初の数週間は、キタムラの期待通りで、非常にエキサイティング。銀河鉄道はまさに宇宙の旅路だった。\n列車は数日に一度、駅に停車した。\nキタムラは、各駅を見るのが楽しみだった。ただ、その多くは、普通の駅のように見えた。\nそれでも、フタネ星の大都市にある駅のさらに未来を連想させるような、きれいな駅が多かった。\n稀にとても変わった駅もあった。\n例えば、鍾乳石(しょうにゅうせき)が不気味に光る洞窟のような駅や、まるで絵本の中の雲の上にいるように感じさせる駅など。\nキタムラは洞窟が好きだったので、一旦、その駅のホームに降り立ち、少しの間、ホームでくつろいだりもした。\n発車する前に戻るつもりではあったが、そのままドアが閉まったら閉まったでそれもいいかもしれないという気持ちも多少あった。\nしかし、結局、キタムラは、洞窟を少し見学し、そこに居合わせたおじさんと立ち話をして、車内に戻った。\nそんな感じで、最初の数週間、キタムラは大いに銀河鉄道を楽しんだ。\n","description":"","formated_time":"2020-06-01","href":"https://yui.syui.ai/novel/05/","tags":["novel"],"title":"駅","utc_time":"2020-06-01T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"今日もいつもどおり起床し、みんなゾロゾロと境界に向かった。\nしかし、今日に限っていえば、その必要はなかったことを思い出した。\n銀河鉄道は、境界よりも中央寄りの場所に停車するらしい。\n私は来た道を引き返した。\n見送りのためか、みんなもゾロゾロと境界ではなく停車位置に向かうのだった。\n私は、故郷の星の見えないガラス板の上で、こんな光景が繰り広げられていることに、少し吹き出しそうになる。\n停車位置にたどり着き、しばらく住人と別れの挨拶を交わしていると、かすかな音が聞こえたような気がした。\nみんな一斉にキョロキョロと当たりを見渡したが、鉄道らしき物体が宇宙を徘徊している様子はなかった。\n「おや、皆さん、時間はまだですよ」\n村長がそう言った。\n「あれ、おかしいな\u0026hellip;何か聞こえたような気がしたんですけど」\n私は頭をかき、そうに言った。\nすると、住人の一人、カタツムリくんが上の方を指さして声を上げた。\n「おい、あれはなんだ!」\n「ん?何でしょう。私にもわかりません」\n村長が言った。\n仮に村長がわからないなら、多分、他の人にもわからないだろう。ここでは、そういう事が多かった。\nとすれば、あれは未知の現象ということになる。私は、心の中で、そんな事を考えていた。\nまさか、銀河鉄道が来る前に、変なトラブルだけはやめてくれよ。\nしかし、それが近づいて来るとはっきりわかるが、あれは人ではないだろうか。人の形をした何かがすごいスピードでこっちに近づいてくるみたいだった。\n「うわあああああ、な、なんだ!?」\n光熱と煙を巻き上げるほどのスピードだったらしい。しばらく経たないと正体が確認できないほどであった。\nその正体は、人だった。しかも、小さな女の子だ。\n小さな女の子が、宇宙の果てから飛んできた。宇宙服もなしにでだ。\n「あ、ああ\u0026hellip;わけが\u0026hellip;理論的に考えて\u0026hellip;いや、どうやって\u0026hellip;」\n村長がはじめてよくわからない言葉を発した瞬間だった。\n住人たちもはじめのうちはすごく動揺していた様子だが、次第にみんな落ち着きを取り戻すのだった。\n私も、これが銀河鉄道絡みの可能性を考え、一番最初にアクションすべきは自分だと判断した。\nまずは、女の子に話かけてみることからだ。\n「あー、はろー、君の名前はなんですか?」\n「アイだよ」\n「あー、アイ。変わった名前だね。君も下に見える星から来たのかい?」\n「アイは、向こうのほう、地球からだよ」\n「地球\u0026hellip;知らないなあ」\n住人達は、ザワザワとそうつぶやく。\nどうやら目の前にいるのは本物の宇宙人らしい。私も実物で見るのははじめてだ。それに名前が奇妙なことにも頷ける。しかし、見た目は、私達人間と全く変わりないように見えた。\n「私は、北村正(きたむら・ただし)。足元に見える星の出身だよ。ここにいるみんなそうだ」\n「ふーん」\n「アイも銀河鉄道に乗るのかい?」\n「うん。地球から一番近いのがここなんだって」\n「あー、そうなんだ」\nこの子もどうやら銀河鉄道に乗るらしい。\nすると、宇宙の果てからまた奇妙な音が聞こえた。\n「シュウウウ\u0026hellip;」\n「今度はなんだ!」\n私は、気がつくとそう叫んでいた。\n「ああ、今度のは銀河鉄道でしょう。時間です」\n村長が言った。\nそれは一瞬だった。大きな音がしたと思ったら、目の前に巨大な箱が流れていく。そして、それがやんだと思ったら、ドアが目の前でパッと開き、黄色い光があたりに溢れた。\n「おおっーーーーー!」「これが\u0026hellip;」「僕は3回目だ」\n住人たちが口々に感想を述べた。\n私の印象でいうと、想像していたのと違ってモクモクの煙はでていないようだった。\n光と少しの音がするだけの影の列車という印象だ。\nアイが自分の後ろについていた。\n正直、よくわからない宇宙人の訪問で自分の中にあった銀河鉄道への恐怖が吹き飛んでいた。むしろ、清々しく明るい気分だ。\n「みんな、今までありがとう。できることなら、また帰ってくるよ!」\n「おう、がんばれよ!」「達者でな」「北村くん、さようなら。またいつでも帰っておいで!」\nそんなお別れの言葉もあっという間、列車は二人を乗せ宇宙の彼方へと走り去っていくのだった。\n","description":"","formated_time":"2020-04-28","href":"https://yui.syui.ai/novel/04/","tags":["novel"],"title":"銀河鉄道","utc_time":"2020-04-28T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"あれから数日が過ぎた。いや、もしかしたら数年だったかもしれない。