批准者(Ratifiers) は、ここに、指定された 組織(Organization) の正式な権限構造として、この 憲法(Constitution) を採用します。これにより批准者は、組織を統治し実行する権限を、批准者自身が委譲する権限を持たないもの以外はすべて、憲法のルールとプロセスに譲渡します。批准者またはその後継者は、この憲法を採用するときに依拠していたプロセスによって、この憲法を改正したり廃止したりすることができます。ただし、修正は書面で行われなければなりません。
この憲法を採用する前にこの組織において有効であったすべての規定や制度は、たとえ憲法のプロセスの下で作成されていない権限または制約が含まれていても、憲法の採用後も完全に有効であり続けますが、ここで定義されたプロセスによらずに、これらをさらに拡張したり変更することはできません。 これらの古い規定および制度は、それらに代わるものや、それらに矛盾するものがこの憲法のプロセスによって作り出されたとき、ただちにそれらのすべての影響力と権限が失われます。
組織は批准者に加えて、組織のガバナンスとオペレーションを支援するために他の パートナー(Partners) を指定できます。ただし、そのパートナーもまたこの憲法の全ての関連条項に従うことに同意した場合に限ります。この制限のもとで、批准者が別途定めていない限り、組織はパートナーをどのように追加したり削除したりするかを定義することができます。また、批准者は組織の初期パートナーを指定することができます。
各パートナーはこの憲法によって与えられた権限を、憲法を採用する前に批准者が有していた権限と同じように行使する事ができます。パートナーとしてのあなたの責任と制約は、この憲法およびそのプロセスにより生じたもの、パートナーが組織に対して負う法的義務、および組織を代表する際に負う法的義務からのみ発生します。暗黙の期待や制約はパートナーに対していかなる権限も持たず、この憲法によって与えられた権限の範囲外で発せられた命令もまた同様です。
「Role(ロール)」は、人が就くことができ、またそれにより組織を代表するものとして活性化される組織の構成要素です。ロールに就いている人はみな、そのロールの「Role Lead(ロールリード)」です。
ロール(Roles) の定義は、わかりやすい名前と、次の項目のうち1つ以上からなります:
- (a) 1つの 目的(Purpose): ロールが追求または表現する、能力、可能性、または目標。
- (b) 1つまたは複数の ドメイン(Domain): ロールがその目的のために、排他的にコントロールし、所有物として規制する資産、プロセス、またはその他のもの。
- (c) 1つまたは複数の 責務(Accountability): 他のロールを補助するため、または自身の目的をサポートするために、ロールが管理し実施する、反復的な活動。
ロールは、さらにいくつかの ポリシー(Policy) をもつ場合があります。これは、権限の付与や制限、またはそのロール内で適用される特別なルールです。
ロールリードとして、あなたは以下の責任を負います:
あなたは、ロールの目的や責務の現在の姿と、それらのあるべき理想と考える姿との間のギャップ(これらのギャップは ひずみ(Tension) と呼ばれます)を比較し、特定する責任があります。さらに、あなたは、それらのひずみを解決する責任があります。
あなたは、ロールの目的および各責務をどのように実現するか、以下の項目を定義することで定期的に検討する責任があります。
- (a) ネクストアクション(Next-Action): 優先順位を抜きに考えれば、すぐにでも実行できる有用な行動。
- (b) プロジェクト(Project): 優先順位を抜きに考えれば、取り組むべきと思われる特定の成果。
あなたは、あなたのロールの進行中のプロジェクトごとに、ネクストアクションを定期的に定義する責任があります。
あなたは、あなたのロールのすべてのプロジェクトとネクストアクションを捉えて、書面のリストで記録をつける責任があります。また、あなたは、解消しようとするひずみが、プロジェクトまたはネクストアクションとして処理されるまで、そのひずみを記録し続けなければなりません。さらに、あなたは、これらのリストを定期的に確認および更新することで、ロールが行おうとしている仕事の信頼できる情報源として維持する責任もあります。
ロールで行動する時間があるときはいつでも、実行できるネクストアクションを検討し、その中で最も組織に価値を与えるであろうものを実行する責任があります。
サークル(Circle) は、共通の目的によってロールおよびポリシーを構造化するための入れ物です。 サークル内のロールおよびポリシーは、その時点でのサークルの ガバナンス(Governance) を構成します。
すべてのロールの内部にはサークルがあります。このサークルは独自のロールやポリシーを保持することで、作業を分解して組織化することができます。これは、この憲法の中で定義されているロールには適用されません (それらはさらに分解することができません)。
ロールの内部のサークルは、そのロールを保持する外側のサークルの 子サークル(Sub-Circle) とみなされ、その外側のサークルは 親サークル(Super-Circle) とみなされます。
サークルがその保持するロールの1つにドメインを付与すると、そのロールのロールリードはサークルの代表としてそのドメインを制御できます。サークルがその保持するロールに付与できるドメインは、サークル自身が保有するドメインに含まれるもの、もしくはサークル自身の内部プロセスにのみ関連するものに限られます。
ロールがドメインをコントロールしているとき、そのドメインを管理するポリシーを、独自のガバナンスとして作成することができます。ただし、ドメインを委譲したサークルもまた、そのドメインを管理する独自のポリシーを定義する権利を保持し続けます。これらのポリシーは、矛盾が生じたときは、委譲先のロールで定義されたものよりも優先されます。
明示的に指定されない限り、ロールがドメインを委譲されたとしても、サークルが金銭や資産の消費をコントロールする権利を委譲したことにはなりません。
組織全体の目的を保持する最も広いサークルは、その組織のアンカーサークル(Anchor Circle)です。 アンカーサークルは組織自体がコントロールするすべての権限とドメインを保持し、親サークルを持ちません。 アンカーサークルは、ポリシーにより自身の目的を変更したり、責務を明示することができます。
批准者は、この憲法を採用する際に、アンカーサークル内の初期構造、およびその他のガバナンスを定義することができます。
ロールは、他のサークルまたはその親サークルがポリシーによって招待することで、そのサークルにリンクします。
ロールは、他のサークルへリンクされると、そのサークルのガバナンスの一部と見なされます。そのサークルは、そのロールに何かを追加したり、その追加したものを後で変更することができます。ただし、ロール自体を削除したり、別のサークルによって追加されたものを変更したり、そのサークルが追加したものを別のサークルが変更または削除することはできません。ロールへの割り当てを追加または変更する権限は、その元のサークルに残ります。ロールがリンクしているサークルはそのロールの親サークルとはみなされず、そのロールの内部サークルはそのサークルの子サークルとみなされません。
