ニホンアマガエル_Hyla japonica_のオスは，隣接した別の個体の鳴き声とできるだけ被らないようにして鳴くことが知られている。京都大学大学院生であった合原一究によって，このカエルの鳴き声の逆相同期が，結合振動子モデルとして数理モデル化された[2]。
今回は，この単純なモデルによって本当に逆相同期現象が再現できるかどうかを数値計算によって検証する。目標は，鳴き声の固有周波数にばらつきのある100個体の集団に対し，ランダムな初期位相を与えたとき，一定時間経過後に同期をしているかどうかを確かめることである。
ここで，「同期」とは何を指しているかが問題になるが，さしあたってはルーズに，ラスタープロットが揃ったようにみえるときを言うことにする。
[1] Ikkyu, A., Shunsuke, H., Hiroyuki, K., Kazuyuki, A., & Kenichi, Y. (2007). Dynamical calling behavior experimentally observed in Japanese tree frogs (Hyla japonica). IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences, E90–A(10), 2154–2161. https://doi.org/10.1093/ietfec/e90-a.10.2154
[2] Aihara, I., Kitahata, H., Yoshikawa, K., & Aihara, K. (2008). Mathematical modeling of frogs’ calling behavior and its possible application to artificial life and robotics. Artificial Life and Robotics, 12(1–2), 29–32. https://doi.org/10.1007/s10015-007-0436-x