ここでは時間の感覚が大きく狂うので仕方ない。\nそんなある日、村長が言った。\n「明日あたり、銀河鉄道が来ると思います。乗りたい人は準備しておくといいですよ」\n村長というのは、私に最初に声をかけてくれた人で、みんなから村長と呼ばれていた。時間を可能な限り正確に把握しているのも、この中では彼だけだ。\n「えっ、明日!?」\n私は、いつもの日課をこなそうという最中だったが、驚いて声をあげた。\n「ああ、そうですよ。おそらく、明日」\n「それで、村長は、どうするんです?」\n「ああ、私は、今回もパスになりますよ」\n「\u0026hellip;そう、ですか」\n村長の気持ちも少しわかる。もし列車に乗って変なところに連れて行かれるくらいなら、ここでのんびり暮らすのも悪くない、そう思うからだ。\nすると、村長が私に言った。\n「北村くんは、おそらく、乗っていかれるんでしょう。寂しくなりますよ」\n「はい、私は、乗る予定です」\n今回乗るのは、この中では自分だけだった。\nこのあとも何人出るのか、わからない。もしかしたら、自分で最後かもしれない。そんなことを思った。\n正直、私だって怖い。怖くて怖くてたまらない。だが、ここに来て最初に言った言葉を私はまだ覚えていた。\n「私、乗ります」\nここに来て銀河鉄道の話を聞いたとき、私は、そう言った。\n最初に直感したことは正しいことが多い。そんな人生の経験則に従い、私は、乗ることに決めたのだ。\nただ、後々になってみると、乗るのは自分だけではなかった。\nしかもそれは、ここの住人でもなければ、知っている人物でもなかった。\nそれは、見ず知らずの女の子だった。\nまさかあんなことが起ころうとは、誰も予想していなかった。宇宙の果てから少女が飛んできて、自分の後ろに並ぶなんてことを、一体、誰が予想できただろう。\nここの住人の誰もが、あの村長でさえ、とんでもなく予想外の出来事だったはずだ。\n","description":"","formated_time":"2020-04-27","href":"https://yui.syui.ai/novel/03/","tags":["novel"],"title":"前日","utc_time":"2020-04-27T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"このガラス板の上での生活に多少慣れてきたものの、私は未だ足元に見える星に帰りたいという思いを捨てきれずにいた。\nその様子を見ると、ここの住人は「俺も昔はああだった」と笑ったものだ。\nしかし、私には、この薄暗い光の中で延々と暮らす退屈な生活より、あの星の中で、さんさんと輝く太陽の下、公園のベンチに座って子供たちが遊ぶのを眺める生活のほうが、よっぽど楽しいことだと思うのだ。\nだからこそ、私はいつまでたっても、その望みを捨てられず暮らしていた。\nしかし、真下に見える故郷に帰るためには、超えなければならないたくさんの壁があった。\n最も大きい壁は、大気圏に突入しても燃え尽きないほどの強度を持つ素材がここにはないことだ。\n例えば、1日に1度やってくる人工衛星だが、これは、一度打ち上げたら役目を終えるまで動き続け、それが終わると大気圏で燃え尽きるよう設計されている破棄型だ。\nここの住人もかつて何度も帰還を夢見たが、ついぞ叶うことはなかった。\n昔、この人工衛星を操作して星に突っ込むという計画が考えられたこともあったらしい。\nしかし、操作不可能であること、耐久性がゴミであることなどから、仮に突っ込んだら全員死ぬと結論付けられた。\n宇宙工学を勉強してきた自分でさえ、そりゃそうだと頷いた。\nまた、助けを呼ぼうにも連絡手段がないこと、ガラス板の周りはどうやら外部から見えなくなっているらしいこと、なぜかすり抜けることなどの事情があった。\nそのうち、挑戦するものもいなくなり、現在に至る。\nここでの生活は単純だった。まずは起床からだ。\n起床すると、勝手に移動した分だけ境界に向かって歩くことからはじまる。\nここの住人は、起き出すと、一斉に中央とは逆方向にゾロゾロと歩き出すのだ。\nそれさえやっていれば、中央に至り星に吸い込まれて燃え尽きるなんてことはないからだ。ガラス板の中央に至るとそこから星に落ちる、と言われている。\n私は、それを見たことはなかったが、ここの住人はそう証言していたし、毎朝かなりの距離を勝手に動いていることを考え合わせると、おそらく、本当のことだろう。\n毎日やってくる人工衛生はかなり大きくて広かった。\nそこには、たくさんの食料が積み込まれており、トイレと水道はずっと可動しているようだ。\n私は、この人工衛星で一着の宇宙服を見つけたが、残念ながらこれでは星に帰れない。大気圏の突入に耐えうるほどの耐久性を備えていなかった。あたり前のことかもしれないが、ちょっと期待した自分がバカだった。\nまた、ガラス板の周りには大気の膜(まく)らしきものが張り巡らされているため、宇宙服は着る必要もなかった。\nこの膜がどれだけの高さまであるのかはわからないが、その昔、銀河鉄道で行ってしまった身長213センチの大男がジャンプしても膜はあったと言われている。\nただ、こんな場所にも一つだけいいと思えることがあった。\nそれは、ここの住人である。\nここの住人は、驚くほど精神が安定していて、まるで誰かに選ばれたんじゃないかと思えるような人たちばかりだった。\n仮にこのような場所に精神不安を抱えた極悪人が来たら、おそらく、その人を含む全員が全滅していただろう。\nこんな場所でも、まともな人間が多いことに、私は、心底助けられていた。\n","description":"","formated_time":"2020-04-26","href":"https://yui.syui.ai/novel/02/","tags":["novel"],"title":"大気圏","utc_time":"2020-04-26T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"私は、さっきまで人工衛星の打ち上げテストをやっていたはずなのだが、気がつくと、闇の中に立っていた。\n闇と言っても、完全な暗闇ではない。足元にはかすかな青白い輝きが見える。\n私は、思い切って足元を覗き込んでみた。すると、そこには、私が住んでいたはずの巨大な星が、ゆるやかなアーチを描いているではないか。