サークルは、リンクを招待したポリシーを削除するか、そのポリシーで定義された別のメカニズムによってロールのリンクを解除できます。ロールは、そのロールのポリシーか、そのロールの親サークルのポリシーによる別段の指示がない限りは、リンク先のサークルから自分自身を削除することもできます。サークルへのリンクが解除されると、そのサークルによってロールに追加されたガバナンスは自動的に削除されます。
どのサークルも、そのサークルの ファシリテーター(Facilitator) として誰かを任命することができます。選ばれたファシリテーターはそのサークルの中にある ファシリテーターロール(Facilitator Role) に就きます。その目的は「サークルのガバナンスおよびオペレーションの実践が憲法に沿っていること」です。
どのサークルも、そのサークルの セクレタリー(Secretary) として誰かを任命することができます。選ばれたセクレタリーはそのサークルの中にある セクレタリーロール(Secretary Role) に就きます。その目的は「憲法上必要なサークルの記録とミーティングを安定化させる」です。
サークルは、そのファシリテーターロールやセクレタリーロールに責務やドメインを追加したり、追加したそれらを修正したり削除したりすることができます。どのサークルも、これらのロールの目的や、憲法によってこれらのロールに設定されている責務やドメインを修正したり削除したりすることはできません。
ロールリードを務めることは、そのロールの内部のサークルのサークルリード(Circle Lead)を務めることも意味します。そしてこれによりそのサークルのサークルリードロール(Circle Lead Role)に就きます。サークルリードロールはその外側のロールの全ての目的と、そのサークル内の別のロールやプロセスに移譲されていない全ての責務を保持します。
アンカーサークルは、ポリシーによって別段の定めがない限り、サークルリードを持ちません。
サークルリードは、サークルのロールへの割当をコントロールし、サークル内の任意のロールに就く意志のある人を誰でも割り当てることができます。一度に複数の人をアサインすることもできます。そのように割り当てられた人は、事前に別段の合意が無い限り、後で辞退することができます。サークルリードもまた、いつでもサークル内のロールへの割り当てを取り消すことができます。
サークルリードはさらにロールへの割り当てを特定のコンテキストにフォーカスすることができます。ただし、そうするためには、ロール定義の全体がそのコンテキストにおいて関連していなければなりません。 フォーカスが使われた場合、各割り当てのフォーカスは個別のロールのように振る舞います。そのロールの目的、ドメイン、そして責務の全てが適用されますが、その割り当てのフォーカスの中においてのみです。
サークルがロールの割り当てのコントロールを別のロールやプロセスに移譲していない限り、サークルリード以外の誰もロールに割り当てたりロールの割り当てを取り消したりすることはできません。ポリシーによってロール割り当てや削除をさらに制限することもできます。
サークル内のロールに誰も着いていないときは、各サークルリードが自動的にそのロールのロールリードであるとみなされます。
組織のパートナーでない人のみがロールに就いているときもまた、各サークルリードが自動的にそのロールのロールリードであるとみなされます。しかし、この既定の割り当ては、パートナーであれば求められる責任や義務をその非パートナーが積極的に果たしていない限りにおいてのみ適用されます。
サークルリードは、ロール間の優先度の競合を解消するために、サークルの可能な取り組みの相対的な価値を判断することができます。サークルリードは、1つまたは複数の 方針(Strategy) を定義することもできます。これは、サークルの優先順位付けを導くための経験則です。
あるサークルの外部のガバナンスがそのサークル自体またはそのサークルのいずれかのロールを参照した場合、サークルリードはその参照を上書きし、代わりにそのサークルの別のロールを参照するようにできます。この明瞭化はサークルのガバナンスの変更とはみなされません。
サークルは、そのサークルリードロールの目的を変更したり、ロール自体を削除したりすることはできません。
サークルは、そのサークルリードロールに責務やドメインを追加したり、追加したそれらを削除したりすることができます。しかしながら、全ての追加自動的に子サークルのサークルリードにも再帰的に適用されます。サークルは、自身のサークルリードロールのみに責務やドメインを追加することはできず、そのサークルのみに関連するものを追加することもできません。
サークルは、自身のサークルリードロールの責務、ドメイン、権限、またはその機能を削除することができます。これを行うには、それらの要素をサークルの別のロールに配置するか、それらの要素を実現する代替手段を定義します。これを行うことで、関連する権限や要素はそのサークルのサークルリードロールから自動的に削除され、移譲されている間は継続します。
パートナーとして、あなたは組織内のロールリードの要求に応じて次のように透明性を確保する義務があります:
- (a) プロジェクトとネクストアクション: あなたは、あなたが組織のために記録をつけている全てのプロジェクトとネクストアクションを共有しなければなりません。
- (b) 相対的な優先度: あなたは、あなたのプロジェクトまたはネクストアクションのいずれかと、あなたの注意を惹く他のあらゆるものとの相対的な優先度の判断を共有しなければなりません。
- (c) 見積もり: あなたは、あなたのプロジェクトまたはネクストアクションを完了すると見込まれる時期の見積もりを提供しなければなりません。それは、現在のコンテキストと優先順位を考慮した大まかな見込みで十分です。詳細な分析や計画は必要ありません。また、この見積もりは決して約束ではありません。ガバナンスによる定めのない限り、見積もりの変更があった場合にその記録をつける必要はありませんし、見積もりの提供した先に報告しにいく義務もありません。
- (d) チェックリスト項目: あなたは、あなたのロールのため、または組織のパートナーとして、繰り返し行われる行動が完了しているかを確認する必要があります。これを要求された場合、あなたは、これらの確認事項の共有がもはや有用でないと思うまで、定期的にこれらの確認事項を共有し続けなければなりません。
- (e) メトリクス: あなたは、あなたのロールや、組織のパートナーとして収集した指標を共有しなければなりません。これを要求された場合、あなたは、これらの指標の共有がもはや有用ではないと判断するまで、これらの指標を定期的に共有しなければなりません。
