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この文章の目的

私と一緒に仕事をすることになった人が、どのようなことを考えてマネジメントをしているかを知ることができるよう、私の考えを文書でまとめたものです。

マネージャーの役割

私が考えるマネージャーは、マネジメントを活用する能力を持つ専門人材です。マネジメントとは、人間一人の力では実現不可能な大きな成果を生み出すために、人が集まりお互いに協力しあって活動できるようにするための手法のことを指します。

事業作りにチームは必須としません。一人で事業を営む人は世の中にいくらでもいますし、彼らはマネジメントを必要としないでしょう。

しかし、事業を大きくしようとすると、業務を処理する人手を求められることがあります。高い難易度の課題を解決する専門家を必要とすることもあります。メンバーをエンパワーしたり、作業の流れを変えたり、ノウハウを別のチームで転用したりと、組織というシステムに変更を加えることで解決できる問題もあります。このようなマネジメントが事業に求められた時に限り、マネージャーは行動を起こすものだと私は考えます。

マネジメントのみに専念しない、プレイングマネージャーという働き方に私は肯定的な考えを持っています。

社長になっても営業活動をしている人がいますし、CTOになってもソースコードとにらめっこしている人がいます。市場ニーズの肌感覚を整えたり、テクノロジーの現場感覚を掴もうとしたりと、事業の成長にとって必要ならばプレイングは戦略性を持って取り組むべきでしょう。チームやメンバーが未成熟なら、マネージャー自らが現場を切り盛りして、仕事の型を作って回ることもあるでしょう。

優秀なプレイヤーとしての自分を現場に持ち込むことで、難解な課題に対してとてもクリエイティブな解決策を提案できたり、高い突破力を作り出すこともあります。成功した会社の社長が持つ特殊スキルになっていることもあります。

関係性

マネージャーとメンバーの違いは、あくまで専門性です。上下関係が常に必要だとは考えていません。

私はメンバーへの作業指示を避けようとします。マイクロマネジメントはチームのパフォーマンスを最大化できないと考えているからです。あくまでメンバーの役割定義と課題の提示のみを行い、裏方役としてメンバーのエンパワーに力を入れます。上から何か言われなくてもチームが機能し続けられる、自律型組織を理想と考えています。

とはいえ、トップダウンに作業指示することもあります。

会社全体として取り組むべき課題があったり、アクセルを踏むべき別の事業にパワーを集中する必要があったり。このような自チーム以外が主体となる指示というのは、責任意識が高い現場の人間にとって、ひどく煩わしかったり、集中力を乱す邪魔な存在にも感じられます。私自身もその不快感には強く共感するところです。

しかし、マネージャーというのは経営側に立って会社や事業継続を最優先に考える役割です。トップダウンの指示で機動力を作れない会社は、茹でガエルのように衰退します。メンバーの意に反した指示を、それこそ断腸の思いで押し通すこともあります。

コミュニケーション

レポーティングに義務はありませんが、お互いにバッドサプライズを避けたいと考えています。

リスクを事前に予想し伝えておいたり、計画のズレや状況の変化をマメに伝えるなど、悪い驚きが小さくなるよう努力することで互いの信頼関係が築かれていくと考えています。バッドサプライズを防げるのであれば、毎週ランチに行く、DMで連絡する、適時話しかける、定例会を開く、どんな手段でレポートしても問題無いと私は考えます。

1on1は毎月必須で行います。チームは未来を担うリーダーを必要とするからです。

中堅や幹部を担える人材が増えないと会社は事業を大きくできません。しかし、その全てを中途採用で賄っていては、事業成長を支えてきたカルチャーが活かされなくなります。チームの未来を担うリーダーを現場から育てなくてはいけません。

成長のために最も効果的な手段はOJTです。現場の活動を起点に、視座を引き上げて理解可能な課題を増やしたり、役割を見直すことでスキルを増やしたり、内省を促すことで判断の精度を上げるなど、人材開発を効果的に運用すべく1on1を活用します。

評価

私が最も重要視する観点は、市場価値です。社内のみで評価される状態は防ぎたいと考えます。

評価では、自身の市場価値が前回比でどれだけ上昇したのか、客観的に説明できることを求めます。マネージャーである私は、市場価値を上げるためのトレーニングや実績が得られる場を提供します。必要に応じて、会社の資源を活用できるよう手助けを行います。経歴書やポートフォリオが充実したものとなるよう、クールな仕事を生み出す努力をします。

ただし、会社側は社員の評価を市場価値のみで決定することができません。

会社が積み重ねてきた歴史やカルチャーに共感し、そして社員みんなが大切にしている価値観の尊重を求めます。これは、社員同士の人間関係を健全に保ち、意思決定のスピードを下げないために必要なことです。メンバーにリーダー、マネージャー、それぞれの役割に必要とされる行動規範を守れないことには、会社側も人材の価値を正当に評価することが難しくなります。

マネジメント対象となった方に求めること

よくあるマネジメント本や自己啓発本というのは、精力的に生きて、成長に貪欲で、そしてリーダーを目指すべきなんだ!…とか語りがちです。しかし私はそうだと思いません。全員がガツガツしててリーダーとか目指してしまう職場なんて、はっきり言ってつまらないと思います。

ただ、一人前と言える能力ぐらいは持って欲しいところです。エンジニアであれば、技術力を高く持つでもいいし、現場を仕切る能力を持つでも何でもいいので、せめてサービスを作りきる力がないとスタート地点に立てません。プランナーであれば、独力で企画をきっちり通し、そして現場を仕切るぐらいの能力を持って欲しいところです。

その上で、楽しくコードを書いて過ごすことを目指してもいいし、気に入った専門領域にひたすら没頭してもいい。同僚にありがとうって言ってもらうことを糧に働いてもいい。食いっぱぐれないなら、好きなことをゴールにすればいい。そういう多様な人たちが集まって、一緒にモノを作っている現場が私は好きです。

人間の一生のうち、起きている時間の1/3は仕事のために使っていると言われています。仕事をつまらないと感じて過ごすならば、人生の1/3を失ったといっても過言ではありません。私は1/3の時間を、自分が夢中になれること、幸福と感じられることに使って欲しいと考えています。

仕事を楽しいと思えるようになること。それを決して諦めない欲しい、というのが私の求めることです。

おわりに

この文章は執筆時点のものであり、考えが変わったり、内容が更新されたりすることがあります。