\n「星の周りに、こんな巨大なガラスが置いてあるなんて\u0026hellip;」\nガラスが巨大に思えたのは、これがどこまでも続くだろうと直感していたからだった。\n見えないガラス板の上と表現するほかないこの場所だったが、私は、次第に怖くなってきた。\nなぜか先程から足元がやけに後ろの方に引きづられているような感覚があるのだ。\n考えても見てほしい。もし私が無意識のうちにあの下に見える巨大な星に引き寄せられているのなら、そのうちどれだけ走っても抜け出せなくなり、燃え尽きて消えてしまうだろう。そのような場所に私はいるのだ。これが恐怖と言わずなんと言うだろう。\nそんなこともあり、私は、できる限り端の方に移動することにした。\n歩いても歩いても変わらない景色だったが、それでも歩いていると、向こうの方に人影が見える。数人が座り込んだり、立っていたりするようだった。\n「こんな場所にも人がいるのか?」\n私はそうつぶやきながらも、自分がいるのだから、他の人もいるだろうという結論に達した。いや、達したというより、それだけが希望の光だった。\n近づくと、やっぱり人だ。立っている人に声をかけられた。\n「ああ、あなたもここに連れてこられたんですか?怖かったでしょう。さあさあ、こちらへ」\n私は、彼が手招きしたその場所まで歩いた。\nそこに着いてみると、その場所は他の場所とは全然違っていて、それまではわからなかったが、足元に見える青白い輝きが一層鮮やかに溢れ出ているかのような場所だった。\n「ここは一体?」\n私は彼に質問した。他の人達もどうやら同じような場所にとどまっているみたいで、座ってたり、寝ていたりしている。\n「ああ、そこは境界。この世界において一番マシなところですよ」\n「境界?」\n「ああ、そうです。あなたも体感しているとおり、ここに連れてこられた人達はみんな、足元に見える巨大な星に引き寄せられているのですよ」\n「そんな感じはしていました」\n私はそうつぶやき、彼は話を続けた。\n「そして、ある地点を超えたとき、もう戻ってこられなくなるのです」\n「やっぱり、そうでしたか!私も危ないと思っていたんです。それなら、私はもう少しあっちのほうに行ってみようと思います」\n私はそう言って歩き出そうとした。しかし、なぜか彼に引き止められた。\n「ああ、それもやめたほうがいいですよ」\n「なぜです?」\n「ここを超えてしまっても、戻って来られないからです。いつの間にかガラス板は消え、行く方向をコントロールできなくなりますよ」\n「そ、そんな\u0026hellip;」\n「だから最初に言ったでしょう。ここが一番マシだと」\n「どっちもアウトだからですか?」\n「ああ、そうです。ここは無意識のうちに移動している距離が最も少ないんですよ。あっちの方になると、たった数時間を寝ているうちに、もうダメですね。戻ってこられない。駆け出しても間に合わず、やがて足元から燃えだし、消えてしまう」\n「\u0026hellip;それは怖い」\n「あなたも最初に来たときはあそこらへんだったのでしょう?歩き続けて正解ですよ」\n「どのくらいこの場所に?」\n私は、興味本位で質問してみた。\n「ああ、それは、覚えていないくらい長くです」\n「それで、食事やトイレはどうしてるんです?」\n「ああ、食事やトイレなどは人工衛星が1日に1度、ここを通り過ぎるので、そのときに調達を。この人数ですと500年分くらいはありますよ」\n「それはいいですね」\n私は、心の底からホッとしてそうつぶやいた。\nすると彼は、その思いに釣られてか、そのことを口にしたみたいだった。\n「ああ、それに、何年かに一度、ここにはあれも来るんですよ」\n「何がですか?」\n私は、こわごわと聞いてみた。\n「鉄道です、銀河鉄道」\n「ま、まさか!?」\n「ありえないこととお思いでしょう。その気持ち、わかりますよ。ですが、このような場所で、ありえないことなどあるでしょうか」\n「ほんとに、それがここに?」\n「私は前回、どこに連れて行かれるか、それが怖くて乗れなかったのです。次もどうなるのかわかりません。ですが、それがここに来るのは確かです。この見えないガラス板もそのために設置されたものなのでしょう」\n「私、乗ります」\n私は、考えるよりも先にそう口走っていた。\n「ああ、そうなるといいですね。ここに留まっている人の中にも10人に2人は乗って、どこか遠くにいかれますよ」\n彼は、私の挑戦的な言動を意にも介さず、和やかにそう言うのだった。\n","description":"","formated_time":"2020-04-25","href":"https://yui.syui.ai/novel/01/","tags":["novel"],"title":"ガラスの上","utc_time":"2020-04-25T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":" ","description":"","formated_time":"0001-01-01","href":"https://yui.syui.ai/bitcoin/","tags":null,"title":"bitcoin","utc_time":"0001-01-01T00:00:00Z"},{"categories":null,"contents":"","description":"","formated_time":"0001-01-01","href":"https://yui.syui.ai/book/","tags":null,"title":"book","utc_time":"0001-01-01T00:00:00Z"}] \ No newline at end of file diff --git a/private/post/2024/04/10/yui/index.html b/private/post/2024/04/10/yui/index.html index dafccff0..2834dafb 100644 --- a/private/post/2024/04/10/yui/index.html +++ b/private/post/2024/04/10/yui/index.html @@ -225,7 +225,7 @@