- (f) 進捗状況: あなたは、前回共有して以来、あなたのロールやいずれかのプロジェクトのために行った進捗の概要を共有しなければなりません。これを要求された場合、あなたは、進捗状況の共有がもはや有用ではないと判断するまで、進捗状況を定期的に共有しなければなりません。
- (g) その他の情報: あなたは、すぐに提供可能で、共有しても問題ないその他の情報を何でも共有しなければなりません。
パートナーとして、あなたは組織内のロールリードのメッセージと要求を以下のように迅速に処理する義務があります:
- (a) 明瞭化の要求: 他の人は、あなたのいずれかのプロジェクトやあなたのロールのいずれかの責務の次の段階を明らかにするよう依頼することができます。このとき、あなたは、もし実行できるネクストアクションがある場合、その中から取り組むものを決め、それを伝えなければなりません。もしそれがない場合、代わりにネクストアクションを実行できるようになるまでに何を待っているのかを共有しなければなりません。
- (b) プロジェクトとネクストアクションの要求: 他の人は、あなたに特定のネクストアクションやプロジェクトを引き受けるように求めることができます。少なくとも優先順位を抜きに考えたときに、あなたのいずれかのロールとして、もしくは組織のパートナーとして、取り組むことが理にかなっていると思われる場合は、あなたはその要求を受け入れて記録をつけなければなりません。そうしない場合は、その理由を説明するか、要求者の目標を達成すると思われる代わりの提案をしなければなりません。
- (c) ドメインに影響を与える要求: 他の人は、あなたのロールのいずれかがコントロールしているドメインに影響を与える許可を求めることができます。あなたは、あなたのロールの目的や責務を果たす能力が低下する理由がない場合は、影響を与えることを許可しなければなりません。もしそのような理由がある場合、要求者にそれを説明しなければなりません。
パートナーとして、あなたは以下のようにあなたの関心事の優先度を決める義務があります:
- (a) 処理: あなたは、あなた自身のネクストアクションの実行よりも、他のロールリードからあなたのロールへのメッセージの処理を通常は優先しなければなりません。ただし、処理時間が十分に迅速である範囲において、都合の良い時間にまとめて処理できるまでメッセージの処理を遅らせることはできます。メッセージの処理には、この章で挙げられているあらゆるの義務に従い、要求に応じてメッセージをどのように処理したか共有することも含まれます。メッセージの処理には、記録したネクストアクションまたはプロジェクトの実行は含まれません。
- (b) ミーティング: あなたは、あなたのネクストアクションの実行よりも、この憲法で定義されたミーティングへの参加を優先しなければなりません。ただし、これは他のパートナーが特定の会議についてこの優先度を明示的に要求した場合に限ります。さらに、会議の時間に既に予定がある場合には、その要求を拒否できます。
- (c) サークルの優先順位: ロールとして行う仕事を選ぶとき、あなたはそのロールやそれを保持するサークル、およびそれらの全ての親サークルの公式の方針や相対的な優先順位を考慮しなければなりません。そして、あなたはこれらの公式の優先順位を、あなた自身の優先順位や組織の優先順位に対するあなたの解釈よりも組織にとって重要であるとみなさなければなりません。サークルの公式の優先順位は、サークルリード、またはサークルの優先順位の競合を解消したり方針を定義する権限を持つその他のロールやプロセスによって定義されます。
- (d) 期限: サークルのガバナンスまたは公式の方針や優先順位に、いつまでに何かをすることを指定する期限が含まれている場合、その影響度に関わらず、その期限に間に合うことが強制であると誰も解釈してはなりません。代わりに、あなたは、その期限を守るために必要なすべての行動が、そのサークルにおける他のあらゆる行動よりも優先度が高いという、公式の優先順位付けであるとして解釈し、最善を尽くさなければなりません。サークリードまたはロール間の優先順位の競合を解消するする権限を持つ他のロールやプロセスは、この優先順位を無効にすることができます。
パートナーとして、あなたは他のパートナーと 関係協定(Relational Agreements) を結ぶことができます。これらは、あなたが組織内で仕事をする際にどのように相互に関係するか、もしくは組織のパートナーとしての一般的な機能をどのように果たすかについての合意です。これにより、本章で挙げた義務を追加したり明瞭化したりすることができますが、これらと競合することはできません。
関係協定は、一般的に仕事を下支えする振る舞いを形作ることに着目していなければなりません。ロールの中で行うべき仕事への期待も、異なるロールにおけるパートナーの優先順位付けについての期待も設定することはできません。さらにこの協定は、具体的な行為や、行動の制約のみを指定することができます。この協定は、特定の成果の達成や、抽象的な性質を体現することに関する約束を含めることはできません。
パートナーとして、あなたは、自身の個人的な好みのために、またはあなたが就いているロールに供するために、別のパートナーに関係協定の締結を要求することができます。そのパートナーは、自身の個人的な好みに基づいて、要求された関係協定を受け入れるか拒否することができます。別段の合意がない限り、いずれかの当事者は相手方に通知することにより、後からこの関係協定を終了することができます。
パートナーとして、あなたは自身の行動をあなたが作成した書面による関係協定に合わせる義務があります。組織のプロセスやミーティングを進行している人もまた、憲法で定義されていることと矛盾しない限り、関係協定をそのプロセスやミーティング中で強制することができます。
パートナーは誰でも、 タクティカルミーティング(Tactical Meeting) を招集することで各自の責任や義務を果たすのを支援することができます。さらに、各サークルのセクレタリーはサークルの定例のタクティカルミーティングの予定を立てる責務があります。
サークルのセクレタリーが開催する定例のタクティカルミーティングには、ポリシーによる別段の定めが無い限りサークルの全てのロールが招待されます。その他のタクティカルミーティングでは、ミーティングを招集するパートナーは、そのミーティングに招待するロールを指定しなければなりません。その後、招集者がロールのロールリードの一部のみを招待する場合を除き、ロールのロールリードを務める全てのパートナーがロールを代表して参加するよう招待されます。
サークルのファシリテーターはサークルの定例のタクティカルミーティングを進行する責務があります。また、このときセクレタリーはタクティカルミーティングのアウトプットを記録して公開する責務があります。サークルのセクレタリー以外によって招集されたタクティカルミーティングについては、そのタクティカルミーティングを招集したパートナーがミーティングを進行してアウトプットを記録するか、もしくは他の有志または適切なロールがこれを行うように任命しなければなりません。
ポリシーによる別段の指示がない限り、ミーティングを進行する人は次のプロセスを使用しなければなりません。
- (a) チェックインラウンド: 各参加者は、順番に自分の状況を共有したり会議の開始に際してコメントをしたりします。これに対する応答は許可されていません。
- (b) チェックリストレビュー: 各参加者は、ミーティングに参加しているロールに関して定期的に報告している、繰り返し行われる行動が完了しているかを確認します。
- (c) メトリクスレビュー: 各参加者は、ミーティングに参加しているロールに関して定期的に報告しているメトリクスを共有します。
- (d) 進捗の更新: 各参加者は、会議に参加しているロールに関して定期的に報告している、プロジェクトやその他の取り組みの進捗状況の概要を示します。参加者は、以前の報告以降に行われた進捗のみを共有し、作業の一般的な状況の共有をすることはできません。
- (e) アジェンダ構築: 参加者はミーティングで処理すべき項目からなるアジェンダを構築します。各参加者は、望む数のアジェンダ項目を、それぞれに短いラベルをつけることで追加できますが、ここでは説明や議論は許されません。参加者は、この手順の後も、既存のアジェンダ項目の処理中に、さらにアジェンダ項目を追加できます。
- (f) アジェンダ項目のトリアージ: 各アジェンダ項目を処理するために、アジェンダ項目の所有者は他の参加者に対して、その参加者のパートナーとしての一般的な立場に関して、もしくはその参加者がそのミーティングで代表するロールに対して、要求を行うことができます。ただし、ロールに対する要求は、要求する人がそのミーティングで代表するロールのためにのみ行うことができます。会議を進行する人は、各アジェンダ項目の許容時間を管理することで、アジェンダ全体のための時間を確保します。そして、どのアジェンダ項目も、割り当てられた時間の経過後に処理を中断することができます。
- (g) クロージングラウンド: 各参加者は、順番に会議の振り返りを共有します。これに対する応答は許可されていません。
サークルのポリシーにより、そのサークルのいずれかのロールが招致するタクティカルミーティングに対し、この既定のプロセスの代わりのわりのプロセスを指定したり、修正したりすることができます。
ロールリードとして、あなたはこの憲法で定義されたルールを破らない限り、ロールの目的または責務を果たすためのあらゆる行動を行い、またあらゆる決定を下す権限を持っています。これから行う行動の優先順位付けと選択を行う際、あなたは各行動が組織に対して与える相対的な価値についてあなた自身の合理的な判断を用いることができます。
ロールリードとして、あなたの権限について以下の制限を遵守しなければなりません。
ロールとして行動しているとき、あなたは、ロールやロールを包含するサークルのポリシーに違反することはできません。
ロールとして行動している時、あなたは、そのロールの所有するドメインに影響を与え、コントロールする権限があります。
あなたは、さらに、あなたのロールを包含するサークルが所有し他に委譲されていないドメインや、サークル自体が影響する可能性があるドメインに影響を与える事ができます。ただし、このとき、あなたが与えた影響を取り消すのが実質的に困難であったり、取り消すのにコストがかかると思われる場合は、許可を取る必要があります。
あなたは、許可を得ないかぎり、あなたのロールを含まないロールやサークルに委譲されたドメインをコントロールしたり、重大な影響を与えることはできません。また、その他の独立した存在が所有するドメインについても同様です。
ドメインに影響を与える許可が必要な場合は、あなたは、そのドメインをコントロールしている人なら誰からでも許可を得ることができます。また、あなたは、特定の行動を行う意図をアナウンスし、関連するドメインをもつ人に反論を促すことによっても、許可を得たとみなすことができます。このとき、あなたは、応答するうえで合理的な期間、返事を待たなければなりません。その期間が経過した時点で誰も異議を唱えなかった場合、組織の中でアナウンスが届いた全てのロールが所有するドメインに影響を与える許可を得たことになります。書面によるアナウンスの場合、そのアナウンスは、使用したチャネルのメッセージを普段読んでいる人全員に届いたものとみなすことができます。これにより付与された許可は、アナウンスした特定の行動を実行している間のみ適用されます。ポリシーにより、このプロセスを変更または制限することができます。
事前に承認されない限り、あなたは金銭や資産を消費することはできません。この承認は、これらのリソースを消費する目的で既にコントロールしているロールから取得する必要があります。組織の重要な財産を処分することや、権利を著しく制限することも、消費すること含まれます。
消費する承認を得るには、あなたは、承認を求めているロールに対し、消費する意思を書面によってアナウンスする必要があります。このアナウンスは、そのロールまたはそのロール内のロールリードを務める全てのパートナーが通常閲覧する場所で共有しなければならず、その内容には、消費する理由と、消費するロールを含めなければなりません。その後、あなたは、検討と応答をするうえで合理的な期間、返事を待たなければなりません。アナウンスを受けた人はだれでも、追加の検討のために消費の可否をエスカレートすることができ、エスカレートされた場合あなたは消費することを進めることはできません。しかしながら、あなたが承認を得ようとしているロールのロールリードは、エスカレートした人と同様に、エスカレーションを取り消すことができます。合理的な期間が経過し、エスカレーションが発生していない状態となると、あなたのロールはそれらのリソースのコントロールを得ます。これにより、あなたは指定した目的のためにそれらを使用するか、さらに他の人に承認を与えることができます。あなたに承認を与えたロールはそのコントロールを失いますが、そのロールのロールリードはいつでも承認を取り消すことができます。
ポリシーによってこのプロセスを別の何らかの方法に変更することができ、また、ポリシーによってロールに直接サークルのリソースの消費をコントロールする承認を与えることも可能です。
パートナーとして、あなたはこの憲法およびその権限の下にあるものを解釈するためにあなた自身の合理的な判断を下すことができます。さらに、直面している特定の状況で、これらがどのように適用されるかを解釈し、その解釈に基づいて行動することもできます。しかしながら、あなたは、全てのガバナンスを、それを包含するサークルの目的と責務の文脈の中で、またそのサークルやさらにその親サークルの公式の解釈ルールに従って、解釈しなければなりません。その文脈や解釈ルールと矛盾する解釈を使用することはできません。
パートナーとして、この憲法や組織のガバナンスに対するあなたの解釈が他のパートナーの解釈と矛盾する場合があるかもしれません。これが発生したとき、いずれかの当事者は、影響を受けるいずれかのサークルのセクレタリーに、どの解釈を使用するかの裁定を下すよう依頼することができます。セクレタリーは、憲法とその権限下にある全てのものごとについて要求に応じて解釈を与える責務があります。セクレタリーが返答した後、全ての人は、関連する文書または文脈が変わるまで、その裁定に従わなければなりません。