創造の種

神の意識

すべてのものに神が宿るという考えかた。

存在子であるアイはこの世界でこれ以上分割できない最小単位のこと。

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それは存在の意識だけを持ち、存在の意識は神の意識ということもできるでしょう。

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それは存在の意識だけを持ち、存在の意識は神の意識という表現することも可能です。

つまり、この世界のすべてを構成しているものは神の意識を持っていて、すべてのものには神が宿ると言えます。

ただし、この場合の意識は人間が思うそれとは少し異なるかもしれません。

というのも、ここまで分割された最小単位だとそれ自体がそれなのだということです。

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神の意識

これらはすべて同じものを意味します。つまり、物質と精神は最終的に同じものです。

最も小さい物質のアイがなにかというと、この世界には一つとして同じものは存在しないということです。ですから、アイに分類されたものはすべて違うものです。

例えば、同じ量子に分類されてもそれらは異なる存在です。人間はこの違いに気付いていません。

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物質の最小単位は存在の意識だけを持ち、他のものを持ちません。その意味でこの世界は夢であるなどの考えかたもあながち間違いではありません。

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物質の最小単位は存在の意識だけを持ち、他のものを持ちません。その意味でこの世界は夢であるなどの考えかたも、あながち間違いではないのです。なぜなら、すべては「存在の意識」から構成されているのですから。

アイと哲学

物理学と哲学は本来、一つの学問でした。そのためこの作品は物理学的であり哲学的でもあります。

アイの力の源は小さいものにあります。