解釈について裁定した後、セクレタリーは、その裁定と背後にある論理を公開することができます。これが公開された場合、そのサークルや、それに含まれているサークルのセクレタリーは、将来の裁定でその論理と整合するように努めなければなりません。しかし、やむを得ない新しい状況によってその論理が陳腐化したとき、セクレタリーは、その論理と矛盾することもできます。
あなたは、セクレタリーの解釈を親サークルのセクレタリーに訴えることができます。親サークルのセクレタリーは、子サークルのセクレタリーの解釈を覆すことができます。
すべてのパートナーは、サークルのセクレタリーに対し、そのサークルやその子サークル内のガバナンスの有効性に関する裁定を依頼することができます。セクレタリーは、そのガバナンスがこの憲法のルールに違反すると判断した場合、サークルの記録からそれを削除しなければなりません。その後、セクレタリーは、削除した項目とその理由を、そのサークル内のロールに就いているパートナー全員に速やかに伝えなければなりません。
パートナーとして、ある場合において、あなたは 個人イニシアチブ (Individual Initiative) を発動し、あなたのロールの権限を越えたりこの憲法のルールを破って行動する権限があります。
あなたは、次のすべての項目に該当する場合にのみ、個人イニシアティブを発動できます。
- (a) 組織内のロールの目的に供するか、責務を果たすために誠実に行動していること。
- (b) あなたは、あなたの行動が作り出す可能性のある組織のひずみよりも、多くのひずみを解決または防止すると確信していること。
- (c) あなたの行動は、あなたがすでに消費することを許可されている金額を超えて、組織に消費させることがないこと。
- (d) あなたの行動がポリシーまたはドメインに違反する場合、許可の発動やガバナンスの変更を待っている間に多くの価値が失われてしまうだろうと確信していること。
個人イニシアティブを発動したらすぐに、あなたは重大な影響を受ける可能性のあるとあなたが考えるロールリードにあなたの行動を説明する必要があります。影響を受けるロールリードの要求に応じて、あなたは個人イニシアティブによって生じたひずみを解決するための行動をさらに行わなければなりません。また、影響を受けるロールリードの要求に応じて、あなたは似たような個人イニシアティブを発動することも控えなければなりません。
あなたは、通常の作業よりも、この節で必要とされるコミュニケーションと復旧を優先しなければなりません。ただし、行動の影響を受けるすべてのロールを包含するサークルのサークルリードは、この既定の優先順位を変更することができます。
サークルのガバナンスを変更するには、ここで定義される ガバナンスプロセス(Governance Process) を用いる必要があります。
各サークルには、ガバナンスプロセスにおいてロールを代表する サークルメンバー(Circle Members) のグループがいます。
サークルのサークルメンバーは、そのサークルのサークルリードロールに就いているパートナー全員と、そのサークル内のロールのロールリードであるパートナーです。ロールに複数のロールリードがいる場合、サークルはポリシーを定めることにより、ガバナンスプロセスにおいてサークルメンバーとしてそのロールを代表する人数を制限することができます。
サークルの全てのサークルメンバーは、いつでもサークルの サークルレップ(Circle Rep) として誰かを選出または交代するための選挙を要求することで、外側のサークルにおいてそのサークルを代表してもらうことができます。選出されたサークルレップはそのサークルのサークルレップロール(Circle Rep Role)に就きます。その目的は「外側のサークルのプロセスに関連するひずみを発見し、解決する」であり、以下の責務を持ちます:
- (a) サークル内のロールに就いている人によって伝えられるひずみを探し、理解する
- (b) このサークルを包含する外側のサークル内のプロセスについて適切なひずみを認識する
- (c) 外側のサークル内でひずみを処理し、このサークルの制約を取り除く
ポリシーによって代替のプロセスが定義されていない限り、サークルはサークルレップの選出にはここで定義される統合選挙プロセスを用いなければなりません。サークルのサークルメンバーのみがサークルレップを務める資格があります。そのサークルのサークルリードを務める人がサークルレップも務めることはできません。そのサークルの外側のサークルのポリシーで許可されていない限り、サークルのサークルレップを同時に務めることができるのは1人だけです。
選出されたサークルレップは、そのサークルを包含する全てのサークルのサークルメンバーとなり、サークルリードと同様にそのサークルを代表する権限を持ちます。包含するサークルは、ポリシーによってサークルレップがサークルメンバーになるのを制限または阻止できますが、これは、内側のサークルのロールが外側のサークルにおいて、サークルレップと同等の代理手段をもつ場合のみ許されます。
サークルは、自身のサークルレップロールに責務またはドメインを追加したり、追加されたそれらを修正または削除することができます。どのサークルも、このロールの目的や、憲法によってこのロールに設定されている責務を修正したり削除したりすることはできません。
サークルのファシリテーターはガバナンスプロセスを進行する責務があります。サークルのセクレタリーはガバナンスプロセスのアウトプットを記録して公開する責務があり、またサークルのガバナンスの記録についてドメインを持ちます。
サークルの全てのサークルメンバーは、いつでもサークルのファシリテーターやセクレタリーとして誰かを選出または交代するための選挙を要求する事ができます。サークルはファシリテーターやセクレタリーの選出にはここで定義される統合選挙プロセスを用いなければなりません。いかなるロールやポリシーも、この方法以外でファシリテーターロールやセクレタリーロールに人を割り当てたり、割り当てを削除したり、このプロセスを変更したりすることはできません。通常、この選挙の適格な候補者はサークルのサークルメンバーだけです。ただし、サークルまたは親サークルは、ポリシーによって適格な候補者を追加または制限することができます。
サークルのガバナンスプロセスにより、サークルメンバーは以下ことを実行できます:
- (a) このサークルのロールを定義、修正、または削除すること。
- (b) このサークルのポリシーを定義、修正、または削除すること。
- (c) このサークルが保有するロールまたはポリシーを、子サークルやさらにその子サークルへと移動すること。ただし、これはそのロールやポリシーが子サークルの目的または責務を実現する場合に限られます。
- (d) ロールまたはポリシーを、子サークルやさらにその子サークルから、このサークル自体に移動すること。ただし、これはそのロールやポリシーが子サークルの目的または責務を実現することに関連しなくなった場合に限られます。
- (e) このサークル内で選出されるロールの選挙の実施。
上記以外の決定はサークルのガバナンスプロセスの有効なアウトプットではありません。
ポリシーは、次のいずれか1つまたはそれらの組み合わせに限られます。
- (a) サークルに含まれる1つまたは複数のロールの権限に対する制約。
- (b) 1つまたは複数のロールに対する、サークルまたはサークルリードが保有している権限の付与。
- (c) 人々またはロールに対し、サークルのいずれかのドメインをコントロールしたり影響を与える権限が無い場合には、それらの権限の付与。または、権限がある場合にはその方法の制約。
- (d) 変更することが明示的に許可されている場合、この憲法の既定のルールやプロセスを変更するルール。
特に明記しない限り、権限を付与または制限するポリシーは、すべての子サークルにも再帰的に適用されます。この憲法の既定のルールまたはプロセスを変更するポリシーは、特に明記しない限りはポリシーを保有するサークルにのみ適用され、明示的に指定されている場合はすべての子サークルでも再帰的に適用されます。後者の場合、元のポリシーで明示的に禁止されていない限り、子サークルは自身のポリシーにより、元のポリシーを上書きできます。
サークルの全てのサークルメンバーは、ガバナンスの変更を提案することでガバナンスプロセスを開始することができます。これを行うためには、提案者(Proposer) は最初に書面の 提案(Proposal) を、セクレタリーが許可したいずれかの通信チャネルを用いて他の全てのサークルメンバーに共有しなければなりません。その他のサークルメンバーは明瞭化のための質問をしたり、リアクションを共有したり、その提案を採択することに対する懸念を上げることができます。これらの懸念は、ここに示す基準を満たす場合 反論(Objection) であり、これを上げた人は 反論者(Objector) です。
一度各サークルメンバーが提案に対する反論が無いことが確認されたら、提案は採択され、サークルのガバナンスが変更されます。反論が上げられた場合、提案者と各反論者は、サークルが提案を採択する前に反論に対処する方法を見つけなければなりません。このような努力が行われた後、サークルメンバーに反論を上げる機会がもう一度与えられなければなりません。サークルは、ポリシーを採用することで反論を上げる時間制限を設けることができ、この時間制限が経過しても返答しなかった人は反論が無いものとみなされます。サークルが提案を非同期で処理しているときはいつでも、全てのサークルメンバーは、提案者に対して提案を同期で処理するためにミーティングに持ち込む事を要求することができます。ポリシーによる別段の定めが無い限り、これにより非同期の処理は停止し、提案はミーティングで再提出されるまで取り下げられたものとみなされます。
提案を作成したり反論を上げるとき、サークルメンバーは、ロールリードとして就いているかサークルレップとして代表しているサークル内のロールのみを代表することができます。また、サークルメンバーは、ロールリードのいずれかから一時的に代表することを許可された場合、その許可が期限切れになるか取り消されるまで、そのロールを代表することも許されます。
提案を有効にするには、提案者は以下のすべての項目を満たさなければなりません。
- (a) 提案者のロールのいずれかのためにこの提案が対処しようとするひずみを記述できること。
- (b) そのひずみを記述する過去または現在の状況の実例を共有できること。
- (c) その実例について、この提案がそのひずみをどのように軽減するかについての合理的な説明ができること。
提案がこれらの基準を満たさないことがファシリテーターにとって明白となった時点で、ファシリテーターは提案を棄却しなければなりません。
提案の採択に対する懸念は、反論者が以下の基準のすべてを満たす理由の合理的な説明を提供できる場合にのみ反論として扱われます。
- (a) 提案が、サークルが目的または責務を実現する能力を低下させること。
- (b) 提案が、サークルにおいて反論者が代表するロールの目的または責務を実現する能力を制限すること(たとえ反論者が組織の他のロールに就いていなかったとしても)。
- (c) 提案が存在しなかったとしても、懸念がすでに存在してはいないこと。すなわち、提案を採択することによってはじめて、新しいひずみが生じること。
- (d) 提案は必然的に影響を及ぼすか、またはそれが可能性である場合、サークルに重大な危害が及ぶ前にそれに対応する十分な機会が得られないこと。
ただし、上記の基準に関係なく、提案の採択がこの憲法のルールに違反する場合、懸念は常に反論として扱われます。
ファシリテーターは、懸念が満たすべき基準を満たしているか、またどのように満たしているかを反論者に質問することで、懸念が反論と見なすか否かを判定することができます。質問の応答を評価する際、ファシリテーターは反論者が各基準に対して論理的な主張を提示できたかどうかでのみ判断することができます。ファシリテーターは、主張の正確さや、対処することの重要性に基づいて判断することはできません。
提案を採択するとこの憲法に違反するため反論が主張された場合、ファシリテーターはサークルのセクレタリーにそれが事実か否かを解釈するよう求めることができます。セクレタリーがそうではないと判断した場合、ファシリテーターは提案を却下しなければなりません。
反論を解消しようとするとき、以下のルールが適用されます。
- (a) ファシリテーターは、サークルメンバーから要求された場合、反論をテストしなければなりません。要件の基準を満たしていない場合、ファシリテーターはそれを却下しなければなりません。
- (b) 反論者は、反論を解消し、なおかつもとの提案者のひずみにも対処するように提案を修正することに努めなければなりません。反論者がこれを行うための誠実な努力を行っていないとファシリテーターが判断した場合、ファシリテーターはこの反論が取り下げられたものとみなし、それを却下しなければなりません。
- (c) すべてのサークルメンバーは、提案者に対して、提案の背後にあるひずみまたは提案者がひずみを説明するために共有した例について、明瞭化のための質問をすることができます。提案者が誠意を持って回答していないとファシリテーターが判断した場合、ファシリテーターはこの提案が取り下げられたものとみなさなければなりません。
- (d) 反論者は、提案の修正案を示し、これがひずみを解決する理由について合理的な主張を提供することができます。次に、反論者の要求に応じて、提案者は、提案者がもとのひずみを説明するために使用した例のうち少なくとも1つについて、提案の修正案がひずみの解決に失敗する理由について合理的な主張を提示しなければなりません。必要に応じて、提案者は、提案の修正案がもとのひずみの解決に失敗する理由を示す別の例を追加することができます。提案者がそうすることができない、またはそうする気がないとファシリテーターが判断した場合、ファシリテーターはもとの提案が取り下げられたものとみなさなければなりません。
全てのサークルメンバーは、サークルレップ、ファシリテーター、またはセクレタリーの選挙を求めることでも、サークルのガバナンスプロセスを開始することができます。現在のファシリテーターは、以下のように統合選挙プロセスを実施しなければなりません:
- (a) ロールの説明: 最初に、ファシリテーターは、対象となるロールを指定し、任期を選びます。ファシリテーターは、選挙に関連する他の情報を提示することもできます。このステップと次のステップの間、誰も候補者に関するコメントすることは出来ません。
- (b) 候補者を推薦する: 各サークルメンバーは、投票用紙やその他の非公開フォーラムに、ロールに最も適していると思われる適格な候補者を指名します。サークルメンバーは投票用紙に自分の名前も記入しなければならず、また、棄権したり、複数の人を指名することはできません。
- (c) 推薦公開ラウンド: このステップでは、ファシリテーターはそれぞれの推薦をすべての参加者に共有します。各推薦ごとに、推薦者は、候補者がロールに適していると考える理由を述べます。他の人は反応しません。投票者は、指名した人以外の候補者についてコメントすることはできません。
- (d) 推薦変更ラウンド: すべての指名が共有されると、参加者は推薦を変更し、変更理由を説明することができます。これに返答することはできません。
- (e) 提案の作成: ファシリテーターは指名数を数え、最多の指名を集めた候補者を選出する提案を作成します。同点の場合、ファシリテーターは以下のいずれかを行うことができます。(i) 同点の候補者のうち1人だけが自分自身を指名した場合、その人を提案する。(ii) 同点の候補者の中に、そのロールに現在就いている人がいる場合、その人を提案する。(iii) 同点の候補者を無作為に1人選択し、その人を提案する。(iv) 前のステップに戻り、同点の候補者以外の人を指名した各サークルメンバーに、その指名を同点の候補者の誰かに変更するよう依頼する。
- (f) 反論ラウンド: ファシリテーターは各サークルメンバーに提案に対する反論があるか確認します。反論が表出した場合、ファシリテーターはそれらを話し合って解決を試みるか、提案を取り下げるかのどちらかを選択できます。取り下げた場合、ファシリテーターは、このプロセスの前のステップに戻り、取り下げられた候補者へのすべての指名を無視し、前のステップのルールを適用し、代わりに提案する別の候補者を選択しなければなりません。
サークルは、ポリシーを採用することで、統合選挙プロセスにおいて候補者を推薦したり提案に応答するまでの時間制限を定義することができます。この時間制限が経過したとき、ファシリテーターは返答がなかった人を残りのプロセスから除外しなければなりません。
サークルのファシリテーターは、サークルで選出されたロールの任期が切れたときに新しい選挙を始める責務があります。
ロールに誰も就いていない場合、代理の人がファシリテーターまたはセクレタリーの役割をもつ場合があります。通常のファシリテーターまたはセクレタリーが必要なときに居ない場合や、何らかの理由で代理を求めた場合にも、代理の人が役割を担います。
代理が必要となったとき、代理の人は次の優先順位で決まります:
- (a) 代理される人によって指定された人。
- (b) ファシリテーターにはサークルのセクレタリー。セクレタリーにはサークルのファシリテーター
- (c) サークルのサークルリード。もし複数のサークルリードが存在する場合は、その中で最初に代理として立候補した人。
- (d) 最初に代理として立候補したサークルメンバー。
ミーティング外で行われる非同期の提案に加えて、各サークルは定例のガバナンスミーティング(Governance Meeting) を開催することで、サークルのガバナンスプロセスを同期で実施する場合があります。
サークルのセクレタリーはガバナンスミーティングの予定を立てる責務があります。サークルの定例で予定されるガバナンスミーティングに加えて、セクレタリーは、サークルメンバーの要求に応じて、速やかに特別なガバナンスミーティングの予定を立てなければなりません。要求する人は、さらに、特別なガバナンスミーティングの開催意図と、ミーティングにより変更できる事柄に関して制限を指定できます。これには、会議の焦点を特定のひずみに絞ることや、特定のロールのみが変更できるように制限することが含まれます。その場合、その特別なガバナンスミーティングの権限は指定された開催意図のための提案の処理のみに制限され、指定された制限内の変更のみが許されます。
サークルのすべてのサークルメンバーは、そのサークルのガバナンスミーティングに参加できます。ファシリテーターとセクレタリーとなる人は、サークルのサークルメンバーでなくても参加できます。この場合、ミーティング中は一時的なサークルメンバーになります。
サークルのサークルレップとして、あなたは、あなたのサークルを直接包含するサークルのガバナンスミーティングに、任意のパートナーを招待して参加させることができます。この招待は、一度に1人のパートナーにのみ適用できます。また、あなたが代表するサークルに影響を与える特定のひずみの処理するのに役立てるためにのみ利用できます。あなたは、そのひずみを自分でも感知していなければならず、そのサークルで処理するのが理にかなっていると信じていなければなりません。招待された人は、会議中または招待を取り消すまで、一時的なサークルメンバーになります。招待された人は、会議中にあなたと共にサークルを代表することができますが、これは、その特定のひずみを処理している間のみです。
上記以外の人は、誰もそのサークルのガバナンスミーティングに参加することはできません。
サークルは、セクレタリーがすべてのサークルメンバーに対して事前に合理的な通知を行った場合に限り、カンファレンスミーティングを開催できます。この他には、ポリシーで指定されていない限り、サークルがガバナンスミーティングを実施するために必要な定足数はありません。
ガバナンスミーティングは、セクレタリーによって最初に予定された時間に達すると終了します。セクレタリーは、会議内で時間を延長することを選択できますが、これは、ミーティングを終了することをどのサークルメンバーも要求しない場合のみです。
ガバナンスミーティングの一部またはすべてを欠席したサークルメンバーは、その中で行われた提案について懸念を提起する機会があったものとみなされます。したがって、サークルは、欠席している人に関係なく、ガバナンスミーティングで提案を採択できます。
ファシリテーターは、ガバナンスミーティングにおいて以下のプロセスを使用しなければなりません。
- (a) チェックインラウンド: 各参加者は、順番に自分の状況を共有したり会議の開始に際してコメントをしたりします。これに対する応答は許可されていません。
- (b) アジェンダの構築と処理: ファシリテーターは、処理するひずみのアジェンダを作成してから、各アジェンダ項目を順番に処理します。
- (g) クロージングラウンド: 各参加者は、順番に会議の振り返りを共有します。これに対する応答は許可されていません。
このプロセス中の任意の時点で、参加者は タイムアウト(Time Out) による中断を要求できます。ファシリテーターは、この要求を許可または拒否することを選択できます。タイムアウトの間に、参加者は管理上の問題や、この憲法のルールについて話し合うことができます。タイムアウトを使用して、ひずみ、提案、または反論の解消に取り組むことはできません。ファシリテーターは、いつでもタイムアウトを終了し、通常のミーティングプロセスを再開できます。
サークルのポリシーにより、このプロセスに何かを追加することができますが、この章で定義されているルールや要件と競合することはできません。
ファシリテーターは、すべての参加者からアジェンダ項目を募集して処理するひずみのアジェンダを作成します。ファシリテーターは、事前にではなく、会議中にこれを行わなければなりません。各参加者は、望む数のアジェンダを、それぞれに短いラベルをつけることで追加できますが、ここでは説明や議論は許されません。参加者は、この手順の後も、既存のアジェンダ項目の処理中に、さらにアジェンダ項目を追加できます。
定例のガバナンスミーティングの場合、ファシリテーターはアジェンダ項目を処理する順番を選択できます。ただし、参加者の要求に応じて、選挙を求めるアジェンダ項目を他のすべてのアジェンダ項目より優先しなければなりません。参加者の要求に応じて予定された特別なガバナンスミーティングの場合、その参加者がアジェンダの順序を選択できます。
アジェンダ項目は一度に1つずつ処理されます。選挙を要求するアジェンダ項目を処理するためには、ファシリテーターは統合選挙プロセスを用います。その他のアジェンダ項目を処理するためには、ファシリテーターは以下で定義される 統合意思決定プロセス を使用します。
ファシリテーターは、以下のように 統合意思決定プロセス(Integrative Decision-Making Process) を実施しなければなりません。
- (a) 提案の提示: 最初に、提案者はひずみを説明し、それに対処するための提案を提示できます。提案者の要求に応じて、ファシリテーターは、他の参加者が提案の作成に助言することを許可できます。ただし、ファシリテーターは、提案者のひずみに対処するための最初の提案にたどり着くことのみに、この助言を集中させなければなりません。ファシリテーターは、他のひずみや提案に関する懸念について議論することを禁止しなければなりません。
- (b) 明瞭化のための質問: 提案者が提案を作成すると、他の参加者は提案やその背後にあるひずみをよりよく理解するための質問をすることができます。提案者は各質問に回答するか、回答を拒否することができます。ファシリテーターは、提案に対して表明されるあらゆるリアクションや意見を止め、あらゆる種類の議論が行われるのを阻止しなければなりません。参加者は、このステップの間や、その他発言を許可されている任意の時点で、セクレタリーに対し、提案を読み上げたり、既存のガバナンスを表示するよう求めることがができ、セクレタリはそのようにしなければなりません。
- (c) リアクションラウンド: 次に、提案者を除く各参加者は、1人ずつ提案に対するリアクションを共有できます。ファシリテーターは、順番外のコメントや、他人を会話に引き込もうとするあらゆる試み、および、提案ではなく他のリアクションに対してなされるリアクションをただちに止めなければなりません。
- (d) 明瞭化の機会: 次に、提案者は、リアクションに対してコメントを共有したり、提案を修正したりすることができます。ただし、修正の主な目的は、提案者のひずみをより適切に対処するためのものでなければならず、他の人に提起されたひずみに対処するためものであってはなりません。ファシリテーターは、提案者またはセクレタリー以外の人によるコメントをただちに止めなければなりません。セクレタリーによる関与の場合も、提案の修正を記録することのみに集中しなければなりません。
- (e) 反論ラウンド: 次に、各参加者は1人ずつ、提案を採択することに対する懸念を上げることができます。ファシリテーターはその懸念を反論として記録するか、もしくは反論の基準を満たしているか否かを判定して満たすものを記録するかのいずれかを行わなければなりません。もし反論がない場合、提案は採択されます。懸念を判定して反論を記録している間、ファシリテーターは反論者以外からのあらゆる種類の議論や反応を止めて却下しなければなりません。
- (f) 統合: 反論が存在する場合、ファシリテーターは、それぞれに1つずつ着目します。各々について、参加者はブレインストーミングを行い、反論を解消するための提案の修正案を探します。ファシリテーターは、提案の修正案により反論が起こらなくなることを反論者が確認し、かつ、もとのひずみにも対処していることを提案者が確認すると、反論が解消したものとして印を付けます。このステップでは、ファシリテーターは本章で説明されている統合のルールを適用しなければなりません。すべての反論が解消されたならば、ファシリテーターは提案を修正し、再び反論ラウンドに戻ります。
プロセス障害(Process Breakdown) は、サークルがこの憲法のルールに違反する振る舞いや結果のパターンを示している場合に発生します。サークルのファシリテーターまたはセクレタリーは、合理的な判断により、自分のサークルやその子サークルにおいてプロセス障害を宣言できます。関係するパートナーはさらに、子サークルを調査して潜在的なプロセス障害を探すようファシリテーターに要求することができます。ファシリテーターは要求に応じて子サークルのミーティングと記録を監査し、プロセス障害が発見された場合は宣言する責務があります。
サークルのファシリテーターは、提案を解決のための合理的な時間を費やしても解決できなかった場合にも、プロセス障害を宣言することができます。
権限を持つ当事者がサークル内でプロセス障害を宣言するたび、以下の全てが発生します。
- (a) ファシリテーターは、そのサークル内の提案または反論を検証するために行われた主張の論理性と妥当性を判断する権限を取得します。
- (b) 親サークルのファシリテーターは、そのサークルの正当なプロセスを復元するプロジェクトを取得します。
- (c) 親サークルのファシリテーターは、そのサークルのファシリテーターまたはセクレタリーを代替する権限を取得します。
- (d) 親サークルのファシリテーターは、プロセス障害の間、追加のサークルリードをそのサークルに割り当てることができます。その人がサークルリードとして下した決定は、別のサークルリードが下した矛盾する決定を覆して阻止します。
これらの権限は、親サークルのファシリテーターの評価基準のもとで、サークルの正当なプロセスが復元されたととき、ただちに終了します。
プロセス障害が発生しているサークルに親サークルがない場合、上記の全ての権限は、代わりにそのサークル自身のファシリテーターに与えられます。
あるサークル内のプロセス障害は、自動的に親サークルのプロセス障害でもあるとはみなされません。ただし、それが合理的な時間を掛けても依然解決されない場合、親サークルでもプロセス障害が発生しているとみなされます。
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